見出し画像

供養ビジネス株式会社|ショートショート

大手IT企業に勤める江藤は、今年もお盆休みを返上して働いていた。

昼休み、同僚に言われる。
「墓参り、アプリで済ませないんですか?」

聞けば、最近は「供養ビジネス株式会社」というサービスが流行っているらしい。
墓前映像がライブ配信され、AI僧侶が読経、花の自動交換まで行ってくれるという。
しかもお供え物はスポンサー制で、ビールやお菓子のCMつきだ。

半信半疑で江藤も契約した。
画面には自分の先祖の墓が映し出され、ロボ僧侶の声が流れる。
その後ろで、広告ポップアップが踊る。
「このお経は◯◯食品の提供でお送りしています」

夜、枕元で声がした。
「おい、やっと繋がったぞ」
半透明の男が立っている。
「私はお前の先祖だ。この度は立派な墓参りをありがとう」

江藤は胸をなでおろす。
「いやあ、助かります。忙しくて」
先祖は笑った。
「ただな、あのスポンサーのお菓子、来世で買う契約にされてしまった。お経の後に営業マンが来て、全部のご先祖に売り込みをかけてるんだ」

江藤は言葉を失った。
「契約しないと来年の供養枠が取れないらしい。だからあの世でも皆、ローンを組んでる」

江藤が顔を上げると、先祖は真顔でこう言った。
「頼む、お前も契約しろ。来年、私が墓に立てなくなる」
「そんな馬鹿な」

翌日、江藤のスマートフォンに通知が届く。

【ご先祖様 ID:3745 が契約更新に失敗しました。墓参り枠は自動解約されます】

画面の中で、墓石が広告看板に置き換わっていく。
そこには大きく、こう書かれていた。

『ご先祖の冥福は、月額980円から』


暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。もうすぐお盆ですね。

供養の形が時代と共に変わっていくように、ご先祖様の世界もまた、私たちの知らないところで進化を遂げていたら。。

今年の夏は、そんな想像を少しだけ膨らませて、ご先祖様を身近に感じながら過ごしてみてはいかがでしょうか。


いいなと思ったら応援しよう!

ナオユキ|物語と知識のコンシェルジュ もしこの記事が少しでも役に立ったり、楽しんでいただけたりしたら、チップをいただけるととても嬉しいです! いただいたチップは、今後のより良いコンテンツ制作のための書籍代📚とnote購入🗒️、他の方へのチップ代💰に使わせていただきます。 いつも応援ありがとうございます!