誤解陸上|毎週ショートショートnote
「次の競技は、百メートル誤解走です!」
アナウンスに観客席が沸いた。巨大スタジアムのトラックに、選手たちが並ぶ。
ルールはこうだ。スタート前に“お題”が発表され、走りながら最大限に誤解をひねり出す。
速さと誤解の妙で勝敗が決まる。
「お題は――『嫌いじゃない』!」
ピストルが鳴り、選手たちは一斉に駆け出した。
ゴールで声が飛ぶ。
「『嫌いじゃない』を『大好き』と誤解!」
「『検討します』を『承認済み』と誤解!」
「『ちょっと話がある』を『プロポーズ』と誤解!」
観客は大笑いだ。
スタンドの青年がつぶやく。
「なるほど、走る意味は……」
隣の友人が笑う。
「誤解って、勢いが命なんだよ」
そのとき、巨大スクリーンに速報が映った。
《政府、隣国の声明を『宣戦布告』と誤解》
会場が静まり返る。
空に、白い光がいくつも走った。
「……え、これ、競技じゃないよな?」
スタジアムの外で、世界が鳴り響いた。
(381文字)
今回参加させていただいたのは、いつも感謝。
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