『陰謀論とニセ科学 ― あなたもだまされている』 左巻健男著 2022年: AI書評
この本は陰謀論やニセ科学に興味を持った方がまず読むべき本と考えます。
概要: 本書『陰謀論とニセ科学 ― あなたもだまされている』(2022年4月、ワニブックスPLUS新書)は、科学的な視点から古今東西の陰謀論や疑似科学(ニセ科学)を検証した一冊ですbook.asahi.com。アポロ月面着陸陰謀論や9.11自作自演説、UFOや人工地震兵器といった政治的陰謀論から、こっくりさん・超能力・ノストラダムスの予言などのオカルト、さらには反ワクチンや健康食品・水素水など日常に紛れ込むニセ科学まで、非常に幅広い題材を網羅していますbook.asahi.combooklive.jp。著者はそれら「本当っぽいウソ・怪しげな情報」について科学的根拠を示しながら一刀両断し、読者がニセモノを見抜くセンスを身につけられるように構成していますbooklive.jp。本書は全7章からなり、それぞれ以下のテーマを扱っています。
第1章 有名陰謀論を解剖する: アポロ月面着陸は捏造だったという疑惑や、9.11同時多発テロ陰謀説、人工地震・気象兵器、ロズウェル事件、世界を影で支配する組織の噂、都市伝説など、国内外で有名な陰謀論の実例を挙げていますhonto.jp。著者は大学の講義で学生たちに「アポロは月に行ったと思うか?」と質問した際、「行っていない」と答えた学生が7人中4人もいたことに驚いたエピソードを紹介していますwanibooks-newscrunch.com。テレビ番組やネット情報の影響で若い世代にも陰謀論が浸透している実態を示し、その典型例として「真空の月面でなぜ旗が揺れているのか?」という月面着陸疑惑の有名な論拠を科学的に反論していますhonto.jp。著者によれば、真空中でも旗は揺れます。宇宙飛行士が旗を立てる際に揺らせば、大気抵抗がないため振動は空気中より長く続き、旗を水平に張るワイヤーも仕込まれていたため映像で旗がはためいて見えるのは不自然ではないのですwanibooks-newscrunch.com。このように本章では陰謀論が生まれる背景(冷戦下での米ソの対立やメディア報道wanibooks-newscrunch.com)にも触れつつ、それぞれの主張を検証し誤りを指摘します。章末では「陰謀は存在する」**とも述べ、世の中に実際に起きた陰謀(政治スキャンダル等)はあるものの、多くの陰謀論は根拠薄弱であると示唆しています。
第2章 オカルト&ニセ科学の「霊」と「超能力」: 19世紀の心霊現象ブームを起こしたフォックス姉妹の降霊会や、日本で流行したこっくりさん(コイン占い・ウィジャボードの一種)、超能力ブーム(ユリ・ゲラーのスプーン曲げなど)、手かざし治療(宗教団体による信仰治療)、ノストラダムスの大予言といったオカルト的現象や超常現象の数々を扱いますhonto.jp。これらはかつて社会現象となりましたが、現在ではタネ明かしがされている「ネタばれ」済みのものも多く、本章ではそれらのトリックや真相を解説していますhonto.jp。例えば「止まった時計が念力で動き出した」といった超能力ショーの有名な逸話については、実は事前に細工されたマジックであったことが明らかにされています(著者の別記事タイトルより)wanibooks-newscrunch.com。こっくりさんの流行も人々の集団心理や錯覚に基づく現象であり、フォックス姉妹は後に自らの霊現象を足の関節を鳴らすトリックで再現できたと告白しています。本章を通じ、霊能者や予言者の主張する不思議な現象も冷静に検証すれば自然現象や人為的なからくりで説明可能であることを示しています。
第3章 Qアノン陰謀論から反ワクチンまで: 現代的な陰謀論の代表として、アメリカ発祥のQアノン(闇の政府が存在しトランプ氏がそれと戦っているという説)や、COVID-19をめぐる反ワクチン陰謀論(ワクチンにマイクロチップが入っている等の主張)を取り上げていますhonto.jp。著者は2020年前後の新型コロナ流行や2022年のロシアによるウクライナ侵攻によって、この種の陰謀論がさらに勢いを増したと指摘し、流言に惑わされないために本章を読むことを薦めていますhonto.jp。Qアノンに関しては、日本にも類似の主張が伝播し一部の人々を熱狂させた事例を解説します。また反ワクチン論については、科学的根拠の乏しいデマ(例えば「mRNAワクチンでDNAが書き換えられる」等)を紹介し、それらに対する正しい科学知識を示しています。著者自身、東京大学で科学リテラシーを教える中で「詳しくは知らないけどワクチンは危ないらしい」といった学生の声に接し、ネット情報の影響力を痛感したようです。本章では最新の陰謀論への科学的反証を示すとともに、そうしたデマに人々が惹きつけられる心理にも触れています。
第4章 日常生活に入り込むニセ科学: 私たちの身近な健康・生活分野に浸透している疑似科学を扱いますhonto.jp。例として「インチキがん治療」や怪しげな代替医療、効能を誇張したサプリメント、体内の毒素を排出できるとするデトックス信仰、ゲームが人間の脳を破壊するというゲーム脳理論、発達障害の原因を食事だとする俗説など、多岐にわたりますbooklive.jp。著者は、著名人が代替療法に傾倒した結果手遅れになってしまった事例にも言及しています。有名テレビアナウンサーや世界的企業の経営者だった人物が、標準医療を拒んで民間療法に走り命を縮めてしまい、亡くなる直前に後悔したエピソードは読者にも衝撃を与えていますhonto.jp。また本章では、私たちが「体に良い」と信じがちなものへの疑問も提示されています。例えば無農薬・有機野菜は本当に健康に良いのか?という点です。著者は、農薬を使わず育てた野菜には害虫の被害が出やすく、その防御のため植物自身が産生する天然農薬(化学合成農薬より有害な物質の場合もある)によって却って人体に悪影響を及ぼす場合があると指摘していますhonto.jp。加えて、有機農法は収量が慣行農法の6割程度に落ち込む現状があり、世界の食糧需要を支えるには農薬利用も必要であること、また有機栽培野菜が栄養的に優れるという科学的データはないことも紹介されていますhonto.jp。こうした具体例を通じて、「自然・無添加だから安全」「○○すれば健康に良い」といった思い込みが科学的根拠に欠ける場合も多いことを学べます。本章の内容は非常に豊富で、読者自身が「これは本当だろうか?」と普段信じていることを見直す契機にもなっていますhonto.jp。
第5章 なぜ水商品にはニセ科学的なものが多いのか: 日本で市販・宣伝されている水関連商品にまつわる疑似科学を掘り下げます。水素水、○○波動水、アルカリイオン水といった「飲めば健康になる水」の商品や、高価な浄水器・活水器に関する宣伝文句を科学的に検証しています。例えば、水素水ブームでは水素ガスが入った水を飲むと万病に効くかのような広告がなされましたが、その効果について信頼できるエビデンスはないこと、体内で発生する活性酸素に水素水が寄与できる量はごくわずかであることなどが示されます。また「NMRパイプテクター」という装置(配管に巻くだけで水道管の錆を防止すると称する商品booklive.jp)や、水道水に関する根拠薄い安全デマ(塩素が有害だから沸騰させろ等)も登場します。著者は、なぜ水という身近な素材にまつわる商品でニセ科学が蔓延りやすいのか、その心理やビジネスの仕組みについても考察しています。水は生命に直結するため人々の不安商法の標的になりやすく、「科学っぽい」言葉(波動、水が記憶する等)で消費者を惹きつける好例として取り上げられています。
第6章 「水からの伝言」と「EM」を解剖する: 第5章と関連しますが、特に有名な2つのニセ科学事例を詳しく取り上げています。一つは江本勝氏の「水からの伝言」(水に見せる言葉で氷の結晶の形が変わると主張した疑似科学)、もう一つは比嘉照夫氏らが提唱する「EM菌」(Effective Microorganisms:様々な効果を謳う微生物資材)ですhonto.jp。著者は以前からこれらを批判しており、本書でもその科学的な誤りを指摘します。「水からの伝言」に関しては、実験手法の不備(盲検法をしていない恣意的な写真選別など)を挙げ、結晶の違いは観察者の主観や温度条件のばらつきに過ぎないと論じています。EM菌については、「万病に効く」「環境が良くなる」などと広報され一部の学校教育にも採り入れられたことから著者は強い危機感を示していますhonto.jp。著者自身、ある講演でEMをニセ科学と批判した内容が新聞に報じられた際、EM開発者側から名誉毀損で訴えられる事態となりましたhonto.jp。裁判ではEM側の主張に科学的根拠がないことが明らかにされ、最終的に訴えは棄却されていますhonto.jp。本章ではその裁判に至る経緯や、EM菌を支持する政治家・団体の存在にも触れられており、ニセ科学が単なる民間療法にとどまらず社会的・政治的な問題に発展し得ることが示唆されていますhonto.jp。
第7章 なぜ「陰謀論」や「ニセ科学」を信じてしまうのか: 最後の章では、人々が荒唐無稽な陰謀論やニセ科学を「なぜ信じてしまうのか」という心理的メカニズムに焦点を当てていますhonto.jp。人間の認知には、「手に入れた情報を自分の都合よく歪めたり誤認したりしてしまう認知バイアス」や「自分が信じたいことを裏付ける証拠ばかり集めてしまう確証バイアス」といった偏りが存在しますhonto.jp。著者はこれらのバイアスが陰謀論信奉やニセ科学への傾倒を助長することを説明し、どんなに正確な知識を与えても人は信じたいものを信じてしまう傾向があると述べていますhonto.jp。特に本章前半では「陰謀論を信じ込む人には、何を言っても議論は平行線になる」と身も蓋もない現実が指摘されていますhonto.jp。つまり一度深く信じてしまった人を説得するのは非常に困難であり、本書はそうなる前の「騙されないようにしよう」という啓蒙を目的としているのですhonto.jp。では対処法はないのかというと、著者は様々な側面から物事を考える柔軟さや、怪しい情報ほどすぐ鵜呑みにせずゆっくり検証する姿勢の大切さを説いています。特に強調されるのは「知は力」(Knowledge is Power)というシンプルな真理ですhonto.jp。正しい知識を身につけ、情報リテラシーを高めておけば、不安や思い込みにつけ込むトンデモ話に対して自然と抵抗力(免疫)が備わる、と本章は結ばれています。
Ai: Gemini 2.5 Flash Deep Research を使用
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