「韓国の研究でmRNAワクチンが感染症を559%増加」は誤り―論文を正しく読む 【ファクトチェック】
とんでもない調査結果が出てきました😱
— トッポ (@w2skwn3) November 15, 2025
なんと、韓国全人口5100万人を対象にした前代未聞の大規模研究で、mRNAワクチン接種と感染症リスクの関係が明らかになったんです。
結果は….衝撃。… pic.twitter.com/wnHHVSxsnZ
拡散されている主張
SNS上で、韓国の大規模研究を引用して以下のような主張が拡散されています:
❌ 誤った主張の要約
mRNAワクチンを打てば打つほど風邪、上気道感染、肺炎、結核が増える
最大559%のリスク増加
子どもで特に深刻
「VAIDS(ワクチン関連免疫不全症候群)」が確認された
Nicolas Hulscher が書いた二次記事が元のようです。
「BREAKING: 51 Million-Person Study Finds COVID-19 “Vaccines” Increase Risk of Respiratory Infections by up to 559%」にほぼそのまま出てきます。(公衆衛生政策と法律)
結論:誤り・歪曲
この投稿は論文の内容を著しく誤って解釈・誇張したものです。以下、原著論文の実際の内容と照らし合わせて検証します。
論文の実際の内容
原著:
Song J, Jeong S, Chun AY, Jung J, Park SJ, Park SM. Incidence of Respiratory Infections after the COVID-19 Pandemic (2023-2024) and Its Association of Vaccination Among Entire Populations in Korea. Int J Infect Dis. 2025:108194.
https://www.ijidonline.com/article/S1201-9712(25)00416-3/fulltext
<抄録> 一部 ( )で追記しています。
目的 COVID-19パンデミック期およびその後における呼吸器感染症の全国的な動向を検討し、COVID-19ワクチン接種回数に応じたリスクを評価することを目的とした。
方法 韓国全人口(N=51,645,564)の保険請求データとワクチン接種記録を統合したデータベースを用い,SARIMAXモデルにより動向を評価した。2023年6月1日までに受けた接種回数と呼吸器感染症発症との関連を,CoxハザードモデルおよびFine-Grayモデルを用いて検討した。
結果 パンデミック前(2017~2019年)と比較して,インフルエンザ様疾患(influenza like illness; ILI)および肺炎の発生率は2020~2021年(パンデミック期間中)90%以上低下した。その後,2023~2024年(パンデミック後)には上気道感染症(upper respiratory tract infection; URI)および感冒(common cold)が再び増加した。百日咳の発生率は2023年後半に期待レベルの46倍に上昇した。
(↑までは、ワクチンと関係のない経時的な変化を表しています。)
(↓ここからは、ワクチンとの関係です)
4回以上の接種歴を有する個人(≧4回目接種)は,未接種または一部のみ接種の者と比較して,ILI(調整ハザード比 0.55[95%信頼区間 0.54–0.57])および百日咳(0.06[0.04–0.08])のリスクは低かった一方で,URI(1.32[1.32–1.33])および感冒(1.63[1.62–1.64])のリスクは高かった。
結論 呼吸器感染症パターンの変化に伴い,ポストパンデミック期におけるCOVID-19ワクチン接種は,呼吸器感染症との関連が疾患ごとに異なる可能性がある。このことは,集団レベルの免疫状態の変化を反映しており,状況に応じて適応的に変化させうる公衆衛生戦略の必要性を示している。
論文が実際に示していること
研究の概要
対象: 韓国全国民約5,164万人(2016-2024年)
デザイン: 後ろ向きコホート研究
目的:
COVID-19前後の呼吸器感染症の下記期間での呼吸器感染症の変化を分析
パンデミック前(2017-2019年)
パンデミック期間中(2020-2022年)
パンデミック後(2023-2024年)
2.COVID-19ワクチン接種とパンデミック後の呼吸器感染症リスクの関連を評価
✅ 正しい解釈
1. パンデミック中の呼吸器感染症の大幅な減少
NPIs(マスク・手洗い・行動制限)により、インフルエンザや肺炎が90%以上減少
これにより「免疫負債」が蓄積
2. パンデミック後の反動
2023-2024年に上気道感染症が約2倍、百日咳が46倍に増加
これは社会活動の再開と免疫負債の解消によるもの
3. ワクチン接種との複雑な関連

4回以上接種群のリスク
ILI (インフルエンザ様疾患) 0.55(45%低下)✅
百日咳 0.06(94%低下)✅
URI(上気道感染症) 1.32(32%上昇)
感冒 1.63(63%上昇)
4. 著者の慎重な解釈
URI (上気道感染症)・感冒のリスク上昇については複数の説明可能性を提示:
年齢構成の違い(高齢者に接種が集中)
医療受診行動の差(健康意識が高い人がワクチンを接種)
残余交絡(職業、家庭環境など調整しきれない要因)
社会活動再開による曝露増加
論文は「因果関係」ではなく「関連(association)」として報告
交絡因子の影響を完全には除外できないと明記
なぜこのような誤情報が生まれるのか
1. 数値の切り取り
論文の一部のデータ(URI・感冒のHR上昇)だけを取り出し、文脈を無視
2. 因果関係の誤認
「関連」を「因果」と誤解釈。統計的な関連があっても、それが直接の原因とは限らない
3. 確証バイアス
「ワクチンは危険」という先入観があると、そのように解釈できる情報だけを選択的に読む
4. 専門用語の誤用
「VAIDS」のような医学的に存在しない造語を混ぜ込み、権威付け
論文の本当の意義と限界
📊 研究の価値
全国民規模での呼吸器感染症の動向を可視化
パンデミックが感染症エコロジーに与えた影響を定量化
公衆衛生政策の基礎データとして重要
⚠️ 研究の限界(著者も明記)
観察研究であり因果関係は証明できない
残余交絡の可能性(健康行動、職業、家庭環境など)
請求データのため軽症例は含まれない
ワクチン種類やタイミングの詳細は未調整
医療専門家の視点
正しい臨床的解釈
Q: ワクチン接種で風邪が増えるの?
A: この研究だけからは判断できません。むしろ:
高齢者・基礎疾患のある人が優先的に接種を受けた
そもそもリスクが高い集団だった
パンデミック後の社会活動再開で全員の曝露が増えた
などの交絡因子が考えられます。
Q: ワクチンは効果がないの?
A: 逆です。この研究では:
インフルエンザ様疾患が45%減少
百日咳が94%減少
と、重症化リスクのある感染症に対する防御効果が示されています。
まとめ:情報を正しく読むために
✅ チェックポイント
原著論文を確認する(二次情報だけで判断しない)
著者の結論を読む(切り取りに注意)
限界を理解する(完璧な研究は存在しない)
文脈を考える(一つの数値だけで判断しない)
専門家の解説を参考にする
🚫 危険な兆候
「衝撃の事実」「隠蔽されていた」などの扇情的表現
数値だけの切り取り
論文に存在しない用語の使用
極端な解釈
参考資料
この論文についてより詳しく知りたい方は、以下を参照してください:
免疫負債の概念: Cohen R, et al. Pediatric Infectious Disease Group (GPIP) position paper. Infect Dis Now. 2021
パンデミック中の感染症減少: Brueggemann AB, et al. Lancet Digit Health. 2021
科学的な議論は歓迎しますが、論文を歪曲した誤情報の拡散は公衆衛生を害します。正確な情報共有を心がけましょう。
注意:Nicolas Hulscher
McCullough Foundation の疫学者であり、
代表の Peter McCullough 氏は COVID-19やワクチンに関する誤情報の拡散で専門医資格を剥奪された人物として報じられています。(McCullough Foundation)
Hulscher 氏が記事を載せているジャーナル Science, Public Health Policy & the Law は、
メディアバイアス評価サイトで「ワクチン誤情報を頻繁に掲載する疑似科学的サイト」「事実報道は低評価」とされています。(メディアバイアスファクトチェック)
Nicolas Hulscher が書いた二次記事の評価
交絡(高回数接種の子ども=ハイリスク児が多いなど)への検討がほぼない
自分の都合の良い指標だけを「本物」、不都合な指標は「アーティファクト」と扱っている
そこから「VAIDS」「免疫崩壊」といった非常に大きな結論に飛躍している
加えて、発行元がワクチン誤情報の拡散で批判されている組織であることを踏まえると、この解釈記事を科学的な根拠として用いるのは危険と評価せざるを得ません。
(ChatGPT-5.1 thinking を利用して、翻訳検討しました)
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