J.S.ミル『経済学原理』第3巻第16章【47/75】
J.S.ミル『経済学原理』の第3巻第16章「価値の特殊な事例」をAI翻訳しました。誤訳や読みづらいところが残っているかもしれませんが、温かい目で読んでいただけたらうれしいです。
この翻訳について
-
目的:個人の学習・読書用の試訳です。学術的な厳密さまでは保証できません。
-
方法:AIで下訳 → 自分で全体を見直し、一部の表現を修正しています。
-
出典:原文はこちら。
-
お願い:引用の際は出典の明記をお願いします(本文リンク・本記事URLなど)。
AIによる要約
価値法則の整理と「例外」への導入
- 【主張】自由競争下では価値は基本的に生産費で説明できるが、特定の性質をもつ場合にはその法則をそのまま適用できず、需要・供給の原理に立ち返る必要がある。
- 【根拠・内容1】独占など供給が競争以外で決まる場合は恒常的価値も需給に左右され、競争下では平均利得が均されるよう生産費比率に沿って交換される。
- 【根拠・内容2】ただし「特殊な性質」をもつ事例では、生産費が個別商品の自然価値(相対価値)を直接に与えないため、別の決定原理が要る。
共同生産(共同生産費)では個別価格は需給で配分される
- 【主張】同一工程から同時に生まれる複数商品の場合、生産費が定めるのは合計回収額だけで、各商品の価格配分は需要・供給の調整で決まる。
- 【根拠・内容1】ガスとコークス等では費用を片方に割り振る原理がなく、両者合算で通常利潤を含む費用を回収できることだけが要件になる。
- 【根拠・内容2】一方が売れ残ればその価格を下げざるを得ず、合計採算が崩れれば他方の価格が上がって需要が縮み、生産規模も調整されて両方が捌ける点で均衡する。
- 【根拠・内容3】逆に副産物側が不足して値上がりすると参入が起き、生産拡大に伴う主産物の供給増が値下げを招き、合計収益は生産費水準へ戻りつつ配分だけが変わる。
農産物の相対価値:土地適性と需要が「どの土地で両方を作らざるを得ないか」を決める
- 【主張】作物ごとに土地適性が異なる現実では、二作物の相対価値は需要の強弱によって「両作物をともに作らざるをえない中位の土地」の位置が動き、その土地での生産費比率として決まる。
- 【根拠・内容1】適地だけで需要が賄えるうちは各作物の価値は相互関係から切り離されやすいが、需要拡大で中位地も動員されると、その中位地の生産費が価値比率を左右する。
- 【根拠・内容2】特に適した土地に生じる地代は「その作物だけを基準にした生産力」に応じて定まり、相対価値の決定とは区別される。
- 【根拠・内容3】小麦需要が強い等で作付けが不向き地へ拡大するには、小麦が相対的に高く燕麦が相対的に安くなる必要があり、需要が価格差を拡大させうる。
需要は「一時的攪乱」ではなく、生産費と結びつく恒常的調整役である
- 【主張】需要は生産費の原理がそのまま働かない局面で欠落を埋め、また生産費と結合して価値を持続的に調整する役割を担う。
- 【根拠・内容1】共同生産の例は、需給が価格配分を通じて両産物が市場で引き取られる状態へ導くことを示す。
- 【根拠・内容2】輪作も実質的に共同生産費の問題であり、二年分の費用回収が二作物の販売にかかるため、両作物が所要面積分だけ売れるよう価格が調整される。
本文
一
同一国の内部で行われる主要な財の交換について、価値の一般法則はここまででひととおり検討した。まず独占の場合は、数量の自然的または人為的な制限によって、すなわち需要と供給によって価値が決まることを確認した。次に自由競争のもとでは、同じ費用で無制限に生産できる財について、恒常的な価値は生産費で決まり、需給はその変動に影響するにとどまることを示した。第三に、生産量は無制限でも生産費が一様でない財では、必要な供給を得るために負担せざるをえない最大の費用が恒常的な価値を決めると整理した。最後に、貨幣自体もこの第三の類に属する商品であり、自由な状態では同類の商品と同じ法則によってその価値が決まる以上、したがって価格も価値と同じ法則に従う、という結論に至った。
以上から分かるのは、需要と供給があらゆる場合に価値と価格の変動を左右し、自由競争以外の何らかの作用によって供給が決まるすべてのものについては、その恒常的な価値と価格も需要と供給によって左右される、という点である。しかし競争体制の下では、物は平均して、あらゆる階層の生産者に同程度の利得が見込めるような価値で互いに交換され、そのような価格で販売される。ただしこの状態が成り立つのは、物どうしが生産費の比率に従って交換される場合に限られる。
しかしここで、特殊な性質のためにこの交換価値の法則を適用できないいくつかの例に注意しておく必要がある。
異なる二つの商品が同一の工程、または同一の一連の作業から同時に生み出され、費用が区別されず一括して発生する、いわゆる「共同生産費」が生じることがある。この場合、支出は片方のため、もう片方のためと分けて行われるのではなく、両方を同時に得るために行われる。したがって、たとえ一方が不要でまったく利用されなくても、他方を得るには同じ費用を負担せざるを得ない。このような結び付きは珍しくなく、コークスと石炭ガスは同一の原料を同一の工程で処理して得られる代表例であり、より限定的な意味では、羊肉と羊毛、牛肉と皮革と獣脂、子牛と乳製品、鶏と卵も同様である。ただし、この種の商品の相対的な価値を生産費によって定めることはできず、生産費が示すのは二つを合算した共同の価値に限られる。石炭ガスとコークスは合わせて、通常の利潤を含めた生産費を回収する必要がある。そのため、一定量のガスは、その製造の残余物として生じるコークスとともに、共同生産費に見合う比率で他の商品と交換されなければならない。しかし、回収すべき額のうちどれだけをコークスが負担し、どれだけをガスが負担するかは別に決めなければならず、生産費が定めるのが個々の価格ではなく合計額である以上、二つの間で生産費を配分する原理が欠けている。
ここでは生産費では説明も解決もできないため、生産費に先立つ、より根本的な価値の法則である需要と供給の法則に立ち返る必要がある。その法則とは、ある商品の需要がその価値に応じて増減し、価値は需要が供給に等しくなるように調整される、ということである。これによって、私たちが探し求めている分配の原理が与えられる。
一定量のガスが生産され、一定の価格で販売されているとし、副産物であるコークスも、ガスと合わせた売上で諸費用を回収し、通常の利潤率を確保できる価格で販売されていると仮定する。さらに、ガスとコークスにそれぞれ付されたこの価格で、ガスは過不足なく容易に売れるが、それに対応して生じるコークスは全量の買い手が見つからないとする。そこでコークスは、買い手を得るために、より低い価格で売りに出される。しかし、その引き下げ後のコークス価格とガス価格とを合わせても採算が取れず、事業全体として通常の利潤を含めて費用を回収できないため、この条件では生産を継続できない。したがって、コークスで生じた不足分を補うためにガスはより高い価格で販売されなければならない。その結果、需要が縮小して生産量も若干減少し、ガスの値上げとコークスの値下げが同時に作用して、ガスは以前より少なく、コークスは以前より多く売れるようになり、現在のガス製造規模から生じるコークス全量に市場が成立した時点で、価格は固定する。
逆の場合を想定しよう。現行価格のままでは、既存のガス需要を満たすために必要な操業によって供給できる量を上回ってコークスが求められる。いまコークスは不足しているので価格は上昇する。操業全体の収益は通常の利潤率を上回り、追加の資本がこの生産に向かう。満たされていなかったコークス需要はやがて供給されるが、それはガスの供給も同時に増やさずには達成できない。しかし既存のガス需要はすでに満たされているため、増えたガスは価格を下げなければ市場を見いだせない。結果として、両者を合わせた収益は共同の生産費に見合う水準に落ち着くが、その収益の内訳は従来よりコークスが大きく、ガスが小さくなる。需給の均衡は、各商品の需要が相手商品の需要と十分にかみ合い、一方の必要量を生産する過程で同時に生じる他方の量が、そのまま相手の必要量に正確に一致するときに成立する。どちらかに余剰または不足がある場合、たとえばコークスは売れるのに併産されるガスの全量には需要がない場合、またはその逆の場合には、両者の価値と価格が再調整され、いずれも市場で引き取られるようになる。
したがって、二種類以上の商品が同一の生産過程で生産費を共同で負担して生産されるとき、各商品の自然価値の相対的な水準は、その過程から送り出される産出量の比率に応じて、それぞれの商品に需要が生じるような関係として定まる。この定理そのものはそれほど重要ではないが、需要の法則がどのように働くか、また生産費の原理が当てはまらない局面で別の原理がどのようにその欠落を埋めるかを理解するうえで、特に注目に値する。次の次の章では、より重要で影響の大きい場合にも、きわめてよく似たことが起きるのを確かめる。
二
価値の問題でもう一つ注目すべきは、農産物の種類によって価値が異なる場合があるという点である。この問題は前章で扱った事例よりも複雑であり、より多くの影響する事情に注意を払って検討する必要がある。
もし異なる農産物が同じ土壌で区別なく、しかも同じ程度に有利に栽培されるか、あるいはそれぞれがまったく別々の土壌でのみ栽培されるのであれば、この場合に特に変わった点はない。しかし難しさは二つの点から生じる。第一に、多くの土壌はどの作物にもまったく不向きというわけではない一方で、作物の種類によって向き不向きがあり、適性に差が生じること。第二に、輪作であること。
便宜上、ここでは農産物を小麦と燕麦の二種類に限って考える。すべての土壌が両方の作物に同じ程度に適しているなら、両作物はどの土地でも区別なく栽培され、生産費も各地で等しくなるため、両者の相対的な価値は相対的な生産費によって決まる。たとえば、ある土壌で、同じ労働を投入すれば常に小麦が三クオーター取れ、同じ労働で燕麦が常に五クオーター取れるなら、小麦三クオーターと燕麦五クオーターは同じ価値になる。さらに、両作物が同じ土壌ではまったく栽培できないとすれば、それぞれの価値は、需要を満たすために利用せざるを得ない当該作物向け土壌のうち、最も条件の悪い土地におけるその作物の生産費で決まる。ところが現実には、どちらか一方が栽培できる土壌のほとんどでは両方を栽培できる。しかし、硬い粘土質は小麦に向き、軽い砂質土は燕麦に向くといった適性の差がある。そのため、同じ量の労働を投入しても、小麦三クオーターに対して燕麦が四クオーターにとどまる土地もあれば、燕麦五クオーターに対して小麦が三クオーター未満にとどまる土地もあり得る。このような違いがあるとき、二つの作物の相対的な価値は何によって決まるのか。
二種類の穀物は、それぞれ相手よりも適した土地で優先的に栽培される。そして、需要がそうした土地だけから供給されている限り、二つの穀物の価値は互いを基準にして決まるのではなく、相手との関係とは切り離されて形成される。だが、双方の需要が増えて専用の適地だけでは足りなくなり、どちらにも特に適してはいないものの両方にほぼ同じ程度に向く中程度の土地でも栽培せざるをえなくなると、その中程度の土地での生産費が二種類の相対的価値、すなわち価値の比率を左右する。他方で、それぞれの穀物に特に適した土地に生じる地代は、その穀物だけを基準に見た生産力に応じて定まる。したがって、価値の一般原理に通じている者にとっては、ここまでの整理に難しさはない。
仮に小麦の需要が燕麦の需要を大きく上回ると、小麦の作付けが、小麦に特に適した土地だけでなく、両方に同程度に適した土地をもすべて占め、さらには燕麦により適した土地にまで及ぶことがあり得る。このような偏った作付けを成り立たせるには、小麦が中位の土地での生産費にもとづく水準より相対的に高くなり、燕麦が相対的に安くなることが必要である。両者の相対価格は、需要の強弱によって二種の穀物をともに作らざるを得ない土地の等級がどこにあっても、その等級の土地でかかる費用に見合う比率によって決まる。需要の状況によって両者の耕作が、一方にとって有利で他方にとって不利な土地で交わる場合には、有利な穀物は相対的にも一般の財との関係でも安くなり、不利な穀物は相対的にも一般の財との関係でも高くなるため、当初想定したように需要の割合がつり合う場合よりも、両者の価格差は大きくなる。
ここで我々は、需要の働きについて、従来とはやや異なる形で新たな例証を得る。需要は価値を時折乱す要因ではなく、生産費と結びつき、あるいは生産費を補う形で、価値を規定する恒常的な調整役である。
輪作の事例は、ガスやコークスの場合と同様、共同生産費の問題なので、別個に取り上げて分析する必要はない。たとえば、すべての農地で白作物と緑作物を一年おきに交互に栽培し、どちらの作物も自分自身のためと同じ程度に相手の作物のためにも不可欠だとすれば、農家は二年分の費用に対する報酬を白作物一回分と緑作物一回分の収穫から得ることになる。その結果、両作物の価格は、白作物と緑作物とが同じ面積分だけ需要に応じて市場でさばけるように調整されていく。
価値をめぐる例外的な事例は、ほかにも幾つも見いだすのに苦労しない。それらを検討して解き明かすことは有益な練習になりうるが、本書のような性格と分量の著作で、原理を明らかにするのに必要な範囲を超えて細部に立ち入るのは望ましくもなく、また現実的にも不可能である。そこで私は、交換の一般理論のうち、まだ触れていない唯一の部分である国際交換、より一般にいえば遠隔地間の交換へと議論を進める。
