見出し画像

経理部門のNotebookLM導入手順|5ステップ解説


経理部門にNotebookLMを導入するメリット

経理業務は正確性と効率性が求められる重要な企業活動です。日々の取引記録から月次決算、税務申告まで、膨大な情報を処理し続ける経理担当者にとって、業務効率化は常に大きな課題となっています。

そんな経理部門の業務改善に大きな可能性を秘めているのが、Googleが開発した「NotebookLM」です。このAIツールは、ユーザーが提供した資料のみを情報源として活用する特徴を持ち、社内マニュアルや規程集といった自社特有のルールや業務情報を正確に扱えます。

NotebookLMは単なる効率化ツールではなく、経理部門が抱える「正確性・工数・時間」という課題をまとめて解決し、より創造的で価値の高い仕事に集中させてくれる、優秀なAIアシスタントなのです。


NotebookLMとは?経理業務との相性

NotebookLMは、Googleが開発したユーザー専用の「AIアシスタント」です。一般的な生成AIとは異なり、インターネット上の情報を参照せず、「ユーザー自身が提供した資料のみ」を情報源として活用します。

NotebookLMの基本インターフェースと機能説明

これまで手間のかかっていた経理業務をNotebookLMがサポートし、情報の「探す・読む・まとめる」といった工程を大幅に効率化できます。

経理部門とNotebookLMの相性が特に良い理由は、以下の3点にあります。

1. 正確な情報をもとにした回答

経理業務では、「自社の経費精算ルール」「最新の会計処理方針」など、社内文書に書かれている内容こそが【正解】です。NotebookLMは、指定された資料のみを読み込んで回答を生成するため、一般的な生成AIのようにインターネット情報や他社の事例を混ぜてしまうことがありません。

つまり、「正確性が最も重要な仕事」と「与えられた情報だけを使って答えるAI」という構図が、非常にマッチしているのです。

2. 「同じような質問への対応」から解放される

「この経費は申請できますか?」「仕訳の方法を教えてください」など、経理担当者は日々多くの社員から同じような質問を受け、その対応に多くの時間を費やしています。

NotebookLMに規程やマニュアルを読み込ませておけば、社員は自分でAIに質問して答えを得られるようになります。つまり、「24時間稼働のAIヘルプデスク」の完成です。経理担当者は、同じ問い合わせへの対応から解放され、より付加価値の高い業務に集中できます。

3. 「探す・読む・まとめる」時間を大幅に削減できる

経理部門では、日々次のような作業が発生します。

  • 長文の契約書から重要な条項を探す

  • 会計マニュアルや規程集の中から必要な情報を読み解く

  • 取引データから傾向や異常値を把握する

こういった作業は人が行うと時間がかかるうえに、見落としのリスクもあります。NotebookLMは、こうした「探す」「読む」「まとめる」といった工程をすぐに実行できます。その結果、人は「判断」や「改善提案」といった本質的な業務に時間を割けるようになります。


経理部門へのNotebookLM導入手順:5ステップ

経理部門にNotebookLMを導入するための具体的な手順を5つのステップで解説します。この手順に従えば、効率的かつ効果的に導入を進められるでしょう。

経理部門へのNotebookLM導入5ステップフロー図

ステップ1:導入目的と対象業務の明確化

まずは、NotebookLMを導入する目的と対象業務を明確にしましょう。経理部門では以下のような業務が適しています。

  • 証憑要約・仕訳コメント作成

  • 経費精算ルールの問い合わせ対応

  • 月次決算レポートの要約作成

  • 監査対応の準備と質問回答

  • 稟議文書の作成支援

導入目的としては「締め日短縮」「差戻し削減」「監査対応の平準化」などが考えられます。目的と対象業務が明確になれば、次のステップでの資料選定がスムーズになります。

ステップ2:必要な資料の選定とアップロード

NotebookLMの性能を最大限に引き出すには、適切な資料をアップロードすることが重要です。経理部門で特に有用な資料は以下の通りです。

  • 経理規程・経理マニュアル

  • 勘定科目一覧と仕訳例

  • 経費精算ルール

  • 月次・年次決算手順書

  • 監査対応マニュアル

  • 過去の監査質問と回答例

アップロードできる資料の形式は多岐にわたり、Googleドキュメントやスライド、PDF、ウェブサイト、YouTube動画、音声ファイルなどが対応しています。特に2025年6月からはGoogleドライブとの連携機能が強化され、ドライブ上のファイルを直接参照できるようになりました。

これにより、資料の更新管理が格段に楽になります。Googleドライブ上の元のファイルを更新した場合、NotebookLM側で簡単な操作でその変更を反映できるようになったのです。

ステップ3:NotebookLMのセットアップと初期設定

NotebookLMのセットアップは以下の手順で行います。

NotebookLMのセットアップ画面と初期設定の様子
  1. NotebookLMのページ(notebooklm.google.com)にアクセスする

  2. Googleアカウントでログインする

  3. 「作成」ボタンをクリックして新しいノートブックを作成する

  4. 「ソースを追加」から必要な資料をアップロードする

  5. Googleドライブ連携を活用する場合は、ドライブからファイルを選択する

初期設定では、ノートブックの名前を「経理業務支援AI」などわかりやすい名称にしておくと良いでしょう。また、共同編集者を追加することで、経理チーム全体で同じノートブックを活用できます。

さらに、「よくある質問」機能を活用すると、AIが自動的に資料から重要な質問と回答のセットを生成してくれます。これにより、経理チームの新メンバーが基本的な質問をすぐに確認できるようになります。

ステップ4:業務別テンプレートの作成

効率的に活用するためには、業務別のテンプレートを作成しておくことをおすすめします。以下のような業務別テンプレートが特に有用です。

  • 証憑要約テンプレート:請求書や領収書の内容を要約し、適切な仕訳コメントを生成

  • 経費精算チェックリスト:提出された経費申請が社内ルールに準拠しているかチェック

  • 月次レポート要約:詳細な財務データから重要ポイントを3行程度に要約

  • 監査質問対応:監査人からの質問に対する一次回答案を生成

  • 稟議文書テンプレート:必要情報を入力すると適切な稟議文書の雛形を生成

これらのテンプレートは、NotebookLMの「チャット」機能で特定のプロンプト(質問文)を保存しておくことで実現できます。例えば、「この請求書の内容を要約し、適切な仕訳コメントを提案してください」というプロンプトを保存しておけば、毎回同じ質問を入力する手間が省けます。

ステップ5:運用ルールの策定と効果測定

最後に、NotebookLMの運用ルールを策定し、効果を測定する仕組みを作りましょう。

経理部門でのNotebookLM効果測定ダッシュボードイメージ

運用ルールとして以下の点を明確にしておくことが重要です。

  • 責任分界点:AIはあくまで補助ツールであり、最終判断は人間が行うことを明確化

  • 情報セキュリティ:機密情報の取り扱いルールを設定

  • 更新頻度:資料の更新タイミングと担当者を決定

  • 利用権限:誰がどのノートブックにアクセスできるかを設定

効果測定のためのKPIとしては、以下のような指標が考えられます。

  • 締め日短縮:月次決算の完了日数の変化

  • 差戻し率:経費精算や仕訳の差戻し率の変化

  • 工数削減:特定業務の処理時間の変化

  • 監査対応時間:監査対応にかかる時間の変化

これらの指標を定期的に測定し、NotebookLM導入の効果を可視化することで、さらなる改善につなげることができます。


経理業務別NotebookLM活用事例

経理部門の具体的な業務ごとに、NotebookLMをどのように活用できるか、実践的な事例を紹介します。

証憑要約と仕訳コメント作成

請求書や領収書などの証憑書類をスキャンしてアップロードすると、NotebookLMがその内容を要約し、適切な仕訳コメントを提案してくれます。

例えば、複雑な内訳が記載された請求書をアップロードし、「この請求書の内容を要約し、適切な仕訳科目と仕訳コメントを提案してください」と質問すると、AIが重要な情報を抽出して整理してくれます。

さらに、社内の勘定科目一覧と仕訳ルールをあらかじめ読み込ませておくことで、自社のルールに準拠した仕訳提案が可能になります。これにより、特に経験の浅いスタッフの仕訳ミスを減らし、ベテラン社員のチェック工数を削減できます。

経費精算ルールの問い合わせ対応

経費精算に関する問い合わせは、経理部門の大きな負担となっています。NotebookLMに経費精算規程や過去のQ&Aをアップロードしておけば、社員からの質問に即座に回答できるようになります。

「出張時のタクシー利用は経費として認められますか?」「接待費の上限額はいくらですか?」といった質問に、社内ルールに基づいた正確な回答を提供できます。

特に2025年からのインボイス制度の本格運用に伴い、経費精算に関するルールが複雑化している中、NotebookLMは最新のルールを常に参照できる心強い味方となります。

経費精算問い合わせ対応にNotebookLMを活用する様子

月次決算レポートの作成支援

月次決算時には、大量のデータから重要なポイントを抽出し、経営層に報告する必要があります。NotebookLMは、詳細な財務データから重要なトレンドや異常値を抽出し、簡潔なサマリーを作成する作業を支援します。

例えば、月次の財務データをアップロードし、「前月比で大きく変動した勘定科目とその理由を抽出してください」と質問すれば、AIが重要な変動点を整理してくれます。

また、「この財務データを経営会議用に3行で要約してください」といった指示も可能です。これにより、データ分析にかかる時間を短縮し、より戦略的な分析や提案に時間を割くことができます。

監査対応の効率化

監査対応は経理部門の大きな負担となりますが、NotebookLMを活用することで大幅な効率化が可能です。

監査人からよくある質問と回答例、過去の監査指摘事項とその対応策などをアップロードしておけば、監査準備や対応がスムーズになります。

例えば、「固定資産の減価償却に関する監査人からの質問にどう回答すべきか」という問いに対して、社内ルールと過去の回答例に基づいた適切な回答案を提示してくれます。

また、PBC(Prepared by Client)リストの作成や、監査証跡の整理にも活用できます。これにより、監査対応の負担を軽減し、より効率的な監査プロセスを実現できます。

稟議文書・社内連絡文書の作成

経理部門では、稟議文書や社内連絡文書の作成も重要な業務です。NotebookLMに過去の稟議文書や社内連絡文書のテンプレートをアップロードしておけば、状況に応じた適切な文書の雛形を生成できます。

例えば、「新しい経費精算システム導入のための稟議書を作成してください」という指示に対して、必要な項目を含んだ稟議書の雛形を提案してくれます。

また、「未提出の経費精算書がある社員への督促メールを作成してください」といった日常的なコミュニケーション文書も効率的に作成できます。これにより、文書作成の時間を短縮し、より本質的な業務に集中できるようになります。


NotebookLM導入時の注意点と対策

NotebookLMを経理部門に導入する際には、いくつかの注意点があります。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな導入と運用が可能になります。

情報セキュリティの確保

経理情報は企業の機密情報を多く含むため、セキュリティの確保は最重要課題です。NotebookLMでは、ユーザーのデータを安全に管理するため、Googleのストレージと最新の暗号化技術が採用されています。また、ユーザーのデータはAIの学習対象にしないポリシーが取られています。

しかし、追加の対策として以下の点に注意しましょう。

  • 個人情報や極めて機密性の高い情報は、マスキングしてからアップロードする

  • アクセス権限を適切に設定し、必要な人だけがノートブックを閲覧・編集できるようにする

  • 定期的にアップロードした資料を見直し、不要になった機密情報は削除する

AIの回答の検証プロセス

AIの回答は常に人間がチェックする体制を整えることが重要です。特に経理業務では、誤った情報が財務報告や税務申告に影響を与える可能性があります。

以下のような検証プロセスを確立しましょう。

  • 重要な決定に関わる回答は、必ず経験豊富な経理担当者がレビューする

  • AIの回答と元の資料を照合し、情報の正確性を確認する

  • 定期的にAIの回答精度をチェックし、必要に応じて資料を更新する

NotebookLMの大きな利点は、回答の根拠となった資料へのリンクが表示される点です。これにより、AIの回答がどの資料のどの部分に基づいているかを簡単に確認できます。

資料の更新管理

経理規程や税法は頻繁に更新されるため、NotebookLMにアップロードした資料も定期的に更新する必要があります。

特に2025年のインボイス制度の本格運用開始や、会計基準の変更などがある場合は、速やかに資料を更新しましょう。

Googleドライブ連携機能を活用すれば、ドライブ上のファイルを更新するだけで、NotebookLM側にも変更を反映できます。「クリックして Google ドライブと同期」ボタンを使えば、最新の情報に簡単に更新できます。

導入時の社内教育

新しいツールの導入には、適切な社内教育が不可欠です。経理チームだけでなく、経費精算や予算管理など経理部門と関わる他部門のスタッフにも、NotebookLMの基本的な使い方と活用シーンを説明しましょう。

特に以下の点を強調することが重要です。

  • AIはあくまでサポートツールであり、最終判断は人間が行うこと

  • 機密情報の取り扱いルール

  • 質問の仕方のコツ(具体的で明確な質問をすることで、より正確な回答が得られる)

また、定期的に活用事例や成功事例を共有することで、組織全体でのツール活用を促進しましょう。


経理DXの次のステップ:NotebookLMと他ツールの連携

NotebookLMの導入は、経理部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要なステップですが、さらに効果を高めるためには、他のツールとの連携を検討することも重要です。

ChatGPTとの使い分け

NotebookLMとChatGPTは、それぞれ異なる特徴を持っています。両者を適切に使い分けることで、より効果的な業務改善が可能になります。

NotebookLMは自社の資料に基づいた正確な回答が得意である一方、ChatGPTはより広範な知識に基づいた創造的な提案が得意です。

例えば、社内ルールに関する質問はNotebookLMで、新しい経理業務の改善アイデアを考えるにはChatGPTを活用するといった使い分けが効果的です。

OCRツールとの連携

請求書や領収書などの紙の証憑書類を効率的に処理するためには、OCR(光学文字認識)ツールとの連携が有効です。OCRで読み取ったデータをNotebookLMに入力することで、証憑の要約や仕訳提案の精度が向上します。

特に、インボイス制度への対応が求められる中、OCRとNotebookLMの組み合わせは、適格請求書の確認や管理を効率化する強力なソリューションとなります。

会計ソフトとの情報連携

会計ソフトからエクスポートしたデータをNotebookLMに読み込ませることで、財務分析や異常値検出などの高度な分析が可能になります。

例えば、月次の試算表データをNotebookLMに入力し、「前月比で異常な変動がある勘定科目とその原因を分析してください」と質問することで、迅速な財務分析が可能になります。

将来的には、APIを通じた直接連携も期待されており、さらにシームレスな業務フローが実現するでしょう。

経理DXロードマップの策定

NotebookLMの導入を経理DX全体の中に位置づけ、段階的な改善計画を策定することが重要です。

初期段階では、特定の業務(例:経費精算問い合わせ対応)に限定して導入し、効果を確認しながら徐々に対象業務を拡大していくアプローチが効果的です。

中長期的には、OCR、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、データ分析ツールなどと組み合わせた包括的な経理DX戦略を策定し、段階的に実装していくことで、持続的な業務改善を実現できます。


まとめ:経理業務変革のカギを握るNotebookLM

経理部門へのNotebookLM導入は、単なる業務効率化にとどまらない大きな可能性を秘めています。自社の経理規程や会計ルールに基づいた正確な情報処理、繰り返し発生する問い合わせ対応の自動化、複雑な財務データの迅速な分析など、経理業務の多くの側面で革新的な改善をもたらします。

本記事で解説した5ステップの導入手順に従い、計画的にNotebookLMを導入することで、経理部門の業務効率と品質を大きく向上させることができるでしょう。

特に、2025年のインボイス制度本格運用や、リモートワークの定着による業務プロセスの変化など、経理部門を取り巻く環境が大きく変わる中、NotebookLMのような先進的なAIツールの活用は、変化に柔軟に対応するための重要な武器となります。

ただし、AIはあくまでも人間の判断を支援するツールであり、最終的な意思決定や専門的判断は経理担当者が行うことを忘れてはなりません。AIと人間の強みを適切に組み合わせることで、より創造的で付加価値の高い経理業務への転換が実現するのです。

経理部門のDXを推進する第一歩として、ぜひNotebookLMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!