「旅行で休む」から「旅行で健康になる」へ。2026年に試したい日本版ウェルネス旅行
観光地を詰め込まない旅をしてみたい。2026年注目のウェルネス旅行を生活目線で考える
旅行へ行ったはずなのに、家へ帰る頃には疲れ切っている。
観光地を詰め込み、移動に追われ、夜はホテルでスマートフォンを見続ける。
私も旅行というと、できるだけ多くの場所を回った方が得だと思っていました。
せっかくお金を払ったのだから、何もしない時間を作るのはもったいない。
そんな感覚があったからです。
でも、最近の旅行トレンドを調べていると、少し違う考え方が広がっていました。
それが、旅行先で休むだけではなく、旅行そのものを健康や回復のために使うウェルネス旅行です。
2026年は、ランニング、ハイキング、トレーニング、睡眠改善、心身の回復などを目的に旅をする動きが注目されています。
この記事では、少し遠く見える海外の旅行トレンドを、日本の暮らしに置き換えて整理します。
日本で始めるなら、高価なリトリート施設へ行く必要はありません。
次の3つから選べば十分です。
温泉 × 睡眠
地方旅行 × ウォーキング
ホテル・旅館 × デジタルデトックス
今までの旅行を違う角度から楽しめるように調べてみました。
この記事でわかること
この記事では、次のことを整理します。
2026年に注目される「Sweat Jetting」とは何か
日本がウェルネス旅行と相性のよい理由
温泉旅行を睡眠の実験に変える方法
地方旅行で無理なく歩く方法
ホテルや旅館でデジタルデトックスを試す方法
旅行で見つけた習慣を日常へ持ち帰る方法
初心者は、細かな旅行用語を覚えなくても大丈夫です。
「旅行中に、普段より少し整った生活を試す」と考えれば分かりやすくなります。
2026年は「運動すること」が旅の目的になる
2026年の旅行トレンドとして注目されている言葉に、Sweat Jettingがあります。
直訳すると、汗をかくための旅行です。
これまでの旅行では、ホテルへ泊まり、観光し、食事を楽しむことが中心でした。
運動するとしても、空いた時間にホテルのジムを使う程度だったかもしれません。
Sweat Jettingでは、順番が逆になります。
ランニング大会へ参加する。
山や森を歩く。
ヨガやサイクリングを体験する。
その後にサウナやマッサージで体を休める。
つまり、運動、スポーツ、回復体験そのものが旅行の目的になります。
Tripadvisorの2026年版Trendcastでは、体験予約が前年比18%増えたとされ、世界の旅行者の21%が今後12カ月以内にフィットネスを中心とした休暇を予定していると報告されています。
フィットネス旅行は前年比10%、スパ・ウェルネス旅行は8%増加しています。(Tripadvisor)
さらに興味深かったのが、運動だけでなく、回復まで旅の一部になっていることです。
同じ調査では、マッサージ、スパ、サウナなどの回復体験の予約も伸びています。(Tripadvisor)
最初にこの言葉を見たとき、正直、運動習慣のある人だけの旅行だと思いました。
海外のマラソン大会や、本格的な登山をする人の話に見えたからです。
でも、生活目線で見ると、そこまで大げさに考える必要はありません。
温泉街を歩く。
旅館へ戻って湯に入る。
夜は早めに眠る。
これも、運動と回復を組み合わせた小さなウェルネス旅行です。
日本は、もともとウェルネス旅行と相性がいい
ウェルネス旅行という言葉だけを見ると、新しく登場した海外の旅行スタイルに感じます。
しかし、日本には昔から似た文化があります。
温泉で体を休める
湯治で一定期間滞在する
森や山の中を歩く
寺社や街道を巡る
禅や瞑想で心を整える
地域の食材をゆっくり味わう
JNTOは、日本のウェルネス体験として、温泉、禅、瞑想、ヨガ、森林浴、健康的な食事などを紹介しています。
日本は国土の約67%が森林で、特別な技術を必要とせず、歩く、立つ、座るといった方法で森林浴を体験できると説明しています。(Japan Travel)
2026年1月にもJNTOは、日本には温泉、森林浴、禅、茶道、食文化など、体と心を整える習慣が生活文化として根づいていると紹介しています。(Japan Travel)
つまり、日本はこれからウェルネス旅行を作る国というより、すでにある文化を現代の生活に合わせて使い直せる国です。
新しいのは、温泉や散歩そのものではありません。
それらを「観光のおまけ」ではなく、「生活を整えるための旅」として捉え直すことです。

1.温泉 × 睡眠
最初に試しやすいのが、温泉と睡眠の組み合わせです。
温泉旅行というと、観光地、豪華な食事、露天風呂が中心になりがちです。
もちろん、それを楽しむのも旅行です。
ただ、予定を詰め込みすぎると、食事の時間が遅くなり、夜更かしをして、翌朝は疲れたまま出発することがあります。
そこで今回は、温泉旅行の目的を一つだけ変えます。
よく観光する旅ではなく、よく眠る旅にする。
厚生労働省は「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公開し、年代や生活状況に応じた睡眠時間の確保だけでなく、睡眠環境や生活習慣を整える重要性を示しています。(健康労働省)
温泉に入っただけで、不眠や体調不良が解決するわけではありません。
ここは少し注意が必要です。
ただし、温泉旅行には、普段の睡眠習慣を見直しやすい条件があります。
仕事から物理的に離れられる
自宅より早く入浴しやすい
照明や騒音の少ない場所を選べる
夜の予定を減らせる
朝に自然光を浴びやすい
スマートフォンを置く理由を作りやすい
大事なのは、温泉の効能を過度に期待することではありません。
温泉を中心に、眠るまでの行動を組み直すことです。
私ならこう試します
1泊2日の温泉旅行なら、次のように組みます。
午後
15時から16時頃までにチェックインします。
荷物を置いたら、温泉街や宿の周辺を30分ほど歩きます。
遠くまで行く必要はありません。
日中に外へ出て、少し体を動かすことが目的です。
夜
夕食後は、翌日の予定を詰めません。
無理のない範囲で入浴し、入浴後は仕事のメールやSNSを開かないようにします。
スマートフォンは、ベッドから離れた場所で充電します。
その後は、読書や軽いストレッチ程度で過ごします。
朝
起きたら、まずカーテンを開けます。
朝食の前後に、10分から20分ほど外を歩きます。
そして、睡眠時間だけでなく、次の3つを記録します。
起きたときに体が重くないか
夜中に何度も目が覚めなかったか
いつもの朝より気持ちが落ち着いているか
睡眠は、長さだけでは判断できません。
旅行中の記録だからこそ、自分が休みやすい条件を見つける材料になります。

2.地方旅行 × ウォーキング
次は、地方旅行とウォーキングです。
「運動のために旅行する」と言われると、少し身構えてしまいます。
ランニングシューズを買い、本格的な登山の準備をしなければならないように感じるからです。
でも、日本の地方旅行なら、観光そのものを歩く時間に変えられます。
例えば、
温泉街
城下町
古い宿場町
港町
神社仏閣
海沿いの遊歩道
湖や川の周辺
商店街
などです。
目的地があるため、運動だけを目的に歩くよりも続けやすくなります。
WHOは身体活動を、スポーツやトレーニングだけに限定していません。移動のための歩行、余暇の散策、仕事や家事の中で体を動かすことも身体活動に含まれます。定期的な身体活動は、心身の健康や生活の質に役立つとされています。(世界保健機関)
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、個人差を踏まえて量や強度を調整し、今より少しでも多く体を動かすことを基本にしています。成人向けの目安として歩行相当の身体活動を1日60分、約8,000歩としていますが、現在の体力や健康状態に応じて調整することが前提です。(健康労働省)
ここで、全員が8,000歩を必達目標にする必要はありません。
普段3,000歩程度の人が、旅行だからと急に1万5,000歩歩けば、足を痛めてしまう可能性があります。
普段より、無理なく少し多く歩けたかを見るだけで十分です。
歩く旅行を疲労旅行にしないために
地方を歩く旅では、次の点を確認します。
坂道や階段が多くないか
宿までの距離は無理がないか
途中で休める場所があるか
荷物を預けられるか
暑さや寒さに対応できるか
歩きやすい靴を用意したか
帰りの体力を残しているか
持病や痛みがある場合は、無理に距離を伸ばしません。
厚生労働省も、運動を始める前や実施中に体調を確認し、基礎疾患、普段の活動量、運動内容に応じて安全に取り組む必要があるとしています。(健康日本21アクション支援システム)
歩数を競うより、
景色を見ながら歩けた
座りっぱなしの時間が減った
夜に自然な眠気が来た
気分が少し軽くなった
といった変化を見る方が、旅行の記録としては役に立ちます。
3.ホテル・旅館 × デジタルデトックス
3つ目は、ホテルや旅館でのデジタルデトックスです。
デジタルデトックスというと、山奥に入り、何日間もスマートフォンを封印するようなイメージがあります。
私には少し難しく感じます。
地図も見たいですし、家族との連絡も必要です。
写真も撮りたいと思います。
そのため、完全に使わないのではなく、見る時間を自分で決める方法が現実的です。
JNTOの森林浴ガイドでは、スマートフォンをホテルに置き、デジタルデトックスの機会にすることが提案されています。森林浴は、走ったり山へ登ったりする必要はなく、森をゆっくり歩いたり、座って音や景色を感じたりするだけでもよいと説明されています。(Japan Travel)
2026年3月にJNTOが公開した記事でも、旅行者がテクノロジーから離れ、感覚を使って自然と向き合う森林浴が、現代のウェルネス旅行に適した体験として紹介されています。(Japan Travel)
スマートフォンは悪者ではありません。
問題は、休むための旅行中も、普段と同じ速度で情報を受け取り続けることです。
初心者向けの半日デジタルデトックス
私なら、次のルールにします。
緊急連絡と地図には使ってよい
写真は撮ってよい
撮った写真をその場でSNSへ投稿しない
食事中は鞄に入れる
入浴後は通知を切る
ベッドの横では充電しない
翌朝まではニュースを見ない
これなら、スマートフォンを完全に手放さなくても試せます。
デジタルデトックスの目的は、我慢大会ではありません。
自分の注意を、画面から食事、景色、会話、体調へ戻すことです。
森林浴は3つの旅行をつないでくれる
今回調べていて、個人的に一番取り入れやすいと感じたのが森林浴でした。
森林浴は、本格的な登山とは違います。
速く歩く必要もありません。
歩数を稼ぐ必要もありません。
森の中で、鳥の声を聞く。
風や木の匂いを感じる。
疲れたら座る。
それだけでも成立します。
JNTOは、森林浴を、忙しい都市生活から離れて心身を休める日本発の体験として紹介しています。睡眠の質、気分、集中力、ストレスなどへの好影響が報告されている一方で、実際に行う際は、運動成果より五感を使って自然を感じることが中心です。(Japan Travel)
森林浴を温泉旅行へ入れると、3つのテーマが自然につながります。
日中に森や遊歩道を歩く。
スマートフォンから少し離れる。
宿へ戻って温泉に入る。
夜は早めに休む。
朝に再び外へ出る。
派手な旅行ではありません。
でも、普段の生活では崩れやすい、
歩く
休む
入浴する
画面から離れる
眠る
という流れを、一度まとめて試せます。
日本版ウェルネス旅行の3つのモデル
ここまでの内容を、実際の旅行プランに置き換えます。
A.温泉地で睡眠を整える1泊2日
向いている人は、次のような人です。
寝る直前までスマートフォンを見ている
仕事のことが頭から離れない
旅行後に疲れが残りやすい
休日も就寝時間が遅くなる
主な内容は、
早めにチェックインする
夕方に短く歩く
夜の通知を切る
無理のない入浴をする
早めに布団へ入る
朝の光を浴びる
起床時の休養感を記録する
ことです。
目的は、最高の温泉宿を探すことではありません。
自分が休みやすい夜の作り方を見つけることです。
B.地方の町をゆっくり歩く旅行
向いている人は、
ジムやランニングが続かない
運動を目的にすると苦しくなる
街並みや建物を見るのが好き
普段は座っている時間が長い
人です。
主な内容は、
移動距離を詰め込みすぎない
一つの町をゆっくり歩く
途中で休憩する
歩数を他人と比べない
気分と疲労を記録する
ことです。
普段より少し長く歩ければ十分です。
C.ホテル・旅館で半日デジタルデトックス
向いている人は、
休みの日も通知を確認してしまう
動画を見続けて夜更かしする
情報を見ているのに休んだ感じがしない
食事中もスマートフォンを触ってしまう
人です。
主な内容は、
必要な連絡を先に済ませる
通知を切る時間を決める
食事中は画面を見ない
入浴後はSNSを開かない
読書や散歩に時間を使う
翌朝に気分を記録する
ことです。
最初から24時間を目指さなくても大丈夫です。
まずは夕食後から翌朝までで十分です。
ウェルネス旅行で勘違いしたくないこと
ここは少し注意が必要です。
ウェルネス旅行は、病気や不調を治す医療ではありません。
温泉へ入れば不眠が治る。
森を歩けば心の病気が治る。
8,000歩歩けば必ず健康になる。
スマートフォンを置けば疲労が消える。
そのような断定はできません。
体調に強い不安がある場合や、睡眠の問題が長く続いている場合は、旅行だけで解決しようとせず、医療機関へ相談することが大切です。
また、温泉や運動も、体調に合わせる必要があります。
飲酒後の入浴を避ける
長時間の入浴を無理に続けない
痛みや強い疲労が出たら歩くのをやめる
暑い時期は水分と休憩を取る
持病がある場合は事前に確認する
睡眠不足のまま車を運転しない
「健康のため」と考えるほど、無理をしてしまうことがあります。
生活を立て直す実験は、体を壊してまで行うものではありません。
旅行中に記録したい5つのこと
ウェルネス旅行は、体験して終わりにすると、普段の旅行と同じです。
そこで、旅行中に次の5つだけ記録します。
何時にスマートフォンを置いたか
どのくらい歩いたか
入浴後にどう過ごしたか
何時頃に眠くなったか
起きたときにどう感じたか
細かい点数を付ける必要はありません。
「良かった」「普通」「疲れた」の3段階でも十分です。
自分の生活で再現できそうな条件が一つ見つかれば、その旅行には意味があります。
旅行で見つけた習慣を家へ持ち帰る
旅行中だけ早く寝ても、家へ戻った瞬間に元の生活へ戻れば、変化は続きません。
ただ、旅行と同じ生活を完全に再現するのも難しいです。
自宅には仕事も家事もあります。
温泉も森も近くにないかもしれません。
だから、持ち帰るのは一つだけにします。
例えば、
入浴後30分はSNSを見ない
朝に5分だけ外を歩く
食事中はスマートフォンを伏せる
休日の午前中に近所の公園を歩く
ベッドの横で充電しない
月に一度、何もしない半日を作る
このくらいなら、旅行後も試せます。
旅行で健康になるとは、旅行先で完璧な生活をすることではありません。
自分が少し整いやすい条件を見つけ、暮らしへ一つ持ち帰ることです。

黒瀬メモ
温泉そのものよりも、早く眠れたこと。
観光地の数よりも、ゆっくり歩けたこと。
豪華なホテルよりも、スマートフォンを見なかった夜。
振り返ると、旅行で体が軽くなった理由は、派手な体験ではないのかもしれません。
旅行で何を見たか。
それも大切です。
でも、旅行中にどんな生活をしたか。
そこにも、少し注目してみたいと思いました。
私が最初に試してみたいこと
私なら、最初は1泊2日の温泉旅行で試します。
大きな目標は立てません。
夕方に30分歩く
入浴後はSNSを見ない
いつもより1時間早く布団へ入る
朝に10分歩く
起きたときの感覚をメモする
この5つだけです。
うまく眠れない可能性もあります。
スマートフォンを見てしまうかもしれません。
思ったより歩けないかもしれません。
それでも問題ありません。
これは旅行の成功や失敗を決めるテストではなく、自分が休みやすい生活を探す実験です。
失敗も含めて、次の旅行や普段の暮らしに使えます。
まとめ
2026年は、運動、睡眠、回復、自然体験などを目的にするウェルネス旅行が、さらに身近になりそうです。
海外では、運動そのものを旅の中心にするSweat Jettingも注目されています。
ただ、日本で始めるなら、本格的なトレーニング旅行でなくても大丈夫です。
温泉で夜の過ごし方を整える
地方の町をゆっくり歩く
ホテルや旅館で通知を切る
森や公園で画面から離れる
自分が休みやすい条件を記録する
これだけでも、旅行の意味は少し変わります。
旅行は、日常から逃げる時間だけではありません。
普段とは違う環境を借りて、自分の生活を試し直す時間にもできます。
次の旅行では、観光地の数だけでなく、
帰るときに、少し体が軽くなっているかも計画に入れてみます。
大きく変えなくても大丈夫です。
旅行で一つ試して、暮らしへ一つ持ち帰る。
そんな形で、少しずつ生活を立て直していきます。
関連記事・マガジンへの導線案
この記事が気になった方は、次に次のテーマも整理してみてください。
睡眠環境を整えるために、寝る前にやめたいこと
5分の健康習慣を生活に重ねる方法
デジタルデトックスを無理なく始める方法
AI・お金・QOLを生活目線で整理する「黒瀬の生活実験ノート」
※公開時には、既存の睡眠記事・5分習慣記事・健康系マガジンへのリンクを挿入してください。
参考・出典
Tripadvisor「Trendcast 2026」「Sweat Jetting」
日本政府観光局(JNTO)「Wellness Travel in Japan」
日本政府観光局(JNTO)「Forest Bathing in Japan」
日本政府観光局(JNTO)2026年ウェルネストラベル関連情報
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
世界保健機関(WHO)「Physical activity」
※ウェルネス旅行は、病気や不調の治療を目的とするものではありません。体調に不安がある場合は、医療機関などへ相談してください。

