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明日に向かって撃て!(1969) を見た|長すぎた夏休みの終わり

 この映画は初めてなんだけど、劇伴担当のバート・バカラックの音楽は学生時代によく聞いていて。感想も学生気分に随分と寄ってるかもしれない。

 始まりは西部劇みたいな雰囲気。バカラックの都会的でオシャレな音楽の出番あるの?と思いながら、見始める。

 賢くてお喋りで女好きなブッチと無口で早撃ちの名手のサンダンスのコンビ。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの組合せはThe Sting でも見たけど、今作は師弟じゃなくて対等な仲間。

 娼婦と抱き合うブッチに「俺は女を探しに行く。頭が良くて美人で可愛くて優しくて上品で〜」とサンダンスが言う。ちょっと経つと惚気てるんだって、わかる。エッタのことだって。

 エッタはサンダンスの恋人。でも、ブッチのことも大好き。奇妙な三角関係。二人とは違って、教師として働く社会人でもある。

 ブッチとエッタが自転車に二人乗りして、走り回る。BGMは「雨にぬれても」。無邪気で楽しそうな二人の姿が、自由で平和な日々を象徴するようなシーン。浮気なんだけどそうじゃない、ってのがこの三人の距離感。

 ただ者じゃない奴らに追われるブッチとサンダンス。トリックを仕掛けても見破られて、逃げても逃げても全然捲けない。でも、相手の顔は見えない。だから、かえって怖い。スピルバーグの「激突!」に近い感覚かも?いつまで続くの?っていう。

 やっとの思いで逃げ帰ったら、二人を捕まえるための選抜チームが結成されたんだってさ。

 金庫は重く分厚くなって、追跡はどこまでも執拗になる。これまでのやり方は通用しない。時代の変化についていけない人のようにも見える。保安官は言う。「お前たちの時代は終わったんだ」

 もう、ここにはいられない。犯罪からは足を洗って地道に暮らそう!ボリビアはゴールドラッシュ的な賑わいらしいぜ!エッタも一緒に行こうよ!

 その前にアメリカの「卒業旅行」でニューヨークへ。めかしこんできたパーティタイム。三人とも(特にエッタ)衣装が妙に洒落てて、都会的。楽しかった思い出は、スライドショーでどうぞ!

 ボリビアに到着しても結局二人がやることは変わらない。怪しいスペイン語で強盗稼業。脅して、金奪って、追われて、逃げてのBGMはSouth American Getaway。🎵ダバダバダー

 強盗の泥臭さ、汗臭さがバカラックの音楽に漂白・脱臭されて、青春の思い出に。「バカだったけど、仲良し三人組で楽しかったよね」的な。ちょっとキラキラしてる。卒業したけど、やりたいことなくて海外留学中で〜す、みたいな。そんな生活をしていても、不穏な気配は向こうからやってくる。

 「こんな日々がいつまでも続くわけがない」と気づいたエッタは二人に「農場とか牧場の仕事したら?」とアドバイス。「大変そうだし、もうそんなに若くもないし。」が二人の答え。まぁ、そうなっちゃうかぁ。

 結局、「なんとかなるでしょ!」と留年し続ける二人を置いて、エッタは海外留学から卒業していく。唯一の常識人がいなくなれば、ブレーキは効かない。

 なんだかんだで強盗を続ける二人のやり取りは、いつも軽妙で面白い。気の合う仲間どうしで、いつまでも楽しくやれたらいいよね。いいよねぇ…。

 そして、何よりもラストシーンがいい!

 ブッチとサンダンスは食事中に警官に見つかって、銃撃戦が始まる。二人が隠れる建物の外は、兵士たちがびっしり取り囲む。そんなことは知らずに「次はオーストラリアな!」と軽口を叩いて、飛び出す二人。「明日に向かって撃っている」ようなカット。

 目は希望に向かって走り出す姿で止めておいて、耳は乾いた銃声の嵐で落とし前をつける。妙に気持ちいいんだな、これが。

 ブッチとサンダンスを追いかける正体は、時代の変化、現実、社会的責任とかそういうもの。「誰か」じゃないから姿ははっきりしないし、いつまでもどこまでも追いかけてくる。

 二人は、周囲の変化に合わせることを何となく嫌がって、だらだらとモラトリアムの中に残り続けた。でも、どうしたって追いつかれてしまう。長すぎた夏休みは、もう終わり。最後まで、いい表情してたけど。

余談
・South American Getaway は昔から大好きなんだけど「南アメリカへの逃避行」じゃなくて「南アメリカ人(原住民)は出ていけ!」っていう物騒なタイトルだとずっと勘違いしてた。
・衣装はイーディス・ヘッドの仕業か。いい仕事してますね。
・邦題はこの作品にバッチリなんじゃない?

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