岩手物語 第二十二話 謎の声
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第二十二話 謎の声
坂上先輩が囁いた。
「ね、なんで自衛隊が居るの?」
「しっ。」
僕は唇の先に人差し指を立てた。
「先輩、ここにいてください、僕はあの割れ目を見てきます。」
「え、でも、見つかったら……。」
隊員たちはアラハバキから延びる一本道の先、手洗い場に立っている。
大丈夫、裏側から割れ目を覗けば見つからない。
僕は、不安がる坂上先輩を置いて藪の中を進んでいった。
慎重に歩を進める。
「キェエ~キエ~ッ!」
「!」
心臓が止まりそうになる。
雉(キジ)だ。
しかし、この隙に一気にアラハバキに取り付いた。
心臓が口から出そうだ。
坂上先輩の方を振り返ると、先輩がウィンクした。
その姿に思わず吹き出しそうになった。
(もう、先輩、やめてほしいっ)
アラハバキに触れると、
全身にぴりりと冷たい電気が走るような感覚が走った。
本来入る方向と逆。
裏から割れ目に体をねじ込んだ。
(こんな隙間、体触れないようになんて、絶対無理だろ……。)
その割れ目の中は、真ん中に岩がひとつ突き出ていた。
身長175センチの僕は、みぞおちにその岩が当たる。
更に無理やりに体を入れると、呼吸が困難になった。
すると、耳の奥から声が聞こえてきた。
(……我の……名を呼べ……)
割れ目の一部が脈動したような気がした。
「なんだ?声が聞こえたような。」
(我の名って?)
しばらく考えていると、岩の外で声が聞こえた。
「__そこで何をしている!」
(見つかった。坂上先輩の居る方だ。)
割れ目からそっと、外の様子を伺うと、
坂上先輩が自衛隊員に捕らえられていた。
