見出し画像

月刊 自動PICK 第2回|私が却下した靴屋だけが勝った

先月から、自作のプログラムに米国株の銘柄を選ばせている。機械が選び、私が文句を言い、翌月に両方の成績を晒す。そういう実験だ。

7月、機械が1位に置いたのは靴の小売だった。私はチャートを3秒で閉じた。

1ヶ月後、上がっていたのは、その靴屋だけだった。

そして私は、11.5%下がったMicron(MU)を買い増していた。

ただし、機械が勝ったわけでもない。1勝2敗。3銘柄の等金額でマイナス0.8%。同じ期間のS&P 500はプラス2.9%だから、機械は市場に3.7ポイント負けている。

私はDBIで機械に負け、機械は市場に負けた。最初のひと月で、完全な勝者はいなかった。

先月の3銘柄は、靴のDesigner Brands(DBI)、メモリのMicron(MU)、クラウドのDigitalOcean(DOCN)。今月の3銘柄は、職業訓練校のLincoln Educational Services(LINC)、電力のEdison International(EIX)、保険のWhite Mountains(WTM)。いずれも選定理由は機械の中にすべて記録されていて、私はこの選定に一切、手を加えていない。細かい仕組みとルールは第1回に書いた。

完全な勝者がいないまま、賭け金だけが増えている。機械は検証台に新しい3銘柄を載せ、私は負けているMUを買い足した。今月はまず、先月の答え合わせから行っていく。


全面安の週に

7月の終わりから8月の頭にかけて、メモリ株がまた全面安になった週があった。MUは1,000ドル手前から800ドル台前半まで沈んだ。

その週、私が開いたのは売り注文の画面ではなく、MUの決算資料だった。読み返して、むしろもっと持っておきたいと思った。だから買い増した。同じ理由で、メモリのETFも買い足した。

白状すると、この行動は先月の自分の警告と正面から衝突している。第1回で私はこう書いた。今月の3銘柄で一番疑いながら見るべきなのは、DBIではなくMUなのかもしれない、と。機械の順位と自分の物語が気持ちよく重なった銘柄こそ危ない、とも書いた。

その銘柄が17%下がった局面で、私は疑うどころか買い増した。下落の中で決算資料を読み返して確信が深まるのは、仮説が正しいからか、それとも見たい情報だけを拾っているからか。書いている本人にも、まだ区別がつかない。

区別がつかないなら、記録して未来に採点させるしかない。
それがこの連載だ。

では、その1ヶ月、機械の側では何が起きていたのか。

誰も勝っていない

先月の答案から始めよう。エントリーは2026年7月9日の終値、採点は8月7日の終値。

靴のDesigner Brands(DBI)は5.42ドルから6.55ドルへ、プラス20.8%。MUは991.64ドルから877.57ドルへ、マイナス11.5%。クラウドのDigitalOcean(DOCN)は140.84ドルから124.15ドルへ、マイナス11.9%。等金額でマイナス0.8%。SPYはプラス2.9%。

ここで市場の側も見ておこう。ナスダック100(QQQ)は723.28から723.03へ、ほぼ完全な横ばいだった。少なくともこの1ヶ月、大型ハイテク・成長株には市場全体より強い逆風が吹いていた。MUとDOCNの下落の方向はこの地合いと一致していて、機械固有の失敗と市場要因は分けて見る必要がある。

それを差し引いても、この3銘柄の並びは残酷だ。私が却下した銘柄だけが勝ち、私が信じていたMUと、疑いながら見ていたDOCNが、ほぼ同率で負けた。そして負け方と勝ち方のそれぞれに、投資家が間違える型が埋まっていた。三つとも、私自身が普段からやっている間違いだ。

DBI:退屈を理由に捨てる

唯一の勝ち銘柄の中身は、きれいな右肩上がりではなかった。DBIは7月中旬に5.22ドルまで沈んでいる。エントリーの5.42ドルを下回る、一時マイナス圏だ。月の半ばに集計していたら、3銘柄全敗だった。

そこから半月で6.55ドルまで戻した。8月3日には1日でプラス8.11%。この日の出来高は36万株ほどで、平常時の2割に満たない薄商いだ。急伸を説明する単一の材料は、探したが見当たらなかった。強いて挙げれば、7月下旬、利益予想の上方修正を背景に調査会社の強気評価へ引き上げられていたことくらいになる。

材料がないのに上がる。この上昇は、物語の勝利ではなく、物語の不在の勝利だ。先月書いた通り、人間は物語がない銘柄を買えない。買えないだけならまだいい。本当の問題は、退屈な銘柄は監視すらしないことだ。私はこの1ヶ月、DBIのチャートを一度も開かなかった。勝った銘柄は、視界の外で勝っていた。

MU:好きな物語を補強する情報だけ拾う

MUの下落を分解すると、私が確認した範囲では、MU固有の新しい悪材料はほとんど見当たらなかった。Samsung速報値を起点にしたセクター全体の売り、DRAM価格を巡る訴訟、SK HynixのNASDAQ上場を巡る需給の変化。どれも第1回で逆風として列挙した項目のままで、新顔はいない。引き取らなくても支払い義務が残るテイク・オア・ペイ契約の解約や条件変更といった、前提そのものを壊す類のニュースは確認できなかった。

だから私は買い増した、という説明は成り立つ。ただ、もう一つの説明もできる。私は下落の週に決算資料を読み返した。そこに並ぶのは、積み上がった長期契約と、これから入ってくる予定の前受金と、8割台半ばの粗利率。全部、買い増しを後押しする数字だ。売る理由を探しに行ったつもりで、実際は持つ理由を確認しに行って、見つけていた。順序が逆だった可能性を、私は否定できない。

DOCN:決算を勝ち負けの二択で解釈する

DOCNは8月4日に4〜6月期の決算を出した。第1回で私は、受注残の中身、顧客の数と契約単価の分布を見る、スコアよりそこを見ると宣言した。その答え合わせをする。

事業は合格だ。売上2億8,120万ドルで前年比約29%増。受注残(RPO)は8億9,400万ドルで前年比12倍に膨らみ、契約の平均残存期間は3.7年と、先月の事前予告をさらに上回った。通期の売上見通しも引き上げた。ただ、知りたかった顧客の分布は、年間換算収益(ARR)が100万ドルを超える顧客群の合計で2億5,900万ドル、という粒度まで。何社が、いくらで買っているのかは見えないままになる。

収益の構造は、白黒つかなかった。GAAPの営業利益は2,900万ドルで、29%増収なのに前年比18%の減益。AIインフラの比率が上がるほど利益率は圧縮されるという私の仮説と整合する。ただし、これだけでAIが減益の原因とまでは言えない。一方で、調整後EBITDAマージンは40%を維持した。

そして経営陣は、AI顧客ARRの85%はGPUを単純に貸すだけの事業ではなく、ソフトウェアを含む上位の層から生まれていると示した。土地を又貸ししているのか、自分の土地で家賃を取っているのか、という先月の問いへの回答だ。ただ、私が塀を本物と認める条件は、比率が見えることと高い利益率が保たれることの両方で、満たされたのは前者だけだ。

株価は、まだ答えを出していない。発表当日の寄り付きは売りが先行し、週の終わりには発表前の水準を上回って引けた。決算をEPSの勝ち負けの二択で読むと、この三つの違いを全部落とすことになる。事業は合格。構造は白黒つかず。株価は様子見。三段に分けて読まないと、初動の値動きに答えを教えてもらうことになる。

そして今月、機械はまた、私なら選ばない銘柄を連れてきた。

教育と、電力と、保険

8月4日のスクリーニングで、ゲートを通過した上位3銘柄。職業訓練校のLincoln Educational Services(LINC)、カリフォルニアの電力会社Edison International(EIX)、保険持株会社のWhite Mountains(WTM)。教育、電力、保険。今月もAIインフラの影も形もない。エントリーは8月7日の終値で、LINCが40.99ドル、EIXが68.62ドル、WTMが2,149.44ドル。

見る順番は先月と同じで、機械の言い分、塀と通行量(参入障壁と、需要の太さのことだ)、財務の急所、人間の独り言。

その前に、先月の自分にひとつ文句がある。機械には順位とエントリー価格が残るのに、私の独り言は言いっぱなしだった。これでは半年後、どうとでも言い逃れができる。だから今月から、私も逃げ道を塞ぐ。銘柄ごとに、判定と、賭けているものと、間違いを認める条件を書き残す。採点されるのは、機械だけではない。

LINC:AIに置き換えにくい側を売る学校

Lincoln Educational Services。自動車整備、電気、空調、医療技術などの職業訓練校を、米国12州で22キャンパス運営する。ひとことで言えば、売っているのは大学の学位というより、就職までの最短距離だ。

機械の言い分。モメンタム型の2位で、直近の数字は分かりやすく強い。1〜3月期は売上1億4,400万ドルで前年比22.5%増、新規入学者数は19.5%増、在籍者数は18,702人で17.6%増。調整後EBITDAは1,550万ドルで85%増え、季節的に資金が出ていきやすいこの時期に営業キャッシュフローがプラスへ転じた。通期見通しも引き上げている。

塀と通行量。機械のニュース欄には、AI時代の学び直し需要でLINCが恩恵を受けるか、という見出しが残っていた。私はこの接続を少し疑っている。この会社の中心は、溶接や電気、自動車整備、医療分野など、現場で身体と技能を使う仕事だ。AIに追われたホワイトカラーの避難先というより、AIが進むほど自動化しにくい現場職の相対的な希少価値が上がる、という順番で読む方が実態に近い。

塀は資格や修了証そのものより、その周辺にある。キャンパス開設の認可、連邦学生支援制度へのアクセス、地域の雇用主との採用ネットワーク、そして会社資料で卒業率70%、就職率85%とうたう実績の蓄積。オンライン講座が最も代替しにくいのは、溶接機と実習場が必要な教育だ。

財務の急所。成長の裏で、新キャンパスの開設費用が利益を先食いしている。学生獲得コストが上がれば、入学増が利益に落ちない。そして営利教育には、収入の一定割合を連邦学生支援に依存しすぎてはならない規制の網が常に掛かっている。制度が塀であるということは、制度変更が崖になるということでもある。

人間の独り言。構造は好みだ。ただ、モメンタム3.0とはいえ、株価は7月に付けた49ドル台から2割弱調整した位置で、すでにかなり走った後でもある。そしてタイミングの問題がある。エントリーを固定した翌営業日、米国の8月10日朝(日本時間では10日の夜)に、この会社は4〜6月期の決算を発表する。機械は決算前の数字で選び、価格も決算前に固定された。

答え合わせは、この記事の公開とほぼ同時に始まる。

私の答案|LINC 判定:監視(確信度 ★3/5)
賭けているもの:在籍者数の伸びと、新キャンパスの固定費吸収
間違いを認める条件:学生獲得コストの上昇で、入学増が利益に落ちなくなったとき

EIX:最強の料金所が、塀の内側から燃えている

Edison International。カリフォルニア州南部の約1,500万人に電力を送る規制独占の電力会社SCEを、傘下に持つ持株会社だ。教科書通りなら、地域独占の電力会社は料金所理論の最強格になる。塀は法律が築き、通行量は人口と経済が支え、料金は規制当局が承認する。

その最強の料金所が、投機的等級の一歩手前まで格下げされている。

機械の言い分。5因子が満遍なくプラスの3位で、突出した因子がない代わりに穴もない。ニュース欄には、山火事制度改革の遅れが信用格付けの引き下げを招きかねないというCEOの警告が残っていた。

塀と通行量。この会社の問題は、電力事業の外にある。2025年1月のEaton火災は19人の命を奪った。そして今月4日、郡の消防当局は18ヶ月の調査の末、休止中だったSCEの送電鉄塔で起きた放電が出火原因だと結論づけた。会社は報告書を精査中で、法的な責任と最終的な負担額はこれから争われる。カリフォルニアには電力会社の山火事賠償を支える210億ドルの基金があるが、この一件で枯渇しかねないと州当局が警告する規模だ。2025年9月には後継制度が成立し、180億ドルの継続勘定が作られた。改革は実現している。遅れているのではない。

格付け会社S&Pは、改革を織り込んでなお、新しい基金の実質的な規模が旧制度に見劣りすることを理由に、EIXをBBBマイナスへ引き下げた。改革は信用力を支えた。それでも、足りないと判定された。恒久的な責任上限を巡る制度議論の第2幕はまだ途中で、CEOの警告はその文脈になる。

つまりこの会社の実態は、電力会社と巨大災害の保険会社の兼業だ。料金所の収入は規制の枠組みが支えるが、山火事1件のテール・リスク(確率は低いが、起きれば桁違いの損失)が、料金所の企業価値を大きく毀損し得る。

財務の急所。会社は2026年から2030年に380億から410億ドルの設備投資を計画し、増資なしで年5%から7%の利益成長を描く。認められた設備投資は料金算定の基礎(レートベース)に積み上がって収益を生むから、燃えなければこの計画は堅い。配当は22年連続で増やしてきた。

人間の独り言。降りる条件を先に決めるのが私の流儀だが、この銘柄は降りる条件が自分で決められない。次の乾季の風向きは、決算資料のどこにも書いていない。私には妥当な確率と損失額が置けず、値段に換算できないリスクを抱えた料金所は、どれだけ安くても私の基準の外になる。この種の一発の危険は、機械が使う5つの因子のどこにも映らない。今月、機械と私の判定が一番大きく割れたのが、この銘柄だ。

私の答案|EIX 判定:避けたい(確信度 ★3/5)
賭けているもの:値付けできないリスクを避ける規律は、割安さより重要だという判断
間違いを認める条件:恒久制度の成立で格付けが回復し、再評価に置いていかれたとき

WTM:保険会社の形をした、資本配分マシン

White Mountains Insurance Group。1株2,149.44ドルという値段がまず目を引く、バミューダ籍の保険持株会社だ。だが保険会社として読み始めると、この会社は分からなくなる。

機械の言い分。4位で、型はファンダメンタル系。モメンタムはマイナス0.2と沈んでいるのに、成長が3.0に振り切れ、割安度も高い。株価の勢いを無視して、財務の変化だけで拾われた。モメンタム型のLINCとは、入口が正反対の銘柄だ。

塀と通行量。中身は、保険引受のArkに、運用会社へ出資するKudu、上場株のMediaAlpha、その他の保険関連事業や投資の詰め合わせだ。引受も出資先も足元の採算は堅く、手元には約8億ドルの未投下資本が眠る。

束ねた事業に、共通の塀は見当たらない。2025年に簿価が1株1,752ドルから2,188ドルへ25%跳ねたときも、最大の押し上げ役は保有事業の売却益だった。この会社の料金所は個々の事業ではなく、経営陣の資本配分能力そのものだと読むのが、一番実態に近い。

財務の急所。直近の1〜3月期は最終赤字だった。保有する上場株MediaAlphaの値下がりで6,520万ドルの評価損が出て、1株あたりの簿価は2,170ドルへ、3ヶ月で1%目減りした。ただ、これは市場に値段がある資産の話にすぎない。本当の急所は別にある。この会社の資産には、市場に値札がなく、経営陣の仮定で値段をつける投資(会計でいうレベル3資産)がかなりの額、含まれている。

8月7日の株価2,149.44ドルは、簿価2,170ドルの0.99倍。市場はこの会社を、ほぼ帳簿の値段ちょうどで売買している。簿価を信じて買う会社なのに、その簿価の一部は、市場価格の代わりに経営陣の仮定が作る。信頼が続く限り0.99倍は安く見える。仮定が崩れれば、割安さを測っていた簿価そのものが下がる。

人間の独り言。今月の3銘柄で一番歯応えがあるのはこの会社だ。資本配分の巧拙に賭ける投資は、私が普段やらない種目でもある。まずは次の四半期報告で、レベル3の評価がどう動くかを見る。

私の答案|WTM 判定:監視(確信度 ★3/5)
賭けているもの:未投下資本8億ドルの使い道と、新経営陣の配分能力
間違いを認める条件:Kuduなど主要なレベル3資産で大幅な評価切り下げが続き、簿価成長の前提が崩れたとき

ここまでが今月のPICKだ。ただ、書きながらずっと引っかかっていることがある。この機械が銘柄を落とすときに使う仕組みそのものは、本当に信用できるのか。

ゲートの死角

今月、8-Kゲートは3銘柄を落とした。スコア1位のQTTB、5位のSezzle(SEZL)、13位のOndas(ONDS)。ゲートの仕組みは第1回に書いた通り、希薄化や決算訂正などの重大項目が直近の臨時報告書(8-K)に出ていたら、スコアがどれだけ高くても落とす。

3件の中身を開くと、同じ赤信号でも意味がまるで違った。

QTTBは、5月27日に5,500万ドルの第三者割当(PIPE)を1株8.00ドルで実施した。新しい株を発行して現金を調達する、教科書通りの希薄化だ。先月に続いて2ヶ月連続の失格だが、根拠は先月とまったく同じ、5月27日に提出された1通の8-Kだ。ゲートは過去180日分の8-Kを走査するから、この書類は秋まで機械の視界に残り続ける。

SEZLに機械が貼ったラベルは「過去財務諸表の非依拠(信頼性喪失)」。響きは最悪だが、中身はキャッシュフロー計算書の分類修正だった。債権関連の現金の動きを営業活動から投資活動へ振り替えたもので、純利益にも貸借対照表にも影響はないと会社が明記している。しかも修正後の営業キャッシュフローは4,090万ドルから1億3,060万ドルへ、直した方が良く見える。機械が信頼性喪失と呼んだものの中身は、見栄えの改善だった。念のため書いておくと、項目自体が軽いという意味ではない。過去の決算に依拠できないと会社が判断した重さと、直した数字の見栄えは、別の話だ。

ONDSの赤信号は未登録株式の発行だが、これは買収の対価として相手に渡した株の話で、現金調達ですらない。

ここまでは先月、Dellの事例で開示した粗さの延長にある。ゲートは項目番号を読むだけで、経済的な意味の濃淡は読まない。それは設計時から分かっていた。

もっとまずいことに、今月気づいた。

ゲートが2ヶ月連続で罰し続けたQTTBの5月のPIPEは、1株8.00ドルで5,500万ドル。その裏で会社は7月中旬、治験の好結果で株価が跳ねた直後に、1株18.25ドルで約2億ドル規模の公募増資を実施した。金額でおよそ4倍。だがこの調達は証券登録を済ませた「登録済み」の発行だから、未登録株式発行の8-K項目が出ない。走査期間のど真ん中で起きたのに、ゲートには映らない。

ONDSにも同じ死角の跡がある。今年1月の10億ドルの調達は、新株と、将来さらに1億株を超える新株に化ける新株予約権のセットで、規模も希薄化の影響も買収対価の比ではない。これも登録済みで、しかも今となっては180日の走査期間そのものの外にある。ゲートが罰したのは、期間の内側に残った買収対価の数百万株の方だ。

希薄化について機械が見ていたのは、規模ではなく、未登録という法形式の窓だった。窓の内側の小さな発行を止め、窓の外の大きな発行を通す。弾きすぎる方向の粗さは先月開示した。今月見えたのは逆方向、見逃しの穴だ。

これをどう直すかは、次回までの宿題にする。登録済みの増資まで拾うのか、金額の閾値を入れるのか、それとも法形式の窓のまま割り切るのか。ただし、どう直すにしても旧ルールの成績は消さない。直した理由と一緒に、この連載に残していく。

機械の判定を疑うなら、私自身の判定にも同じ扱いが必要だ。だから今月から、答案カードを置いた。

機械か、私か

最後に、来月以降に採点する答案を残しておく。

LINCは、8月PICKの中で最初に採点される。4〜6月期決算の発表は米国の8月10日、エントリーを固定した翌営業日だ。

EIXを、私は「避けたい」と記録した。機械の3位と人間の判定が真っ向から割れた最初の銘柄になる。

WTMは、簿価の0.99倍から始まる。

MUを、私は買い増した。

予告をひとつ。機械がSEZLに出した警告は、根拠の書類が8月24日ごろに180日の走査期間から外れる。新しい8-Kが出なければ、来月、機械はSEZLを許すだろう。会社が何かを直すからではない。暦が進むからだ。警告が、問題の解決を待たずに期限切れで消える。その瞬間はめったに観察できないから、来月ここで確かめる。

先月落とした1位、QTTBのその後も書いておく。5月の増資価格は8.00ドル。治験の好結果を経て、7月には18.25ドルで次の増資ができる水準まで株価は上がった。ゲートで弾いた判断は、株価だけを見れば、この1ヶ月は報われなかった。それも記録する。落とした判断まで採点対象にしなければ、このゲートはただの言い訳製造機になる。

機械は、下落したMUについて何も感じていない。上昇したDBIについても何も感じていない。私はMUの下落に意味を与えて、買い増した。5ヶ月後に問われるのは、買い増した度胸ではなく、与えた意味が正しかったかどうかだ。

来月も、都合の悪い答案から先に開いていく。

ルール改定履歴|自動PICK v1.1

  • 基準日の固定:エントリーと経過測定を、月次スクリーニング直後の金曜終値に統一した(第1回は公開日終値)。執筆作業と価格を切り離すためで、第1回の起点(7月9日終値)は変更しない。

  • 人間判定の追加:各PICKに書き手の判定・賭けているもの・間違いを認める条件を固定書式で記録する。人間側の後出しを封じるため。

  • 判定の情報基準日:人間側の判定は原稿確定日(今号は8月10日)までの情報で行う。機械のスクリーニング日(今号は8月4日)との間に差があることは、そのまま開示する。

参照元:

  • DigitalOcean Holdings, Inc. 2026年度第2四半期決算プレスリリース(2026年8月4日)

  • Lincoln Educational Services Corporation 2026年度第1四半期決算プレスリリースおよび決算発表スケジュール(8月10日)

  • Edison International 10-Q、カリフォルニア州SB 254(2025年9月成立)、S&Pグローバル・レーティングの格付けアクションに関する各種報道

  • White Mountains Insurance Group 2026年度第1四半期決算資料

  • QTTB 8-K(2026年5月27日提出、Item 3.02)および公募増資に関するプレスリリース(2026年7月)、SEZL 8-K(2026年2月25日提出、Item 4.02)、ONDS 8-K(Item 3.02)および2026年1月の公募増資に関する開示(いずれもSEC EDGAR)

  • 各社株価データ(2026年7月9日・8月7日終値)

免責事項:本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。本連載の銘柄選定は自作プログラムによる機械的な出力であり、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー