【40代わたしの暮らし】方言は、ばあちゃんの声でできている
山口県には「幸せます。」という方言があるらしい。
(ケンミンショー再放送)
「助かります」「ありがたいです」に近い意味らしいけど、
どこか温度が違う。
素敵な言葉だなぁと思った。
そして自分の田舎の方言を思った。
思い出すのは、ばあちゃんの声。
「あんじゃない、あんじゃない。」 (語源:案じなくて良い)
転んで泣いた時。
なにか失敗した時。
祖母は決まってそう言った。
「大丈夫。」とは少し違う。
大丈夫じゃなくても大丈夫。そんな呪文の言葉だった。
「あんばようしてあげるで。」 (語源:塩梅良くしますよ)
私が「これじゃない」と駄々をこねると、
祖母は笑いながら言った。
塩梅良く。
でも今思えば、「ほどよく」ではなかった。
私にちょうどいいように。
そんな意味だった気がする。
それが一般的な正解だったかどうかはともかく、
祖母は、私の塩梅を知っていた。
そんな気がする。
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祖母は、とても魅力的な人だった。
当時もう六十を過ぎていたと思うけれど、
『北斗の拳』が大好きだった。
保育園から帰ると、一緒にテレビを観るのが日課だった。
今の時代なら、
ひでぶ!を保育園児に見せたらコンプラ一発アウトだ。
母に叱られている私を見ると、
祖母は柱の陰からこっそりと
「秘孔を突け。」
という合図を送ってくる。
怒られている最中なのに、
ばあちゃんのせいで笑いそうになる。
私は涙と笑いを同時に堪えた。
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そんな祖母は、私が中学生の頃、
七月七日。
七夕の日に天に召された。
きっと祖母は、北斗七星の下あたりで笑っている。
「あんじゃない。」
「あんばよう。」
そんな声で、今も私を見守ってくれている気がする。
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ちなみに
ケンシロウ推しのばあちゃんは
ビジュアル的には正統な昭和のばあちゃん👵で、
全然ハイカラな感じではなかった。
手ぬぐいを頭に巻いて、前掛けをしている。
ジョブズのようにいつもそれ。
北斗七星の登場人物としては
少々絵面が違うけど、きっと楽しくそこにいるはず。
方言って、不思議だ。
あの「温度」って、
標準語には訳しきれない。
