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noriko6rich
【ショートショート】 『ときめきトゥーシューズ』
『ときめきトゥーシューズ』という芸術作品が出展された。
プロのバレエダンサーはトゥーシューズをそうとうな手間をかけて自分用に改造し、それを短期間で消費する。用途のなくなったシューズは捨てられるしかない。
eyesという名の新人と思われる芸術家がその廃シューズをオブジェに利用した。中央の軸に放射状に伸びた枝があり、そこに靴が配されている。中央の液晶パネルには、トゥーシューズの持ち主であったと思われる若く美しいバレーダンサーの写真が浮かんでいた。
「目のつけどころはいいね。少しスパイスがたりないがね」
高明な評論家がそう評価した。
だが作品の本質は別なところにあった。
展示期間の後半、液晶パネルにダンサーの姿はなかった。
パネルについていたカメラは、ひそかに観客を映していたのだ。
パネルには編集された映像があった。そこには、人のいないのを見計らって靴のにおいを嗅ぐ男たちの姿が映し出されていた。
かの評論家も含めて。
