いとおかし作家のこざかしい落下 毎週ショートショートnote
儂の正体 【410字】
儂は中国より伝わる伝統の継承者。一子相伝の正当継承者である。北斗の・・・いや、武術の類いではない。
儂は水飴をこねる。麦芽から作られた麦芽水飴じゃな。それにハチミツを混ぜるんじゃ。その塩梅は気温や湿度で調整する。ここが作品にはだいじなとこじゃ。
それから手に収まるほどの固まった水飴に穴を穿ち、それを広げていくわけじゃ。それを伸ばしては輪を重ねていくって寸法じゃが、キレんようにするのがむずかしいんじゃ。いやいや、儂は決してキレたりせんと言うておろうが。シバくぞ!
ああ、失礼。
じゃが、ものは水飴じゃすぐにくっついてしまうじゃろ? そこでコーンスターチを使うんじゃ。知っとるかな? コーンスターチはその名の通りコーンのでんぷんを抽出したものじゃ。その粉をまぶしながら、どんどん伸ばしていくんじゃ。そして糸ほどに細く長くするわけじゃな。如何にも縁起がいいじゃろ? ほそーく、ながーくじゃ。
そう。お察しのとおり儂は糸お菓子作家じゃ。
配達変 【410字】
では配達の話をしよか。配達先? そんなもん恭しいお方に決まっとろうが。
ブォーん
いい音じゃろ? マセラティって言うてな。イタリアのまぁいわゆるナニじゃ。いやいや自慢しとるワケじゃなか。お訪ねする先に敬意を表しとるんじゃ。
じゃからな、いくら車の能力が高くとも法定速度は守っとる。
いつも60じゃな。
何故スピードを出さないか? そんなことわかりきっとろうが。たとえばじゃ、60キロで壁にぶつかったらどれだけの衝撃があると思うかね?
わからん時は視点を変えるんじゃ。それは五階建ての建物から落下するのと同等の衝撃がある。こんな配達の途中で死んじまうのは悲しかろ?
その時じゃ、お姉ちゃんのお尻に目がいってしもたんじゃ。その好きに車だけが勝手に進みおって、信号待ちの車のお尻に建物の五階から真っ逆さまに落下したというわけじゃ。
で、病院のベッドにいるという顛末じゃ。
笑いたければ笑うがよかろ。
珈珈珈珈珈
ただの文字数合わせじゃ。気にするな。
了

そんなにジッと見ないで!
たらはかにさま
よろしくおねがいします
