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Silent Tide 日露国際企画

Exective Producer Mr.Persi
日頃より日露庶民底辺文化の復興にご尽力いただき、ありがとうございます
 この度の企画への参加が、その一助になればと存じます

静かの海  【だいたい500字】

 ふくらむレースのカーテンの隙間から日の光がこぼれた。それはフローリングを跳ねてあなたのグレーのパーカーのフードにこっそり収まった。
 あなたはふいにこちらを向いて、「海に行こうか」と言った。
「コーヒー、飲み終わるまで待ってよ」
「のんびりしてると夕陽が沈んじゃうよ」そう言って笑った。
 あなたはそのやさしい笑顔のままキーを私に放り投げた。

 空も海も赤く色づいていた。砂浜に白い波が小さく砕けている。
 あなたは波打ち際までいくと「いいよね」と言った。
 何がいいのだろう。あなたの言葉には主語がないことが多い。でもあえて訊かない。
「そうね」
 私が応えると、あはははと声を上げた。
「なんなの?」
「いい加減な返事しただろ」
「こんな景色の中であなたと過ごしていたい。そう思ったの」
「僕が言ったのは砂浜にゴミがないことだよ。ゴミだらけだっただろ」
「そうだった? あまり気にしてなかった」
「なんだよ。だいじなことだろ?」
「そんな環境にうるさい人だっけ?」
 振り返ったあなたの白い歯が赤い空にまぶしかった。
 その光とともに空が静かになった。夕陽の名残の色にあなたの匂いがした。
 種雄、あなたは海に帰ったの? 打ち寄せる白い泡からはもうあなたの声は聞こえない。
     了

*題名の静かの海は月の海。アポロ11号が人類で初めて足跡を記したのがこの静かの海である。

こんなイメージでした



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