【あふれかえる年鑑】120万円の機材とiPodのノイズ——2002年、何者かになりたかった私の記録
2002年。世の中は日韓ワールドカップに沸き 、私はコタツでパソコンをいじりすぎて吐き気を催していました 。
当時、私が何を考え、何に数少ない所持金を注ぎ込み、どんな音楽に救われていたのか。バックアップファイルから見つかった、当時の剥き出しの記録を振り返ります。
1. 120万円の「暴挙」とクリエイターの端くれ
2002年の初夏、私は「暴挙」に出ました。120万円を投じて、ノンリニア編集機材一式を揃えたのです 。
機材への執念: G4の蓋を開け、ジャンクションボックスにMDを繋いで音出しに成功した時の「機械に強くて良かった」という高揚感 。
自宅編集の喜び: After Effectsで素材を作り、即座にMedia100に入れて動きを確認できる環境に「ブラボー120万円」と叫んでいました 。
今のスマホ1台で何でもできる時代からは想像もつかない、物理的な重みと金額が、当時の「本気」の代償でした。
2. ファミコンとマンガ、コンビニの夜
クリエイティブな活動の合間に私を支えていたのは、皮肉にも最新技術ではなく、セーブ機能すら持たないレトロゲームでした。
『迷宮組曲』の不条理: セーブができないため、夜もファミコンの電源を入れっぱなしにして攻略に挑む日々 。ボスの部屋で数時間格闘する感覚は、映像編集でカットを繋げられずに悩む時間に似ていました 。
コンビニ文化: 『ブラックジャックによろしく』や手塚治虫の『ブッダ』をコンビニで読み耽り 、冷しゃぶを食べて「ブタミンパワー」を補給する 。そんな質素で濃密な日常がそこにありました。
3. 音楽と映画、震えるほどの衝動
この年、私の心を最も激しく揺さぶったのは、映画館で浴びた音楽の熱量でした。
『青い春』とミッシェル: 映画『ピンポン』も話題でしたが、私を射抜いたのは『青い春』でした 。劇中に流れるミッシェル・ガン・エレファントの「ドロップ」、そしてチバユウスケの声 。映画館の爆音で聴くその威力に、涙が止まりませんでした 。
ハルの凍結と喪失: 大好きだったバンド「ハルフロムアポロ'69」の活動休止を知り、「もうライブが見れない」と絶望した夜もありました 。
4. iPodという新時代の「ダメダメ」
秋、私は通勤のために5万円でiPod(10GB)を購入します 。しかし、そこで待っていたのは「新技術への失望」でした。
曲間のブツ切れ: 当時のiPodは曲間がブチブチと切れ、不快なノイズが入る仕様でした 。
100メガショック: 改善のためにOSをバージョンアップしようとして、iBookのデータがほぼ初期化されるという大惨事に見舞われました 。
新しい時代へ進もうとするたびに、デジタル特有の不具合に足元を掬われる。それでも、より良い音、より良い表現を求めて諍っていたのが、2002年の私という人間でした。
あとがき 読み返すと、今の自分を形作っている「機材好き」「音楽狂い」「執着心」の原液がすべてここに詰まっていました。120万円の機材はもう手元にありませんが、あの時感じた「ぐああ」という衝動だけは、今も大切に持っていたいと思います。
Gemini分析原文
2002年の日記全文を月ごとに分析しました。
この年は、高額な編集機材の導入という**「クリエイターへの一歩」と、ファミコンやマンガに没頭する「サブカルチャーへの傾倒」、そして大好きなバンドの動向に一喜一憂する「音楽ファンとしての情熱」**が渾然一体となった、非常に密度の高い1年であったことが伺えます。
2002年 月別分析
5月:身体の不調と喪失感
日常: 長時間のパソコン作業による吐き気や右手の冷えなど、不規則な生活による体調不良が目立ちます 。
音楽: バンド「ハルフロムアポロ'69」の凍結(活動休止)を知り、深い悲しみに暮れています。昨年末のライブの衝撃を振り返りつつ、もう二度とあの歌声が聴けない喪失感を吐露しています 。
6月:120万円の暴挙とレトロゲーム
大きな買い物: ノンリニア編集機材一式を120万円で購入するという「暴挙」に出ます 。中旬にはMacG4へのインストールも成功させ、自力で解決するスキルの高さを見せています 。
ゲーム: ファミコンの『迷宮組曲』に没頭。セーブ機能がないため電源を入れっぱなしにするなど、執念の攻略を見せます 。その後、『裏ゼルダ』の難易度にも苦戦しつつ、その完成度を絶賛しています 。
その他: エミュレータ(MacMAME等)への関心や、エレカシ(宮本浩次)の格好良さを再認識するなど、多方面にアンテナが張られています 。
7月:マンガ三昧と身近な工夫
読書: コンビニでの立ち読みをきっかけに、『ブラックジャックによろしく』から『うる星やつら』、安野モヨコまで、新旧問わず大量のマンガを読破しています 。
日常の知恵: 使いにくいG4のマウスをiBookへ回し、卒業証書入れをマウスパッド代わりにするなど、身の回りのものを工夫して快適な環境を作っています 。
食: 冷しゃぶにハマり、「ブタミンパワー」で夏を乗り切ろうとしています 。
8月:映画・イベントと音楽の衝撃
エンタメ: 映画『ピンポン』を観劇。役者(ARATA)や演出を評価しつつも、原作の壁を感じています 。
松本人志: 『一人ごっつの世界展』に足を運び、松本さんの構成力や「字にしても変わらない面白さ」を鋭く分析しています 。
ミッシェルの衝撃: 映画『青い春』を鑑賞し、劇中のミッシェル・ガン・エレファントの音楽とチバユウスケの声に、涙が出るほどの衝撃を受けます 。
動揺: バンド(HILL)のボーカル西田さんの脱退に激しく動揺する一幕も 。
9月:日常の葛藤と深夜の再会
マンガ: 手塚治虫の『ブッダ』におけるギャグのセンスを絶賛 。
機材: CD-RWの初期化時間の長さに苛立ちを感じるなど、デジタル作業特有のストレスを抱えています 。
テレビ: たまたま目にした『ガキの使い』のフリートークで、かつて熱狂した松本人志の「老い」を感じ、月日の流れを実感しています 。
10月:激変する生活とiPodへの不満
労働: 自由な単発バイトから一転、月20万を稼ぐための過酷な常勤バイト(朝8時半〜夜10時半)を開始。疲弊しながらも「だありゃあああ!!」と気合で乗り切っています 。
ガジェット: 通勤のためにiPod(10GB/5万円)を購入。しかし、当時の仕様(曲間が途切れる、プチプチ音が入る)に激怒。OSのバージョンアップを巡り、iBookを初期化してしまう「100メガショック」な悲劇に見舞われます 。
11月〜12月:格闘の末のライブへの期待
解決と諦め: OSのアップデートには成功したものの、iPodの「トラック統合」機能の使い勝手の悪さに、最終的に「ダメダメだなあ」と呆れ顔です 。
ライブ: サンキングの活動停止に落ち込む一方で、1月のスパナムや鉄かぶとが出演するライブの告知を受け、興奮冷めやらぬ状態で1年を締めくくっています 。
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