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関西弁でよむ歌舞伎|鳴神(なるかみ)

✍️ あらすじ

国中を苦しめる日照りは、鳴神上人が竜神を滝に封じ込めたせいやった。
そこへ宮廷から遣わされた絶世の美女・雲の絶間姫が現れ、色仕掛けと酒で上人を籠絡。封印が解けて竜神は天に昇り、雨が降りしきる。
謀られたと知った上人は怒りに燃え、雷神と化して姫の後を追う──荒事と女方の艶がぶつかり合う、歌舞伎らしい大芝居や。

🎭 登場人物

  • 鳴神上人(なるかみしょうにん)
    法力で竜神を滝に封じ、国中を日照りにした高僧。美女の色香に迷い、堕落してしまう。

  • 雲の絶間姫(くものたえまのひめ)
    宮廷から遣わされた才色兼備の美女。色香を巧みに使い、鳴神を惑わせ封印を解かせる。

  • 黒雲坊・白雲坊(こくうんぼう・はくうんぼう)
    鳴神の弟子。お調子者で、姫の語る馴れ初め話にうっかり聞き入ってしまう。


鳴神上人・雲の絶間《歌川国貞》
ボストン美術館

📜 芝居のすじがき

第一段|日照り

大日照りにあえぐ国中。その元凶は鳴神上人やった。
帝が約束を守らなんだことを恨み、竜神を滝壺に封じたんや。

北山の庵にやって来たのは、亡き夫の衣を濯ぎたいと願う美女。
水を求めて遠くまで来たと言いながら、夫との馴れ初めを語り、裾をすっとまくり白い足をあらわにする。その艶姿に、さすがの上人も思わず身を乗り出す。


第二段|女の柔肌

やがて上人は疑いを抱くが、女は「出家して弟子になりたいのです」と言い出す。
弟子の黒雲坊・白雲坊を使いに出し、二人きりになると、女は急に病のふり。

驚いた上人が介抱するうちに、思わず胸に触れてしまう。
初めて知る女人の肌のやわらかさに心は乱れ、もう抑えきれん。
女は盃を交わして上人を酔いつぶし、滝の注連縄(しめなわ)を切ってしまう。


第三段|怒髪天を衝く

封印が解かれると、竜神は天に昇り、大雨がどっと降り出した。
女の正体は、鳴神の法力を破るために宮廷から遣わされた雲の絶間姫。

謀られたと知った上人は髪を逆立て、雷のごとく荒れ狂う。弟子たちをなぎ倒し、六法を踏んで舞台を駆け回りながら、雲の絶間姫のあとを追うんや。

(鳴神・了)


👀🎬ここにも注目!

荒事の迫力

鳴神が怒り狂う場面では、髪を逆立てた鬘(かつら)が雷のように見えるんや。弟子を投げ飛ばし、六法で舞台を踏み鳴らす姿はまさに雷神そのもの。荒事の大きさが客席にずんと響くで。

女方の艶

雲の絶間姫の見せ場は、裾をまくって白い足をあらわにする所作。色香を巧みに使って上人を惑わす、女方ならではの艶っぽさが舞台を支配するんや。

舞台効果の工夫

竜神の封印が解ける場面では、幕や水を使って豪雨を表現する。
観客に「ほんまに雨が降り出した」と思わせる工夫が凝らされている。

対照の妙味

修験者の荒々しい力と、美女の艶やかな色香。正反対の存在がぶつかり合う構図こそが、この芝居の一番の魅力や。


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