短編小説 そこにある 手紙 ∼第3篇∼
消えている。
そう気がついたのは、
連休に入る前日の仕事がおわって
家に帰ってからのことでした。
椅子の上で
ウトウト としながら
パスケースに保管したままだった
未開封の御神籤のことを思い出していました。
この連休が始まる前までには…
4月の末の祝日を控えていた私は
仕事の予定は 暦通りのお休みになるとはいえ
世間的なこの大型連休が 始まるまでには
未開封にしてある あの御神籤を開くことにする…
と 決めていたのです。
時刻は21時でした。
あと 3時間しかない
いえ あと3時間もある
ウトウト しながら コーヒーを入れて
休日前の夜の一息を
入れようとしていました。
目の前に置いた 透明なパスケースの中からは、
御神籤の君が まだかまだかと言うような面持ちで
こちらを睨んでいるようにも見えました。
取り出して
親指と人差し指の爪先で開封してみると
そこには
「小吉」
と 書かれた文字がありました。
…「大吉」ばかりは 出ないものだな…
早く開けなかったから、
「小吉」になってしまったのかも知れない…
と 思いました。
今日 開けておいてよかった…
とも思いました。
厳しいことも書かれていました。
物事にブレーキを掛けることの必要性
についてが
書かれていました。
眠気の中で
それらの言葉の衝撃を
受け留めていました。
「 戒めとして
…パスケースに…しまって…お…く…こ……と……に…… 」
…私は椅子の上で
入眠してしまいました。
目が覚めると
時刻は 夜中の零時を回っていました。
パスケースが、
目の前のテーブルに置かれていました。
御神籤は
透明なパスケースの中に
正しい姿勢でしまわれていました。
「あれ?」
先日のフードコートで 手にしていた
不思議な白いピュアシートのメモ書きが、
ケースの中から 消えていました。
この透明なパスケースにしまっておいたはずで、
さっき御神籤を取りだした時は
この目で見ていました。
…先週の夕刻に立ち寄った店先で
突如として現れた存在のピュアシート…
今度は神隠しにあってしまった…のか…
しまったらしい…
白いピュアシートは
真っ白な色でしたので、
リビングで使っている
白いテーブルの天板から落ちて、
側壁に貼りついているのでは?
探しましたが、見つかりませんでした。
探しているうちに
「 本当に 今日はもう眠い… 」
と思い 寝支度を簡単に済ませて
本格的に布団の中に潜りこんでしまいました。
首を引っ込めながら
明日の朝は 目覚ましは要らない
という意識にかすめられて
私のオデコの艦長室では
目覚めしのスイッチがオフにされました。
艦長室の艦長のハートでは、
ピュアシート上に書かれていたあのメッセージ
「 心の機微を 一つ一つ正直に書いて、
外の広い箱のなかに 並べてしまうことにしよう。
そういう思いが芽生えたのは
いったい 幾つのとき だったのだろうか… 」
という問いかけに応えようとする心拍と
そして、
神隠しに遭ったピュアシートが
今どこを彷徨っているのだろうか……
という問いかけの渦に
巻き込まれるようにして…
その日の私は
強い眠りに引き込まれてゆきました☆
つづく…
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