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【読書記録】「ダイヴィング・プール/小川洋子」 

空中で真っ直ぐになった身体を水面に沈める純に、恋心を抱く一人の女の子・彩の物語である。
彩は孤児院であるひかり園の先生の一人娘であり、純はそこに預けられた孤児だ。わたし以外のたくさんの子供と共に暮らすひかり園はわたしの家ではないと思う彩は、放課後のダイヴィング・プールの観客席から、純がプールに飛び込む姿をひそやかな楽しみにしていた。そんなある日、彩は満たされない心を、同じくひかり園に通うまだおしゃべりもできない小さなリエをいたぶることで、慰めていた。
自らの心が満たされる時、それは他の誰かにとって健全であるとは限らない。そんな冷たくもじんわりと染み込んでくる人間の心を描いた作品です。

当たり前の話、人間は外的なもの(例えば、家族構成や所属している団体)に決められない性質を持っている。
けれど同時に、人間は楽をしたい生き物でもあるので、その外的なものによって他人を決定づけ、自分の立ち位置を確認して生きていく。
小説の面白さは、(特に小川洋子さんの小さなものに光を与える作品は)、個人に着地するところである。
外的なことは、その個人の周りに付着しているものにすぎない。
小説はきっと、個人の持つ底を知るための道具なのかもしれないと思う。

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