おそらのあのこたち
こどものころ、
こいのぼりは
ただの飾りじゃなかった。
風がふくと、
急にげんきになって、
おなかをふくらませて、
空へ行こうとする
大きな生きものみたいだった。
こわいくらい大きくて、
でも、なんだかうれしくて。
「ねえ、みて!」
そんな声が聞こえてきそうな、
子どもの日の詩です。
おそらのあのこたち
aco
おそらに
浮いてる
とってもおおきな
あのこたち
いつもはね
ぐったりしてる
しずかに
ぺたんって
してる
でも
きょうは
すごいんだ
すっごく
げんき
すっごく
おおきい
風を
いっぱい
たべてるよ
おなか
ぱんぱんにして
ぱたぱた
ぱたぱた
ちょっと
こわいくらい
ちゃんと
みてないと
どこかへ
冒険に
いっちゃいそう
だめだめ
ぼくの!
きみたち
いちばんげんき
もっと、もっと
もっと、もっと
おそらで
えっへんしてる
ぼくのじまん
ねえ
みて!

あとがき
こいのぼりって、
風がない日は少し寂しそうで、
風が吹いた瞬間に
急に生きものみたいになる気がします。
子どもの頃は、
それが本当に不思議で、
本当にすごくて。
大きなこいのぼりが
空でぱたぱたしているだけで、
なんだか自分まで
強くなったような気がしたり。
「うちのこいのぼりがいちばん元気」
「ぼくのがいちばん大きい」
そんなふうに、
何の根拠もなく胸を張れる気持ち。
大人になると忘れてしまうけれど、
あの頃の空には、
ちゃんと友だちが泳いでいたのかもしれません。
風を食べて、
おなかをぱんぱんにして、
どこかへ行ってしまいそうな
ぼくのじまん。
今年もまた、
誰かの小さな「ねえ、みて!」が
空の下で聞こえたらいいなと思います。
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