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10年前、15万円でカナダに来た普通の人の話



海外に住んでいる人って、ちゃんとしてる人が多い。

日本に資産があって、
数ヶ月は生活できる余裕があって、
配偶者の仕事も安定していて。

それが、外から見える“普通の海外生活”。

でもそれって、たぶん
「人に見せられる最低ライン」なんだと思う。

実際は、もっとキラキラしてない。

それに、配偶者ビザって聞くと
「それチートじゃん」って思うでしょ?

でもね、全然そんなことない。

私は全財産15万円でカナダに来た。

余裕なんて全くなかったし、
「とりあえず来た」っていうのが一番近い。


で、カナダに来てまず何をしたかというと、

語学学校に通った。

NPOがやっている学校で、週25ドルくらい。
今思うと、かなりありがたい環境だったと思う。

クラスはintermediate。
日本の高校まで普通に英語をやってきた人が、だいたいここに入る。

授業はディスカッション中心で、
英語を学ぶというより「英語で考える」みたいな時間が多かった。

正直、最初は全然ついていけなかった。

でもそれ以上に覚えているのは、

毎朝バスに乗って、郊外の住宅街からダウンタウンまで1時間くらいかけて通っていたこと。

その時間が、なんかすごく好きだった。

車窓から見える景色も、
周りにいる人たちも、
全部が「海外に来たんだな」って感じで。

当時よく聴いてた「Try Everything」を、
自分の応援歌みたいにしながら通ってた。

たぶん、あの時が一番いわゆる“キラキラ海外生活”に近かったと思う。

でも、それも長くは続かなかった。

語学学校に通って3ヶ月くらいで、
PRが取れた。

ただ、最終書類が日本の実家に届いてしまって、
それを取りに一度日本に帰ることになった。

カナダに来てすぐなのに、3日間だけ日本に帰国。
カルガリーでランディングを済ませて、また戻ってくる。

今思うと、なかなかハードなことしてる。

で、カナダに戻ってきたタイミングで、

LINCプログラムの案内が来た。

移民向けの無料の語学プログラムで、
英語だけじゃなくて、カナダで生活していくためのことも学べる。

無料なら、とりあえず行ってみようと思って、語学学校をやめてそっちに移った。

ここまではよかった。

問題はそのあと。

クラス分けのテストで、なぜかリーディングのスコアだけ高く出てしまって、

そのレベルに合わせたクラスに入れられた。

しかも途中編入。

完全にアウェイ。

周りは普通に話せるし、授業のスピードも速い。

何を言ってるのか分からないし、
どうしたらいいのかも分からない。

自己紹介の時間もあったけど、

正直、話したくなかった。

だから、

「内緒なんだけど、私CIAでね。経歴は言えないんだ」

って適当にごまかした。

今思うと、意味わからない。

でもそれくらい、どうしていいか分からなかった。

結局、3日で行くのをやめた。

語学学校もやめて、LINCも3日でやめて、

じゃあどうするのってなった時に、

働くしかなかった。

正直、選択肢はなかった。

日本に3日帰った飛行機代で、
15万円はほぼ消えていたし、

のんびりしてる余裕なんてなかった。

英語もできない、経験もない。

それでも、とにかく仕事を探した。

最初に受かったのが、Tim Hortons。

いわゆるカナダ版のミスドみたいなところ。

たぶん、カナダ来たことある人なら絶対見たことあるやつ。

面接は正直、何を話したかあまり覚えてない。

たぶん向こうも「英語できないな」って分かってたと思う。

でも、それでも採用してくれた。

今思うと、ありがたい。

で、実際に働き始めてどうだったかというと、

まあ普通にしんどかった。

注文は聞き取れないし、
何言ってるか分からないし、
ミスもする。

周りのスピードにもついていけない。

でも、それでもやるしかなかった。

なんとなくじゃなくて、

本当に“やるしかない”っていう状態だった。

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