田村朋輝投手(アデレード/巨人)インタビュー
“ポジティブ思考”で次のステップへ
育成選手として巨人に入団し、3年目のシーズンが終わった。シーズン中は、ウエスタン・リーグのくふうハヤテに派遣。試合経験を積み、秋季キャンプでは一軍メンバーと共に練習する機会を得た。さらなるステップアップのための、今回のABL派遣。1カ月超の異文化体験の中での学びを聞いた。

先発を経験して、引き出しが増えた
――田村投手は今季、シーズン中にはくふうハヤテ、オフにこのABLへと派遣されています。それぞれの場所で、どんな目的の中、何を学んできましたか。
ハヤテでもABLでも「ピッチングを学ぶ」ことを目的に、先発をさせてもらいました。僕はずっと中継ぎをしてきたので、シーズン中はあまり多いイニングを投げることができなかった。こうして先発としてイニングを投げる中、様々な打者と対戦して打者との駆け引きなどを勉強しています。
――その中で、どんな収穫がありましたか?
今年は、人生で一番長く投げた年になったと思います。二軍では、一軍経験のある選手とも対戦でき、レベルの高い選手をたくさん見ることができました。そこで新しい発見もあって、今までにない感覚が生まれてきたのが収穫です。相手のクセを見抜くとか、自分の状態の良し悪しで、どう自分をコントロールするかとか。
――バッターの数をこなして、田村投手自身の引き出しの中に、たくさんのパターンが詰まってきた感じですね。
そうですね。今までは真っすぐで押して、あとは変化球を散らばすというのが自分のパターンでした。二軍の中継ぎではそのパターンで抑えてきましたが、一軍に行ったらそれだけでは難しいんじゃないかなとも感じていました。それが先発をさせてもらってから、力任せのピッチングではなく、「こういう意図をもって投げました」と自分の中で理解、説明できるピッチングができるようになって、引き出しが増えました。

使えるようになってきたそう(ⒸBaseball Australia)
強気のピッチングを1年間続ける
――オーストラリア野球の印象はいかがですか?
自分が持っていたイメージとは違う野球です。ちょっとメジャー志向といいますか。日本だったら低めでアウトコース、インコースと投げる野球が根付いていますよね。オーストラリアはコースも投げるけれども、どちらかというと高低と、奥行きを使ったピッチングをします。例えばカーブなら、日本では緩急だけなんですが、真ん中にカーブを投げた後、高めに真っすぐを投げるとか。そういう高低のピッチングは初めてで、シンプルだけどあまりやってこなかった配球だと思いました。
――今、アデレードではオーストラリア人(ミッチ・エドワーズ選手)とベネズエラ人(アリリオ・フェレバス選手)の2人の捕手がいますが、キャッチングなど、何か違いはありますか?
(その2人というより)日本と他の国に違いがあると思います。日本は捕手があらかじめ投げる場所にミットを構えることが多いですが、他国の捕手は真ん中に構えて、球が来たところにミットを動かします。メジャー・リーグを見ていても、山本由伸投手も大谷翔平投手(共にドジャース)も、捕手が真ん中に構えてから高めとかコースに投げていて、自分の中で考えてピッチングをしている印象。僕ら日本人は、捕手に引っ張ってもらっているイメージが強いですね。そこもオーストラリアで、今までにあまりなかった経験をしていると思います。
――オーストラリアに来て、田村投手自身が変わったところはありますか?
メジャー経験も持つコナー・グリーン投手に、よく話を聞いています。その彼に言われたのが、「お前は投げる球も一級品で実力はあるけれども、自分の感情を操作できていない」と。僕も含めて日本人って、いいことと悪いことがあると、どうしてもネガティブなほうに思考が進んじゃうじゃないですか。まず、「これがダメだった」みたいな。
――まず反省から入りますよね。
でもコナーには「メジャーリーガーに、そんな選手はいない。いいことを探して、それを続けるんだ」と言われました。僕、メモを取るときも悪かったところと改善策を書いていたんですが、コナーと話をしてからそのやり方を変えて、いいことだけを書くようにしたんです。マウンドに上がったときも、「あ、ここダメだったな」という感情がなるべく出ないように今、練習をしています。
――もちろん成果はすぐに出るものではないでしょうけれども、何か変化は感じていますか?
第3ラウンドのシドニー戦で投げたとき、悪くても自分に余裕があったんです。ポジティブな思考でマウンドに立てたら、4失点はしたものの、ピッチング内容的には結構よかった。やはりそんなふうにつながってくるんだなと実感できました。
僕は日本でリリーフをしていたとき、一軍で1年間活躍できるリリーフの条件は、「いい球を投げ続けられる選手なんだろうな」と思っていたんです。でもこちらに来て改めて、やはりメンタルの強い人、ポジティブな人がそうなんじゃないかと思いました。実際、巨人の一軍でリリーフをしている選手も、明るくて、自分を知っている人が多いです。
――ではそれも踏まえたうえで、ここに来た経験を生かし、来季はどんな田村投手をファンに見せてくれますか?
コナーに聞いた話を意識しながら、強気のピッチングを1年間続けられればいいなと思います。

たむら・ともき◎2004年4月6日生まれ。東京都出身。184㌢86㌔。右投右打。
酒田南高から育成ドラフト2位で23年、巨人に入団。MAX159㌔の速球を持つ、剛腕投手。
25年に派遣されたくふうハヤテではウエスタン11試合に登板し、3勝5敗、防御率4.78。
ABLでは5試合に先発登板し、1勝1敗、防御率7.94(12月19日現在)
