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クリス・アダムソン監督(アデレード)インタビュー

「裕惺は、速球へのタイミングの取り方を磨けば、長く活躍できる打者に成長する」


ABLアデレードのクリス・アダムソン監督は、2017/18シーズンから9季連続で同チームを指揮しながら、MLBフィリーズ傘下のチームで20年から監督、ベンチコーチを務めている。数多くの選手を育ててきたアダムソン監督に、今季、巨人からアデレードに派遣された4選手について抱いた印象と、彼らが今後NPBで活躍するためには、どんなことが必要だと思うかを聞いた。(トップ画像はⒸBaseball Australia)

ABL24/25チャンピオンシップ・シリーズでシドニーをで下し、
クラクトン・シールドを獲得。右はキャプテンのジョーダン・マカードル選手
(ⒸBaseball Australia)                           


悠のカギはゾーンをコントロールすること


――まずは石塚裕惺選手についての印象からお聞かせください。

最初に彼を見たとき、あの若さであれほどのレベルに達していることが、まず印象的でした。彼は身体能力自体も確かに素晴らしく、バッティングの力も持っていました。それに加えて、彼の試合に対する考え方や、試合を重ねるごとに学びを深め、成長していく様子に、私は大変感銘を受けました。速球に対するタイミングの取り方を磨き続け、早めのタイミングで積極的に速球を捉えるようになれれば、長く活躍できる打者に成長すると思います。

――第4ラウンド前の練習日だったかと思いますが、石塚選手と通訳を介して長い話をしたことがありましたね。石塚選手は、打席での考え方、アプローチの仕方について話をした、と言っていましたが、具体的にはどんなことだったのでしょうか?

速球への対応に関する話がほとんどでした。打席で、彼は早いカウントから速球をファウルにしていました。彼は目と手の連動性に優れていて、投球を見て手元に来る前に対応姿勢が取れるんです。だから、多くの速球をファウルにできる。しかし私たちが主に話したのは、速球に対してバットを出すタイミングをいかに安定させるか、ということ。トップチームとの対戦では、よりスピードの速い投手が相手になってきます。その場合は、自分が打てる球を待つ必要があります。しかし好投手が相手になると、打てる球は1球しか来ないかもしれない。その1球に確実に備え、タイミングを合わせるようにしなければなりません。

――荒巻悠選手に関しては、いかがでしたか?

彼は個性的でしたね。楽しむことが大好きで、よく冗談も言っていました。その点、ほかの3選手とはちょっと違っていたけれども、そこがむしろ良かったですね。私はどんな場所でも自分を貫く選手が好きですよ。もちろんフィールドに立つときは、楽しみながらも真剣に努力する姿勢を持ち続けることが大切。悠は、そのバランスをうまく取っていたと思います。今季は岡本和真選手が移籍して、悠にとってはポジションを掴む絶好のチャンス。悠がABLでも時に苦戦していたのは、ストライクゾーンの外の球まで追いかけようとして、スイングの範囲を広げすぎてしまっていたこと。さらに選球眼を磨いて、ゾーンをコントロールできるようになれば、結果としてストライクゾーンに打てる球が来る確率が上がるはずです。

――荒巻選手の守備については、どう思いましたか?

守備は、まだ向上できると思います。(アデレードで主に守った三塁だけでなく)一塁での出場機会もあるだろうし、こちらでは外野の練習をしたけれども、実は外野でも結構動き回れるんですよ。(内野手としては)足さばきの練習を継続していけば、バウンド処理はもっとうまくなれる。守備面では、それが彼を成長に導く大切な要素になると思います。

チャンピオンシップ・シリーズの試合前、シドニーのブルック・ナイト監督、
審判団と握手するアダムソン監督
(ⒸBaseball Australia)  


自分を信じて、成長してほしい


――投手陣2人については、いかがでしょうか。

ケビン(代木大和投手)は、置かれた状況が他の選手とは少し違っていました。故障から復帰したてだったので、ABLで投げながら強度を上げていき、かつ万全な状態で日本に帰ることが求められた。その中で、日ごと本来の彼に戻り始め、球速や変化球の感覚も取り戻してきたのはよかったですね。彼のマウンドでの存在感は、まるでメジャー・リーガーのよう。大きく力強い体を、しっかりマウンドでコントロールしていたのが、印象的でした。

――田村朋輝投手は?

ケニー(田村投手)は、もう少し自分の球威を信じてもいいと思います。彼は本当にいい速球を持っているし、球種も豊富。ただ、話していて少し自信を失っているように感じたことがありました。自分の球威を信じて、バッターを攻め続けられれば、もっと自信が持てるはず。しかし、彼はそれでも毎週マウンドに立ち、戦い続けました。苦しい登板もありましたが、それを乗り越え、懸命に努力し続けた姿は本当に立派でした。最後の先発(12月20日、シドニー戦)は、最高の投球ができましたね。見ていてワクワクしました。

――代木投手の「ケビン」、田村投手の「ケニー」のニックネームは、監督が付けたんですか?

私も含め、他の選手やブルペンの投手陣みんなで付けた感じかな。アデレードに来る選手たちにニックネームを付けるのを、以前からみんなで楽しんでいたんですよ。オーストラリア風の名前を付けようと思って、みんなで考えていました。代木は個性的で声が大きいので、ある日誰かが「ケビン」って呼んだら、それが定着してしまいました。田村は代木に比べて静かだったから、オーストラリアのアニメキャラで物静かな「ケニー」に。野手の2人はいろんな呼ばれ方をしていたけれども、結局「ケビン」や「ケニー」みたいに定着しませんでしたね。ニックネームは自然に生まれるものだし、ムリには付けられないから(笑)。

profile
Chris Adamson◎1988年5月30日生まれ、豪州ニューサウスウェールズ州シドニー出身。
米国テキサス・アンジェロ州立大卒。
2011年から16年までアデレード・バイト(現ジャイアンツ)で捕手として活躍。
現役最後の2シーズンはベンチコーチも兼任した。17/18シーズンから監督。
9季連続の監督在任は、現ABLの史上最長記録。うち4度チャンピオンシップ・シリーズに出場し、22/23、23/24年に続き今季、3度目のクラクトン・シールドを獲得した。
23年WBCでオーストラリア代表の打撃コーチを務めるなど、代表コーチ歴も多数。
20年からはMLBフィリーズ傘下のチームで、監督やベンチコーチを歴任している。


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