代木大和投手(アデレード/巨人)インタビュー
オーストラリアに来て、野球がもっと好きになった
プロ入り2年目の2023年には、開幕一軍を勝ち取った代木投手。24年のトミー・ジョン手術による1年超のリハビリの間に、体重アップでパワーを付け、マウンドに戻ってきた。次なるステップ・支配下復帰に向け、オーストラリアでさらなる実戦感覚を磨く。(※取材はオーストラリア滞在中)

チームメイトとの会話で新しい発見が
――代木投手は2024年4月にトミー・ジョン手術を受け、25年6月に(二軍戦の)実戦復帰しました。これは、代木投手自身の思い描いていた復帰の過程通りでしたか?
正直、自分としてはシーズン残り1カ月あたりのところで、二軍戦に投げさせてもらえれば、と思っていました。それが復帰して1カ月で、二軍戦に投げることができた。しかも球速自体はMAX(152㌔)を更新する155㌔が出たので、リハビリを頑張ってきてよかった、ここまでやってきたことは無駄じゃなかったなと感じました。一方で試合を重ねるにつれ、体力面や投球技術の課題が出てきて、そこからパフォーマンスが上がってこなかった面もありました。ただ個人的にはいい形で復帰させていただき、自分が思い描いていた以上のことができたのかなと思っています。
――そんな中、球団からこのABLへの派遣を打診されたわけですね。
復帰後、初めは中継ぎで投げていたんですが、来季は先発として考えているということで、中6日で少しずつイニングを増やしていました。来季先発で投げるためには、まだまだイニングも球数も足りていない。その確保と実戦を積むためにもABLはいい環境だから、と球団には言っていただきました。僕自身、ウインターリーグには興味がありましたので、ぜひ行かせてください、と。バッターとの駆け引きなど、まだまだ投球の中での課題も山積していて、それを克服してきてほしいということで、送り出していただきました。
――シーズン中にやり残した復帰明けの課題を、ここでそのまま続けられてよかったですか?
僕自身、(25年は)試合数も正直足りなかったですし、26年は勝負の年と思っています。ここで3試合(インタビュー時点)に投げさせてもらい、よかったり悪かったりはありましたが、その中で何がよくて何がダメだったのか、よくなるために何をしなければいけないのかが、とても明確になってきたと感じています。
――こちらではすべて自分で感じ、考えて、より主体的に動かなければならないですよね。それが大きかった?
そこもあるとは思います。登板日に向けて逆算して、自分で何をしなければいけないのか、どういうトレーニングをすべきかを、今まで以上に考えるようになりました。あとは、チーム内でいろんな選手とコミュニケーションを取る中、自分としてもいろいろ新しい発見があったんです。
――例えば、誰とのどんな会話がヒントになりましたか?
右投手ならコナー・グリーン、左ならジャック・オローリンですね。結構、試合中に話をすることが多いんです。「今日、マウンドで投げてこんな感じだったんだけど、僕のピッチングを見てどう思った?」と聞くと、「ここをもっとこうできたら変わったんじゃないか」とか、見て感じたことを伝えてくれる。実際プレーしている選手なので、コーチとはまた違った目線のアドバイスになるんです。より明確というか。そうやっていろんな話ができる環境の中で、日々とても充実しています。

5.2回を投げ被安打1、自責点0(失点1)、奪三振10でチームの勝利に貢献
(ⒸBaseball Australia)
「勝てるピッチャー」を目指して
――今、トレーニングとマウンドでそれぞれ一番意識していることはなんですか?
トレーニングに関しては、さらに土台を作りながら、ピッチングにつながるトレーニングを入れています。マウンドでは課題としている体力作りと球数、あとは試合勘。自分の感性も含めたスキルアップを意識しています。僕は奪三振率が低いので、それを上げることも課題の一つ。こちらに来て少しずつ三振の数を増やしてきてはいますが、まだまだ波が激しいので、その波をできるだけ高いところで維持しながら、(波を)少なくしていきたいと思っています。
――三振を増やすには、空振りを取れる球を増やす、配球を見直すといった、アプローチの仕方がありますね。
こちらでスライダーやスプリットといった変化球を練習し、試合でもその球で三振を取れるようになってきました。あと、先ほど名前を挙げたコナーもジャックも、2人ともメジャー経験があるんですが、やはり配球が上手いなと感じます。ただ“いい球”で三振を取っているのではなく、配球で三振を取っているところが見ていて分かるので、とても勉強になっています。
――ABLに来て、代木投手自身が何か変わった部分はありますか?
いろいろありますが、一番は改めて「野球っていうスポーツは楽しいな」と感じたことですね。あまりネガティブな選手がいないじゃないですか。
――切り替えがムチャクチャ早いですよね。
マインドが素晴らしいですね。常に前向きに物事を捉えながら、失敗しても次、という切り替え方をみんな知っている。休むときは思い切り休んで、はしゃぐときは思い切りはしゃぐんだけど、スイッチが入るとメチャクチャ集中するとか。そういう面は、僕自身も参考になるなと思いました。でも何より、「みんな本当に野球が好きなんだな」と感じます。野球が好きだから、一生懸命勉強する。僕もこちらに来て改めて、さらに野球が好きになりました。
僕はどうしてもネガティブに考えがちなので、こちらの選手と同じようなマインドで日本でもできたら、自分がよりよくなれるんじゃないかとも思いました。悪いところばかり考えず、その中にいいところもあったから、次はここを修正しようと切り替える、こちら式の野球スタイル。そんな考え方も、自分の引き出しに入れておきたいです。
――今季はまず、支配下登録が一つ大きなステップになると思います。その先は、どんな選手になりたいですか?
先発で、勝てるピッチャーになりたいです。そのために何が必要なのか、どういう練習をしなければいけないのか、野球を辞めるまでずっと考えていかなければならないと思っています。

しろき・やまと◎2003年9月8日生まれ。愛媛県出身。
184㌢102㌔。左投左打。投手。
明徳義塾高からドラフト6位で22年、巨人に入団。
23年には球団22年ぶりに10代の投手として開幕一軍入りし13試合に登板、0勝0敗、防御率5.40。25年はイースタン・リーグで4試合に登板(うち先発3)、0勝0敗、防御率2.57。
ABLアデレードでは5試合に先発登板し、0勝2敗、防御率5.06。
