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潮流

~全部、ひとつの脳の中での物語~
ポエジーや音楽の意識への渚への漂着は、こちらからは行き方のわからない小さな島に住む神様次第。

私と彼女が葦の舟で遊んでいると、潮流に流されて、陸に戻れなくなった。このまま死ぬのかと思ったら、何日も流されたあげく、海上では点のように小さな島に漂着した。ここで二人で原始生活で暮らしていこう。
ところが島にはひとりの少年が棲んでいた。お名前は? モーツァルト。彼は知的障碍があるのか、カタコトだった。何故ここに一人で棲んでるの?街でいじめられたの? 兄が自殺した。そうか。それでここで一人で棲んでるのね。これからは三人で。街、帰りたくないのか。帰りたいけどこの舟では無理。死ぬだけよ。
潮を読むと少年は言った。サヴァンなのだ。少年が指示したタイミングで舟を出した。私たちは街に流れついた。
街を歩いていると父子に会った。息子の方はなんと島で会った少年ではないか。街に帰ったの? よかった! というと、首を傾げる。島で会った話をすると、双子の弟のモーツァルトだという。お兄さん生きてたの? 心肺停止から10日後に蘇生した。弟は自分の才能が兄を自殺させたと思って行方不明になった。あなたの名前は? サリエリ。なるほど、全部わかった。だけど臨死体験で、自分は弟のプロデュースをするミッションがあるとわかったのでもう自殺はしない。だが、弟はどこに?
潮に流されただけだから、私たちもわからない。モーツァルトが潮を読んで私たちを帰してくれたの。だが、サリエリは潮を読めない。では弟が自分で帰ってくるまでもう天上の音楽は発表できない。弟の頭の中では毎日鳴っているのに! こちらからはあの点のような島に行く方法がない。弟がふと思い直して潮に乗って帰ってくるのを待つしかない。
なんてこった!
ここで目が覚めた。

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長澤靖浩 もしも心動かされた作品があればサポートをよろしくお願いいたします。いただいたサポートは紙の本の出版、その他の表現活動に有効に活かしていきたいと考えています。