並んで歩く|シロクマ文芸部
ゆっくりと、父が歩く。
私が小さい頃、父の歩幅に合わせるのは大変だった。
いつも小走りしながら、私はその背中を追いかけていた。
けれどいつの間にか私は振り返って父に声をかけるようになっていた。
父は少し遅れながら、でも昔と変わらぬ表情で景色を見ながら歩いている。
急かしたことがある。
「もう少し早く歩けない?」
父は笑って言った。
「お前が子どもの頃、俺も同じことを思ったよ」
それから私は、父の隣を歩くようにしている。
ゆっくりと、二人で。どこへ行くわけでもない道を。
小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します。
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