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夏が来てしまう

これが公開される頃には梅雨が明ける。
十中八九間違いない。

この気配を察する能力は、特殊能力のようで実は一般的な能力なのだ。
春が来るのを察する、梅雨明けが分かる、秋の気配がする、冬の到来を感じる。
昔から文学的にも語られているし、身体的にも感じ取れているのに正式な言葉が付いていない。

強いて言うなら「季節感覚」あたりが正しい表現なのかもしれない。視覚やら聴覚その他を組み合わせ、総合的に判断して「梅雨が明ける」という答えを導き出しているそうだ。

人間ってよくわからない。
物凄いポンコツかと思えば、時々超高性能だったりする。
面白い。

そんな自分が梅雨明けを察している。
空が高くなり、まっしろな雲が夏空に沸き立っている。

なのにまだ梅雨明けは早いと悲しがる自分がいる。
今年はしっかり梅雨空があったはずだ。
充分梅雨を満喫したはずなのに、通り過ぎると思うとやっぱり少し寂しい。

夏はもう少し先でいい。
前夜祭は長い方が好きなんだ。

雨はあまり好きではないが、梅雨は好きという意味不明な理屈もよくわからない。普段の雨とは違う、感傷的な背景を汲み取っているのだろう。

あぁ、夏が来てしまう。

ショートケーキのイチゴは最後まで取っておくほうなんだ。夏はすぐ過ぎてしまうから、このだらだらした空気感を感じていたい。

できることなら、もっと先延ばしにしてほしい。

すだれ越しの風にあたりながら、全身で夏に晒されているのに。



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