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お気楽お帰洛記(2026年夏)其壱

実家の京都に帰った際の諸々を書き留めておく”お気楽お帰洛記”…

お陰様で、それなりの回数を重ねて参りました。
今回は図らずしも、祇園祭の真っ最中にぶつかっておりましたが、人混みの苦手な僕はコンチキチンのお囃子も聞かず、あちらへブラブラ、こちらへブラブラ。
なので、祇園祭レポートは皆無であることを、予めお伝えしておきます。
また”お帰洛”という割には、他府県のお話もだいぶ混じっておりますが、何卒寛大な心でご容赦くださいませ。

という訳で、始まりは彦根。

以前もお話ししたと思いますが、僕にとっての”お帰洛”は、彦根城の麓の博物館に寄ってからが定番コース。
こちらの博物館は井伊家の名宝が数多く展示されており、お茶や能楽好きな方にはうってつけの博物館かと思います。

今回は「天下一の面打 名工の技 幽玄の美」と題されたテーマ展が行われており、最初の展示室には能面がズラリ。
いずれも「天下一」の称号を得た名人の立派な作品ですが、実は僕はこの称号が使われる以前の、ちょっとプリミティブな感じのお面の方が好み。
ですので、今回は別の展示室にあった「朝日」を紹介したいと思います。

まだ能面が定型化する以前の作品らしく、他に類例がないとのこと

作者は、実際の水死体を手本にしたと言われる「蛙」や、やはりとても不気味な「痩女」などを作った謎の面打・日氷(ひみ)という説もあるそうですが、なんとなくそれも頷けるヒンヤリした面持ち。
新幹線を降りて「関西、暑っ!」と思った気分を一気に吹き飛ばしてくれました。

続いては、教科書でもお馴染みの井伊直弼が、日光の栗山という場所で手に入れた桶に黒漆を塗らせ、水指に見立てた「曲物黒漆塗栗山桶水指」。

書かれているのは「栗山の苔の下水ここにだに 賤がしわざを汲みてこそしれ」という和歌。

なんとなく桶から汲む水には独特の清涼感がある気がしますが、その清らかな感じにうまく鄙びた雰囲気を合わせた素敵な見立て道具だなぁと思いました。

そして、ヘッダーの画像からもご推測の通り、今回はひこにゃんのお目見えを待たずして彦根を出奔。

ごめん、ひこにゃん。次回また‥

今回の”お帰洛”にあたって、もう一箇所、滋賀に寄ったら久々に行きたいところがあったのです。

そんなこんなで、やってきたのは…

能の演目の舞台にもなっている滋賀県長良山の三井寺(園城寺)。
ちなみに、このお寺には閼伽井屋(あかいや)という建物があり、そこから湧き出る霊泉が、天智、天武、持統天皇の産湯に使われたことから、三井寺という名前になったそう(知らなかった…)。

こちらは桃山時代に再建された金堂

また、お茶好きの方なら、利休さんが作った竹花入の「園城寺」という名前を思い出す方も多いかもしれません。

とにかく、このお寺は「何が…」と説明しようとすると難しいのですが、山の中腹にある広い境内と、すぐそこに琵琶湖を望む空気の瑞々しさが、なんとなく京都や奈良のお寺とはまた違った、風通しのいい感じを生んでいて、たまに訪れたくなる場所なのです。

上がったことがないので分かりませんが、眺めの良いことで有名な観月舞台
三井寺と言えば、弁慶が引き摺ったと言われる巨大な鐘。

ちなみに先ほど出てきた竹花入は、割れてヒビが入っている為、この傷だらけの鐘になぞらえられて「園城寺」と名付けられたそう。

そして、この鐘を模して1602年に鋳造されたものが、現在も鐘楼に収まっています。
一回800円で撞くことができるので、早速…

ゴーン‥、…、

こちらの鐘は、日本美術好きはご存知の「近江八景」の一つ「三井晩鐘」で知られる鐘。
音が大変良いことで有名だそうで、確かになかなか柔らかな響きで心が落ち着きます。

他にも、”開祖の智證大師がこの上を渡っている最中に、中国のお寺が火事に見舞われていることを悟り、井戸の水を撒いたところ、雲が沸き起こって中国に飛び去った”という伝説のある「村雲橋」や

ちゃんと後に、中国から鎮火のお礼を伝えに使者が来たとのこと。そういう話、大好き!

元々、うちの実家近くの伏見城にあったものを、家康がこちらに移築した仁王門など、時間を忘れて見入ってしまうポイントがたくさん。

表から撮影するのを忘れ、裏側からの写真で失礼します。

あれやこれやと心を遊ばせているうちに、そろそろ閉門の時間が近づいてきたので、山を降りて一日目は終了。
という訳で、若干、駆け足気味のお帰洛記ですが、締めは蝉時雨の中、殷々と響く鐘の音を聞きながら出来た一句を…

空蝉も 聞きて揺るるか 晩(くれ)の鐘

拙詠

(次回に続く)

という訳で次回に行く前に…

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