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ぼくのよる──影が歩き出した夜のこと

夜が終わらないあなたへ。
眠れない夜に、誰かの物語が静かに寄り添ってくれたら。
「ぼくのよる」は、そんな願いから生まれました。

神秘と向き合う日々のなかで、私は夜ごと人の声を聴いてきました。
言葉にならない沈黙が、受話器の向こうから静かに伝わってくる。
そこで出会うのは、誰にも言えなかった沈黙たちです。

ある晩、とても深い相談を受けました。
言葉にならない痛みが、受話器の向こうから静かに伝わってきて、
通話が終わったあとも胸に残り続けました。

その余韻を抱えたまま、私は一曲の音楽をかけたのです。



スクリャービンの前奏曲が照らしたもの

青灰色の夜空に浮かぶ満月と、シルエットの葉が重なる幻想写真。 霧のような青光と静かな月明かりが広がり、神秘的な夜景を演出する。 月/夜空/霧/青い光/スピリチュアルフォトなど、検索上位を狙うキーワードを含む Tsuburane°の幻想系ナイトフォト。
青灰の夜に浮かぶひとつの月。
「ぼくのよる」が芽生えた、最初の光。



青灰の夜に浮かぶ月——「ぼくのよる」が生まれた気配)

アレクサンドル・スクリャービン
「24の前奏曲 Op.11 第21番」。

この作曲家は共感覚の持ち主でした。
音に色を見て、和音に光を感じる人。
彼の音楽は、聴くというより「浴びる」ものに近い。

静謐な入りから始まり、
中盤でふっと胸の中心が温まるような振動が広がります。

その瞬間、蓮沼から蓮が立ち上がるように、ひとつの像が浮かびました。

少年。
そして、そのそばを歩く犬の影。

影は、ときどき自分の形を裏切る——
そう思った瞬間、物語は歩き始めていました。



少年と犬が連れてきた記憶

羊毛フェルトで制作されたタロットカード「THE MOON」。 満月の夜、青い光に包まれた少年と犬が並んで立つ幻想的アート。 二つの塔、月明かりの道、小さな蝶がシンボリックに配置され、 ローファンタジー、占い、タロット、スピリチュアル系検索に最適化された青の世界観。 Tsuburane°によるニードルフェルト作品。
THE MOON
少年と犬が歩き出す、青い影の物語。


なぜ「少年」だったのか。

私は子どもの頃、よく男の子に間違えられました。
どこかに「少年性」が住んでいたのでしょう。
冒険心と孤独が、同じ部屋で暮らしていました。

だから少年と犬の並びは、私にとってとても自然でした。
どこへ向かうのかもわからないまま、ただ夜を歩いていく。
その後ろ姿が、たまらなく愛しかったのです。



「優しい虚無」という核

この物語の中心にあるのは、優しい虚無です。

悲しみを無理に明るくしない。
夜を無理に終わらせない。
ただ「そのまま」を見つめる。

その静けさの中にだけ、
ほんの小さな温度が生まれる。

私は、夜が終わらない人に届けたかった。
不思議を愛する人に届けたかった。
そして、かつての私のように
「少年かもしれない自分」をどこかに抱えている人に届けたかった。



胸の奥に眠るもうひとつの物語

この作品を書きながら、
私は自分の中にある大きなテーマと出会いました。

世界のどこかにある、ある種の悲しみ。
それを、いつか言葉にする日が来るかもしれません。

今はまだ、影のかたちでしか語れない。
でも影は、ときどき本体より先に歩き出すものです。

「ぼくのよる」が、
あなたの夜にそっと寄り添えますように。



▶︎ Tales版『ぼくのよる』を読む

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