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「進むべきか、止まるべきか? それが問題だ。(3月6日)」

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あなたは車の運転をしていて、目の前に迫る
交差点の信号機、その赤ランプが点灯したとします。
さて、どうされますか?
おそらく、それが『車道に向けての赤』なら自動車を止めます。

目の前の横断歩道の信号は『青』で、歩行者が渡り始めているのが見えることでしょう。

しばらくすると、歩行者の信号は『赤』に、
あなたに出発信号の『青』。軽やかに走り出します。
これらは歩行者と自動車の双方にコンセンサス(合意)がとれていてルールとして定められているから。

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こういったルールは、音楽にもちゃんとあって、楽譜に作曲家からの指示として記されている。決まり事だから、守らねば間違った演奏や、他の楽器と合奏している場合には『演奏中断』というあってはならないインシデント(重大事故)に繋がる。

演奏家が見ている楽譜、五線譜の上には音の高さや長さを表す音符と、間合いを取るための休符などの他に、演奏の繰り返しを示すリピート記号、演奏の速さや強弱、さらには音を長く伸ばしたり、反対に短く切ったりする指示も表されている。
良い音楽とは、それが記された楽譜も美しい絵のようである。

(音楽を美しく奏でるために、楽譜には作曲家からのメッセージ、音符や休符のほかに記号や印が書き込まれている。演奏するときには、それらをしっかりと読んで、音楽に込められた作曲家の意図を想像して表現すること。)

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さまざまな意味を持つ記号があるのだが、一つの記号が複数の意味を持ち、使われる場面によって、異なった意味や役割をするモノも存在する。

たとえば、音楽において「#」の呼び方は『シャープ』で、その役割は、この記号が付けられた音を『半音上げる』を意味するが、SNSなどでは『トレンドや話題を分類するタグ(ハッシュタグ)』であり、さらには、電話においてはダイヤルパッドの『シャープボタン』となる。

以上のように、音楽とSNSという別分野であれば区別もつくが、同じ食べ物という括りの中で耳に入ってくる音が全く同じ(同音異義語)で違う意味を持つ果物の『カキ(柿、Persimmon)』と海の幸の『カキ(牡蠣、oyster)』のような、前後の脈絡や話されるシーンから、受け取り手が察しなければならない音楽記号もある。
それが『フェルマータ(𝄐)』である。

(ベートーヴェン 交響曲 第5番 ハ短調 作品67『運命』  ここでのフェルマータの使い方は、音の引き伸ばし&フレーズの一区切り(句読点。、)として使われている。以下、楽譜は国際楽譜ライブラリープロジェクト(International Music Score Library Project、IMSLP)様より借用。)

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『フェルマータ(𝄐)』は、音符や休符の上に配置され、その音を「程よく伸ばす」または「一時停止する」という意味を持つ音楽記号である。
この時点で、すでに「程よく伸ばす」または「一時停止する」と2つの機能を併せ持つ上に、この「程よく伸ばす」というのも、一定の決まりがあるものではない。

フェルマータが付いた音を、元の長さの2倍か3倍か、あるいはそれ以上に伸ばすのかは演奏者や指揮者の裁量で音の長さを自由に決定できるのが特徴であり、主に曲の盛り上がりや休止箇所で使用される。

(J.S.バッハ カンタータ第1番『暁の星のいと美しきかな』BWV.1  第3曲アリア。 ここでのフェルマータは、曲の折り返し(ダ・カーポ(da capo)からの終わりを示している。)
(J.S.バッハ カンタータ第1番『暁の星のいと美しきかな』BWV.1  第6曲コラール。ここでのフェルマータは、讃美歌の"歌詞の区切り"を表している。なので、音の引き伸ばしはしない。)
(モーツァルト ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 Kv.466 第1楽章のカデンツァ(cadenza)部分。フェルマータは、ピアノソロによるカデンツァの入りと終わりを表している。音の引き伸ばしというよりも、ピアノとオーケストラとの合図としての意味が強い。)

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『フェルマータ』についてまとめると次のようになる。
1.意味と機能
「fermato(停止した、閉じた)」というイタリア語に由来し、楽譜上の音符や休符を通常の長さよりも長く持続させることを指示する。

2.用途
①音符の延長/メロディーのクライマックスで音を強調する。
②休符の延長/演奏を一瞬止め、劇的な効果を生み出す。
③曲の締めくくり/音符、あるいは終止線の上に書かれ、最後の和音をたっぷり鳴らす。

「③ 曲の締めくくり」については、 「fermato(停止した、閉じた)」というイタリア語の本来の意味としての使い方がされる。

例としてバッハのアリア(いわゆる『ダ・カーポ・アリア』)などでは、ダ・カーポ(D.C. / Da Capo)が曲の末尾に付けられて、決まりごととして曲の頭まで戻り、終わりの印としてフェルマータ(𝄐)やフィーネ(fine)が使われていたり、同じくバッハのコラール(Choral、讃美歌)では、歌詞の節回しの区切りとしてフェルマータが向けられている。

なお、この「③ 曲の締めくくり」では、フェルマータが付けられていても、その音は原則として引き伸ばされない。日本語の句読点(。、)と同じく、讃美歌の"歌詞の区切り"を表している。

つまり、『フェルマータ』とは、使われる音楽が作曲された時代がバッハなどが活躍したバロック期か、ハイドン・モーツァルトの古典期、ベートーヴェン以降のロマン派などで、大まかに判断し、音楽の表現としてのフェルマータが、どのような箇所で使われているか、前後の脈絡を読んで、いくつかある意味のどれなのかを『雰囲気』で判断しなくてはいけないのである。

(普通高校の音楽科の教科書。『フェルマータ』は『ほどよく伸ばす』と教えている。間違いではないのだが、正解でもない…。😅)

ただ、日本の学校教育、特に普通高校までの音楽の授業では、フェルマータは「その音符(休符)を十分に伸ばす」という時間的な延長の意味だけで教えられることがほとんどである。フェルマータ 「fermato(停止した、閉じた)」というイタリア語の意味にはなんら触れられていない。

教科書に載せられる情報量の制限なのだろうが、音楽の現場に身を置くものとしては、片方の意味だけで言い止まるのは、数学の円周率が難しいからと『3.14』を、ザックリと『3』と教えるようなものである。

今日も、良い一日になりますように。
(🎹MIYABI)

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