後遺症
私はまだ記憶に操られて
今年もまた新しい夏を迎える
かつて愛していた人
二人の当たり前だった日常を
思い出す度に後悔をする
どれだけ月日が流れても
加算された経験だけは
無かった事になど出来ない
気持ちばかりの強がりで
遠ざかる過去の残影を
薄めて逃げる気もない
人によってはそれを
『後遺症』と呼ぶのでしょう
汚れた身体を綺麗に取り繕うのも
得意じゃないし 好きでもない
決して0には戻せない
1以上の罪を身体に刻んで
愛に溺れていた私は
未来などないものだと笑っていた
ただ 終わらない様にって
自分を壊して 孤独を選んで
傀儡としての奉仕に生を尽くした
だって 仕方がないじゃない
あなたが私を必要とするから
分かりやすく私を利用するから
私もあなたを利用した
お互い様でしょ?
あなただってたくさん笑ってた
このまま地球が終わればいいって
とても嬉しそうで幸せそうに
とても無邪気な
遊具で遊ぶ子供みたいな顔で
毎日 毎日 おやつを欲しがるから
私はあなたの為に
一生懸命におやつを作った
もうお腹いっぱいで動けなくなっても
もっと 食べたい もっともっとって
ずっと おねだりするの
本当に 滑稽すぎるでしょ?
私がもうおやつは無いのよって言うと
『じゃあバイバイ』って言われるのが
怖くって とても怖くって
私はおやつを決して切らさなかった
そういうところだけ
頭脳明晰な ダークヒーローだった
せめてもの 楽しかった場面を
思い出そうと 瞳をきつく瞑って
頑張ってはみるんだけど
何もないの
いつも気を張り詰めていたから
何ひとつ 思い出せないの
ただ 誰も知らない
あなたの動物的で本能的な姿を
誰よりも近くで感じていた
それだけしかなくって
とても悲しくなるんだけど
でも きっと 学びはあったはずだって
今は信じてる
誇れない学びかもしれないけれど
良い事と悪い事の
選別は出来るようになった
それを命の限り
誰かの未来の為
何かを示せるように
前を向いて歩いていく
鮮やかな青に彩られた
頭上の太陽に牙を剥いて
お久しぶりです。
夏を満喫中です。
皆さんも良き夏にしてください。
*傀儡(かいらい)とは、操り人形の事。
作品中で『仕方がない』と言う表現を使っていますが、私は仕方がない事なんてないと言う思想を持っています。
作品内の『仕方がないじゃない』は、少し皮肉った上から目線の言葉遊び。
生を尽くしたの部分も敢えて『生』に拘ったのは命懸けだったからになります。
