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【2026|マレーシアレポート⑤】「遊びの力で学校を変える」―OPALを生んだ人と、それを支えた国際組織

はじめに

2026年6月後半、私は小学6年生の娘とともに、マレーシア・ペナン島を2年ぶりに取材してきました!

私たちは2022年から2024年までの2年間、ペナン島で母子留学を経験しました。
娘は現地のインターナショナルスクールに通い、
私はその中で実践されているイギリスの新たな学校科目であるPSHE(人格・社会性・健康 教育)や米国発祥のSEL(社会性と感情の学習)、ヒプノセラピーの学びを始め、
メンタル面のウェルビーイング教育に強い関心を持つようになりました。

(そこから、出会った教材やアクティビティを輸入販売する会社をおこしたのが、設立3年目を迎えたリトルパイナップルです。)

今回の再訪では、現地の学校や教育環境、書店、教材売り場などを訪ね、2年の時を経てどのような変化や継続が見られるのかを取材しています。

この連載では、

子どものメンタルウェルビーイング
社会性と感情の学び(SEL)
PSHE(人格・社会性・健康教育)
遊びと学びの環境づくり
多文化社会における共生の教育

といったテーマを中心に、マレーシアの教育現場で見聞きした実践や教材、学校文化についてレポートしています。

ウェルビーイング教育リサーチャーとして特に関心を寄せているのは、「子どもたちが安心して自分らしく「心」を育んでいける環境は、どのように作られているのか」という問いです。

教室で行われる授業のプログラムとともに、遊びの環境、人との関わり、学校文化、保護者との協働など、子どもの「心の育ち」に働きかける、さまざまな要素に注目しながら、日本の教育や子育てへのヒントを探っていきたいと思います。

前回のレポートでは、娘が2年間お世話になったペナンのSt. Christopher's International School(SCIPS)で実践されているOPAL(Outdoor Play and Learning)の様子をお届けしました。

その導入部でも少し触れましたが、
今年2026年3月、
学文社【マイケル・フォレット】氏の著書の邦訳版

『遊びの力で学校を変える―ワクワクがあふれる休み時間のつくり方』

が刊行されています。
今回はこの一冊と、翻訳・監修を手がけた【IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)日本支部】について、少し詳しくご紹介したいと思います。


遊びの中で感情の扱い方を学ぶ

遊びは、子どもにとっての「しごと」だとよく言われます。友だちとルールを決め、時にぶつかり合いながら遊びをつくっていく中では、うれしさや悔しさ、戸惑いといった、さまざまな感情が自然と生まれます。子どもたちは、その感情をどう受け止め、どう扱っていくかを、まさに遊びの中で、少しずつ身につけていきます。

著者・マイケル・フォレットさんについて

著者の【マイケル・フォレット】さんは、イギリスで長年にわたり学校の「遊び」環境づくりに携わってきた人物です。もともとは幼児教育の資格を持つ教師であり、その後、地域でプレイワーカー(遊びの専門支援者)としての経験を積みながら、行政の学校改善アドバイザーという立場でもキャリアを重ねてきました。

イギリス人マイケル・フォレット氏 ペナンのSCIPSにも何度か訪問されています。

2000年から2005年にかけては、【バース・ノースイースト・サマセット】地域の自治体で、戦略的な遊び担当官を務めています。続く2005年から2011年までは、【サウス・グロスターシャー】州の教育委員会で学校改善部門に所属し、地域の学校における遊びの方針づくりにも関わりました。プレイワーカー・教師・学校改善アドバイザーという3つの現場を経験してきたことが、後のOPALプログラムの骨格になったといわれています。

2011年、行政の学校改善サービスが縮小されたことをきっかけに、フォレットさんはそれまで自治体の中で育ててきた仕組みを、独立した非営利の「コミュニティ利益会社(CIC)」として立ち上げました。これが現在のOPAL(Outdoor Play and Learning)です。以来、イギリス国内で休み時間の質を高めたい学校を支援する、この分野の代表的な団体へと成長し、ニュージーランド、カナダ、スペイン、フランス、ポーランドなど海外でも同様の取り組みが広がっています。

くわしくはyoutubeチャンネルで。

著書には2017年刊行の『Creating Excellence in Primary School Playtimes』などがあり、今回邦訳された一冊は、20年以上にわたる学校現場でのアクション・リサーチの蓄積をもとに、遊びをめぐる考え方の背景(第1部)と、校庭のレイアウトや資源づくりの具体的なアイデア(第2部)とをまとめたものです。導入についての動画はこちら。


IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)とは

今回の本の監訳を手がけたのが、【IPA(International Play Association:子どもの遊ぶ権利のための国際協会)】日本支部です。

IPAは1961年、ヨーロッパでの都市化にともない子どもの遊び場が失われていくことへの危機感から設立された国際NGOです。当初は「国際遊び場協会」として発足しましたが、その後、遊びを子どもの基本的人権のひとつとして守り、育てていくという考え方へと軸足を移し、現在の名称になりました(略称のIPAはそのまま引き継がれています)。

活動の理念の中心にあるのは、国連・子どもの権利条約第31条が定める「子どもは遊ぶ権利を持つ」という考え方です。ユネスコやユニセフなどの国際機関とも連携しながら、世界各国の会員組織が、それぞれの地域で遊び場づくりや政策提言、調査研究などに取り組んでいます。

IPA日本支部について

日本支部が発足したのは1979年のことです。日本各地でIPAに関心を持つ会員や、冒険遊び場づくりに携わっていた人たちが集まり、IPA本部から関係者を招いての講演会をきっかけに、組織立てて活動していく必要性が確認されたことから設立に至りました。

現在は、遊び場での実践者から、教育関係者、大学等で子どもの発達を研究する研究者、都市計画や公園設計の専門家まで、幅広い立場のメンバーが所属しています。世界大会への参加や、機関誌の翻訳版・独自のニューズレターの発行などを通じて、国内外の知見を橋渡しする役割を担っており、今回の『遊びの力で学校を変える』の監訳も、そうした活動の一環として実現したものです。
opalを特集したイベントも開催。

教育新聞ではこちらの特集記事も。

次回は、8月21日(金)

マレーシアレポートをひと区切りしまして、
世界の「感情アイテム」レポートに戻ります!楽しみにしていてください⭐

酷暑の日々、あと少し、ケアしながら乗り切ってまいりましょう!

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