引き寄せ屋 蘭
「なんでいつも上手くいかないんだろ」
そう言って椿はベッドに寝転び目を閉じる。
「そりゃお前がそう願ってるからだろ」
知らない男の声がして飛び起きる。
声がした方に目を向けると、黒のスーツを着崩した黒髪の男が壁に背を預けて腕を組んで立っている。
「だ、誰?どこから入ってきたの?」
鍵もちゃんと閉めたし入ってきた気配もなかった。もしかしてお化け?霊感ないのに?一人パニクっていると、
「俺様か?俺様の名前は蘭。蘭様って呼べ。ちなみに俺様はお化けじゃない。引き寄せ屋の蘭様だ」
何言ってんのコイツ。引き寄せ屋って何?
「お前がさっき言ってただろ。いつも上手くいかないって。だから俺様が直々に引き寄せの極意を教えてやる、光栄に思え」
「え?なんで?頼んでないけど」
「ふ〜ん、じゃこのままお先真っ暗な人生を死ぬまで歩むんだな。じゃあな」
そう言って蘭という男の体が透けていく。
「ちょ、ちょっと待って‼︎お先真っ暗って何?勝手に私の人生決めないでよ!」
消えかけてた蘭の身体が元に戻る。
「俺様が決めたんじゃない。お前が自分でそう決めてんだ」
「どうゆう事?」
「お前、引き寄せの法則って知ってるか?」
「あれでしょ、思考は現実化するってやつ。でも全然上手くいかないんだけど」
「だからそれはお前がそう願ってるからだ。いいか、思った事が現実になる。ここまでは分かるな?」
「それは分かる」
「お前が住むこの物質世界の地球には願いが叶うまでタイムラグがある。だがお前はそれが叶う前に勝手に自分でキャンセルして上手くいかないと嘆いてんだ」
「キャンセルなんかしてないけど」
「私はいつも上手くいかない。これがお前が宇宙に向かっていつも放ってる言葉だ。宇宙には嘘や冗談は通じない。本音の言葉しか受け取らないんだ、宇宙は」
「じゃどうしたらいいのよ?」
「その為に俺様が来てやったんだろうが。俺様は引き寄せのプロだからな、直々にお前に叩き込んでやる」
そう言って蘭はニヒルに笑った。
