思いがけず登拝(熊本県山鹿市 彦嶽宮)
4月の終わりに、ある静かな場所で保養しようというお誘いをいただいた。温泉に入らせてくれるという。うきうきと出かけたその場所では、焙煎したてのコーヒーを飲みながらギターの演奏を聴いたり、読書をするなど、ふだんとは違った時間が流れていた。
午後、夕飯までの時間をさんぽに行かないかとKさんがいう。地図をみていて良さそうな場所を見つけたらしい。行き先は、古い歴史をもつらしい神社だった。
車をちょっと走らせて着いたその神社は、山門(楼門鳥居というらしい)をもっていたから、神仏習合の歴史があるのだろう。権現さんと呼ばれる彦嶽のふもとの下宮・中宮・上宮を総称して彦嶽宮という。
それぞれの祭神は天照大御神・倉稲魂神(下宮)、月夜見神(月読尊)・彦火々出見尊(中宮)、伊弉諾尊・伊弉冉尊・事解男神・速玉男神(上宮)となっている。
景行天皇の御代、熊津彦が百済と結び朝廷に叛いたため、天皇は御軍を率いて高天山(震嶽)に行宮を設け、親征した。しかし、熊津彦らの抵抗は強く、これを破ることができなかった。そこで天皇が天神に祈願されたところ、彦嶽の頂上より霊感があり、高天山は大いに振動し、賊徒は壊滅敗走して、ついに鎮定されたという。天皇は神恩に感謝し、彦嶽三所に神宮を造立した。これがこの三社の創建であるとされる。(『彦嶽宮由緒史』より)
山門をくぐった先の本殿にお詣りをし、その脇にある登山口から下宮にいくらしい。登山口? 上宮まで1時間ほどかかることを知ったのは、この場所に着いてからだった。
登山口から見上げると、急傾斜の山道が続いている。履いてきた靴ではどうしようもなく、Kさんに靴を貸してもらい、紐をきつく締め、登りはじめた。息があがるし、虫は多いし、ちょっとお詣りするはずが、・・・など頭のなかでつぶやきつつ、足を進める。こういうときは、とにかく足を前に出し続けることができればそれでいい。(それにしてもきついなあ)
中宮でひと休みして、けっきょく上宮まで登った。上宮から下りてくるひとに出合ったのは一度だけだった。ぶじに上宮にもお詣りができてよかったとおもった。
彦嶽は竹林で、足元はふかふかの落ち葉のところもあった。傾斜がきついこともあって、登りより下りのほうが萎える。それでもとにかく下山して、本殿でもう一度お詣りをした。授与所のわきに用意のお茶(無料)をえんりょなくいただいた。
こころの準備をしておけたら、という気もちもあったけど(そして実際にそれを口にしたけれど)、結果としては上宮までお詣りができたのだし、こういう思い出もいいものである。温泉に入り汗を流すことができたのがとてもよかった。
そういえば、境内にいた夫婦連れのようなひとが「出雲大社みたい」と言っていたのが聞こえた。今もって、どういうところが「出雲大社みたい」なのかが腑に落ちない。
[ギャラリー] 撮影機材:RX-100m3







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