夏のはじまりのひと休み
6月の終わりとともにまるで長い夢から覚めたような気分。私の春も終わった気がした。
あれほど熱中していた「書くこと」への気持ちが、ふっと、急に遠くへいってしまった。それはまるで、熱が引いたあとのような気だるさと、潮が引いたあとの海岸のような静けさを私にもたらしている。
初めはちょっと戸惑った。
あれ?もう書きたくなくなっちゃったのかな。
せっかく積み重ねてきたものを手放してしまいそうで、少しこわくなった。
でも、いくら耳を澄ませても気持ちのさざ波の音は、変わる様子もない。
見渡せば、そこにはだだっ広い平原のように何もない心の景色が広がっていて、よく目を凝らせば、あちこちにかつて書こうと思っていた言葉の小さなかけらが、無造作に転がっている。今はそれを見つけても、ただ少し懐かしい気持ちになるだけだった。
もう遠くにいってしまった気持ちは、帰ってくることがないのかもしれないな。
蝉の声にはまだ早いけれど、夕方の風がかすかな切なさを連れてくる。まるで放課後の教室にいるような、ゆるんだ空気に包まれていた。それはずっと穏やかで、不思議な気持ちだ。

何を書こう。
そもそも、なんで書くんだっけ?
誰が読むの? 書いてどうするの?
時々そんな問いが、のそのそと頭の中にあらわれては、かわるがわる声をかける。
でも、焦って答えを出さなくてもいい気持ちにだんだんなってきた。
もしかしたら、ちゃっかり「少し早い夏休み」なのかもしれない。
まだ雨上がりの湿った空気がちょっとだけ肌にまとわりつくけど、確実にアイスの手放せない暑さになってきた。
もう夏のはじまりだ。
夏のはじまりに、ひと足先に木陰で過ごすひと休み。
今をそんな風に思えたら、なんだかちょっと気が楽になった。
🌈
1週間近く書く気がとんと訪れなかった私に、たまたまスキをつけてくれた虹くりっぷさん。
お題「夏休み」のトップ画像に引き寄せられて、今の気持ちを書きたくなりました。
書いてみたら、あぁ夏休みだったんだなぁと少し嬉しくなりました。
虹くりっぷさん、貴重な機会をいただきありがとうございます。
折角なので、お題に参加させてください。
できたらファンアートもつけてほしいです!
よろしくおねがいします。
2025.07.12追記
虹くりっぷさんから、ファンアートいただきました!作中の画像です。とても綺麗。
挿絵として使いました。
虹くりっぷさん、ありがとうございます!
2025.7.19追記
音羽しーなさんが、この記事を朗読してくれました。なんだかすてきな記事になった気分です。
しーなさん、ありがとう!
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読んでくれてありがとう!うれしいです。