はり師が鍼先でみる痛みの正体
「肩がうずいて眠れない」
そんな相談をいただくことがあります。
肩に限らず、
・腰の痛みが、うずくような痛みに変わった
・ひじがジクジクする
・染みるような痛みで夜も眠れない
こういった “うずき系の痛み” には、
ある共通点があります。
今日は、はり師として私が
鍼先で感じている「痛みの奥の正体」
についてお話しします。
■うずく痛みは「場所があいまい」
うずく・ジクジクする・染みるような痛みは、
たいてい指で「ここ!」と一点を示せません。
「このへん全体が痛い」
「どこって言いにくいんだけど、このあたり全部」
そんなふうに、範囲で捉えられる痛みが多い。
これはほぼ間違いなく、
痛みの原因が 身体の深部 にあるってことです。
マッサージで押しても取れない。
ストレッチでも治らない。
寝ても改善しない。
こういうタイプの痛みは、
浅い場所の筋肉ではなく、
もっと奥の組織が悲鳴をあげています。
たとえていうなら、身体の中に、酸素を吸えてない場所があるといいますか。
■骨膜の「悲鳴」はえぐりたいような痛み
筋肉には「筋膜」
骨には「骨膜」
どちらも“膜”に痛覚があります。
骨はほぼカルシウムなので、
痛みを感じているのは骨そのものではなく、
骨膜(こつまく) ってやつなのです。(筋肉も、痛みを発するのは筋膜)
深部の痛みは、まさにこの「骨膜」ってやつの悲鳴です。
患者さんが、
「えぐり出したいほど痛い」
と表現するのは、そこから「出したい」何かあるってこと。深い場所におしこめられて苦しんで、外に出たがってる?解放されたがってるってこと。
■骨の周りにある“石灰化の芯”
こうした深部痛の周りを鍼先で探っていくと、たいてい
石灰化 にぶつかります。そこまでいってなくても、ひどい粘土質のコリがあります。そのせいで、うまいこと酸素や栄養が来てなくて、老廃物も追い出せずにいる状態です。
細胞レベルで呼吸困難!息できない!「ちぬる!」って叫んでる。
石灰化はですね、硬い小石のような、
シャリッとした、あるいはザラついた異物。セメントを触ってたら手についたやつが固まって、パリパリになるじゃないですか。ペタっと張り付くとなかなか上手にとれないけど、とれるときはパラパラ‥‥っと崩れるように剥がれる。ああいう感じです。
これが深部痛の“芯”になっていることが多い。
そして、この芯は
押しても、揉んでも、温めても容易には動きません。ジャストミートで剥がさないととれない、厄介なパターン。
しかも、筋肉よりさらに下という「深さ」があるので、
鍼でないと触れない場所なんです。
■鍼で「ペリッ」とはがれる瞬間
鍼が石灰化にコツンと当たり、
その周りに入っていくと……
たった一瞬、
“ペリッ” と剥がれるような感触があります。
この瞬間に、患者さんの痛みが
スッと抜けることが本当に多い。
「え、今なにしたの?」
猛烈な痛みがスッと軽くなるので、驚くというより、たいてい、患者さんは気が抜けたような反応されますねー。
私がイメージしているのは、
骨に貼りついた“シール”を剥がす作業。
はがれた瞬間、血流が戻り、
骨膜の炎症やうずきが静まっていきます。
はがれさえすれば、身体の反応はすごく早いです。
■深部痛は「放っておけば治る」とは限らない
深部のうずく痛みは、
表層のコリとはメカニズムが違います。
・場所がぼやける
・範囲が広い
・押しても効かない
・夜に悪化しやすい
・ジクジク続く
こんな痛みが続くとき、
「そのうち治るだろう」ではもったいない。
深く潜っている病巣ほど、
早く取り除いてあげるほうが回復が早い。
鍼で一度しっかり芯を取ると、
「何年も悩んでいた痛みが一度で抜ける」
そんなケースも少なくありません。
■しつこい痛みは、早めに相談してほしい
「何をしても良くならない」
「ずっとジンジン痛む」
「寝れないくらい辛い」
そんなときは、
筋肉よりも深いところが原因かもしれません。
深部に届く施術が必要です。
痛みの“芯”を見つけて、
鍼先でそっと剥がす感覚。
はり師として、この作業ほど
患者さんをすばやく楽にできる瞬間はありません。
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