【CD聴き比べ】ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲(J.マッキー)
CD聴き比べシリーズ、今回はジョン・マッキーの『ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲』です。
CD聴き比べシリーズnoteの概要は以下のnoteの前半部分を参照ください。
note執筆時点で私が聴いたことがある5(+番外編1)種類の音源を聴き比べします。
オススメ度:☆5
須川展也(S.Sax)&山下一史/東京佼成ウインドオーケストラ
『ヴィルトゥオーゾ・コンチェルト』
◾︎演奏時間
第1楽章…2:10
第2楽章…5:55
第3楽章…6:31
第4楽章…4:16
第5楽章…4:56
日本を代表するサックス奏者である須川展也と東京佼成ウインドオーケストラ(以下、TKWOと表記)の組み合わせによるサックス協奏曲集のCDです。
2009年の録音なので須川さんがTKWOのコンサートマスターを務めていた時期(1989~2010年)の総決算的な位置づけで収録されていることもあり、全曲気合いが入っています。
マッキーのソプラノサックス協奏曲は2007年に作曲されたので、2009年発売のこのCDは録音としてもかなり早い収録です。
肝心の演奏の方も素晴らしいクオリティ。伴奏はTKWOなので安定感があるのは言うまでもなく、ソリストの須川さんも歌心溢れる演奏で第3楽章の柔らかな高音域は聞き惚れてしまいそうになります。
上野耕平(S.Sax)&石坂幸治/ぱんだウインドオーケストラ
『PANDASTIC!!』
◾︎演奏時間
第1楽章…1:59
第2楽章…5:49
第3楽章…6:52
第4楽章…4:14
第5楽章…4:46
2014年4月5日に行われたぱんだウインドオーケストラ第3回演奏会のライヴ収録CDです。
ぱんだウインドオーケストラはこのCDのソリストでもありコンサートマスターでもある上野さんと芸大同級生達で結成した吹奏楽団です。
このCDの収録が2014年なので上野さんは当時22歳!伴奏のメンバーも同級生達なのでとにかく音がキラキラしていて若い!という感想です。メンバー表を見ると在京オケで現在活躍している方もちらほらいます。
先に挙げた須川展也&TKWOの演奏は"正確無比"という印象ですが、こちらはライヴ収録ならではの熱量・ドライヴ感が素晴らしいです。そして何より上野さんの輝かしい音色が楽曲とも非常にマッチしています。
圧巻なのは第5楽章。かなり攻めたテンポでソリストのテクニックに驚かされますがこれについて行く伴奏も凄すぎます。
オススメ度:☆4
ヴィンス・グノジェク(S.Sax)&スコット・ワイス/カンザス大学ウィンド・アンサンブル
『Ticheli: Wild Nights! / Etezady: Anahita / Mackey: Soprano Saxophone Concerto』
◾︎演奏時間
第1楽章…1:53
第2楽章…5:47
第3楽章…7:28
第4楽章…4:01
第5楽章…5:15
録音が2008年5月、リリースが2009年4月ということでこの協奏曲の全楽章が録音・リリースされたCDのなかで恐らく1番早く発売されたものではないでしょうか。
ソリストのヴィンス・グノジェク(Vince Gnojek)は当時カンザス大学(University of Kansas, School of Music)の教授を務めていたアメリカのサックス奏者だそうです。
伴奏はカンザス大学ウィンド・アンサンブル(University of Kansas Wind Ensemble)で、アメリカの音楽大学の中でもレベルの高い大学です。安定感のある演奏で安心して聞いていられます。
伴奏が大きすぎてソリストが埋もれる、もしくはソリストが大きすぎて伴奏が聞こえないということも無く、バランス良く全体が聴こえる録音となっています。
ティモシー・E・ロバーツ(S.Sax)&ジョージ・トンプソン/アメリカ海軍バンド
『Command Performance』
◾︎演奏時間
第1楽章…2:08
第2楽章…5:50
第3楽章…7:27
第4楽章…4:10
第5楽章…4:47
ジョージ・トンプソン大尉指揮、伴奏がアメリカ海軍バンド(United States Navy Band)の2011年8月にリリースされたCDです。
ソリストのティモシー・E・ロバーツ(Timothy E. Roberts)は当時アメリカ海軍バンドの首席およびソリストを務めていたサックス奏者です。
作曲者のマッキー自身が推しのCDで、発売当時「録音は本当に素晴らしく、今一番良いものだと思う。(The recording is really fantastic, and I think it’s the best one out there right now.)」と述べています。
演奏は伴奏がアメリカ海軍バンドということもあってか、金管楽器を中心に伴奏がやたらパワフルです。
第3楽章「メタル」の金管楽器がぶ厚いのは好みが分かれそうですね。
以前はこのCDを手に入れるためにはミッドウェストクリニックでアメリカ海軍バンドが配布しているCDを受け取る必要があったのですが、現在はAppleMusicなどのサブスク音楽配信でも聴けるようになっています。
オススメ度:☆3
ティモシー・マッカリスター(S.Sax)&イリー・ヒル/アリゾナ州立大学ウィンド・シンフォニー
『Concerto for Soprano Saxophone and Wind Ensemble』
◾︎演奏時間
第1楽章…2:04
第2楽章…5:38
第3楽章…7:36
第4楽章…4:20
第5楽章…4:41
ゲイリー・ヒル(Gary Hill)指揮、アリゾナ州立大学ウィンド・シンフォニー(Arizona State University Wind Symphony)伴奏の2009年5月録音のCD。リリースは2012年12月のようです。
ソリストのティモシー・マッカリスター(Timothy McAllister)は現在、ミシガン大学音楽学部の教授を務めるサックス奏者で、ジョン・アダムズ『サクソフォン協奏曲』を初演するなど現代的なレパートリーを得意とするソリストです。
ソリストの技術は素晴らしく伴奏も悪くは無いのですが、録音のバランスが何とも言えないですね…。
鍵盤打楽器の音や木管高音楽器が不自然に強調されて聴こえるのでかなり好みが分かれそうです。また、1楽章の終わりが余韻を最後まで残さずブツ切りになっているのもかなり気になります。
また、このCDはEP盤のため収録曲はマッキーのソプラノ・サックス協奏曲1曲のみなので、これまで挙げてきた他のCDと比べるとコスパが悪く感じてしまいます。演奏は悪くないのですが、総合的に見るとセカンドチョイス以降になるCDかなと思います。
(番外編)
スティーヴン・C・ペイジ(S.Sax)&リズ・エイムズ(Pf)
『Felt, Metal, Wood』
◾︎演奏時間
第1楽章…2:03
第2楽章…5:43
第3楽章…7:40
第4楽章…4:14
第5楽章…4:29
番外編として紹介するのはピアノ伴奏版のソプラノサックス協奏曲です。2024年6月にデジタルリリースされたばかりのCDで、(YouTubeなどには他にもピアノ伴奏版の音源はあるものの)CDとしてリリースされているピアノ伴奏音源としては唯一のものかと思います。
ピアノ伴奏を務めるリズ・エイムズ(Liz Ames)はマッキーのソプラノサックス協奏曲のピアノ伴奏版の作成に大きく関わったピアノ奏者です。元が吹奏楽伴奏のリダクションなので相当な難易度のピアノ伴奏の譜面ですが、自身が編曲に関わっているだけあり余裕すら感じさせます。
ソリストのスティーヴン・C・ペイジ(Stephen C. Page)はテキサス大学のサックスの准教授です。ソリストとして吹奏楽、室内楽、編曲作品など幅広く演奏しています。
全体的にクオリティが高い演奏で、5楽章のスピード感は先に挙げた上野耕平&ぱんだWOと同じくらい攻めています。ピアノとソプラノサックスのデュオだからこそ可能な攻めたアンサンブルですね。
オリジナルの吹奏楽伴奏版ではないですが中々面白い録音なので今回紹介させていただきました。
最後に
今回はジョン・マッキーの『ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲』のCD聴き比べでした。
伴奏・ソリストともに容赦の無い難易度の楽曲ですが、今回紹介しているCDはいずれも演奏クオリティが高いです。その中でもオススメ度:☆5で紹介した2枚は特に素晴らしい出来ですね…!
近年では住谷美帆(S.Sax)&原田慶太楼/シエナWO、林田祐和(S.Sax)&飯森範親/TKWOなどでも演奏されており、これらの録音もぜひCD販売されて欲しいところですね。

CD販売される予定はあったものの無期限延期に…。

実演を聴きに行きましたがソプラノ・サックス協奏曲はもちろんフローズン・カテドラル等も素晴らしかったです。
ここで紹介されていない音源は私が認識していない音源の可能性があるので「こんなCDもあるよ」「この音源もオススメだよ」などあればコメントいただけると嬉しいです!
【関連note】
ジョン・マッキー作品の吹奏楽曲解説まとめは以下からどうぞ。
CD聴き比べのnoteは以下のマガジンからどうぞ。
