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しぬほどだるい(倦怠感)【がん治療日記11】


おひさしぶりです。
「闘病記で苦しんでいるから『note楽しみにしています』と言っていいのかわからないけど、楽しみにしています」
と伝えてくださったあなた。
いいんです、楽しんでいいんですよ。だって今まだ私は生きていて、それをを楽しんでいるときにしか文章を公開しないんです。だから楽しいって思ってくれたのなら、いいなと思ってくれたなら私の言葉が伝わっているということなのでとても嬉しいです。あなたが伝えてくれたのでまた載せていきます。楽しかったのなら、よかったら声またをかけてください。どうもありがとうございます。私はお礼にヘンテコな日記を書き続けます。

この空いている期間は抗がん剤の副作用にさらにやられて書けなくなり、かつ少し復活してきたら即手術になりました。痛え〜っ、がんのせいで微睡む期間もなかった。許さん。手術の話はまた今度。

倦怠感とは

倦怠感(だるさ)とは、いつもの生活が送りづらくなるような疲れた感覚のことで、がんの治療中によくみられます。体がだるい、何もする気が起きない、身の置き所がない、集中力が低下するなどが起こります。

がん情報サービスより(https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue/index.html)

こちらの解説が分かりやすい気がする。「インフルエンザで熱が出ているときのだるさのすごいやつ」と友人には言ったりしていた。
看護師として働いているときは患者さんに
「だるい感じはありますか?」
と聞きつつ、患者さんがどのくらい体を動かすことができるのか、カルテをチェックして検査データを確認する。
…というのも倦怠感はいくつかの体の現象が重なって起こっているのだ。

がん患者で多い倦怠感の原因は
痛み(疼痛)、筋力の低下、電解質異常(嘔吐や下痢で体のpHが変わること)、身体侵襲(壊れた細胞を修復しようとしている)、睡眠不足、悪液質(カヘキシア:筋肉量や脂肪の量ががんや慢性的な炎症、サイトカインによって起こる)などが原因と言われているが、
あまりにも要素が多すぎて
「コレのせいで倦怠感起こってます!」
とはならないのだ。
倦怠感の原因は不明とも言われている。
原因なんてもうすべてがんのせいだからな、許さん。

ただ動けないほどの倦怠感であれば
看護師として身の回りの援助(清潔ケアや移動介助)を行うし、疼痛があれば鎮痛剤を使用して安楽な体勢などを模索する。電解質異常や貧血(骨髄抑制)など検査データが悪ければ医師へ相談し治療していく。
また倦怠感に限らず、CTCAE(有害事象共通用語規準)という、がん化学療法(抗がん剤)の副作用評価を1〜5のグレードで評価する項目があるのだが、これを利用し、症状の推移を記録していく。この推移は治療の評価などに使われる。
そのときは苦しい状況がどうにもならなくても、その看護記録がちょっと未来の患者さんの苦痛を改善する糸口になるかもしれない。看護師は昼も夜も交代しながら患者さんからは見えないところでひたすらに見守って記録し続けているのだ。

抗がん剤の倦怠感なんか違う(Grade1)

倦怠感は抗がん剤の有害事象(副作用)の中でも早めに起こっていた。はじめは「はーん、これね、倦怠感ね、グレード1(CTCAE)」などとうつつを抜かしていた。ここではインフルエンザになっているときのような、熱こそ出ていないけれどそんなときに感じる倦怠感だった。熱は出ていないのでなんとも不思議な体験だ。なるほど、トイレに行くのが大変だ。「トイレに行く」ということに意識を集中させないと、転びはせずともどこかに身体をぶつけてしまいそうだ。身体の一部が自分のものでないような感覚だ。抗がん剤の倦怠感ってなんか今まで体験してきた症状と違うのかもしれない。

メモ:ここでいう身体が自分が切り離されたような感覚が何回もあり、それが私生活に支障をきたすほどなら「離人感/現実感消失症」という精神科の疾患になります。ストレスなどで起こります。ICU(集中治療室)に入院しているときに体験する人もいます。まぁ、がんだったり治療してたらストレス感じないことはないわなと思うし、振り返ったらこれだったかもなと思ってます。しかしまぁ、切り離されていいのはがん、あんただけだよ…怒

グレード1の倦怠感は「倦怠感はあるものの私生活に支障のないくらい」という状態である。そのため「仕事はまぁできる」というくらいだ。だから仕事をした。
私は、外来で抗がん剤を投与してもらい、次の日に病棟で抗がん剤を患者さんに投与するがんの病棟の看護師だ。私生活でも仕事でも抗がん剤だ。患者さんのがんも絶対やっつけたいと思いながら仕事をする。ずっとがんを許さないでいてずっとがんにキレている。

「働かなくてもいいじゃん」と周りの人に言われたが、看護師という仕事はせわしなく動き、常に他者に干渉しつづける仕事だ。だから自分の心にかまわなくていいため、この倦怠感が紛れたのだ。

患者さんに話の流れで
「私は身体がしんどい時働いて身体を動かして気を紛らわしちゃうんですよね」
と話したことがある。

もちろん患者さんには私ががんなどとは話したことがないし、これからも、たとえがんが治っても絶対話さない。友人、知人ならば伝えるが患者-看護師(医療者)の関係とはそういうもので、医療者は元気であった方がいい。元気がないときの日常生活の世話は元気がある人が元気を分け与えるようにケアを与えるべきなのだ。

「それはそうかも、はじめはだるいとか、気持ち悪いとか気が紛れたから仕事してたんだけどね、だるいのに無理矢理動くとめまいがするんだよね。」
と患者さんは窓の外を見ながら話してくれた。

そしてよいしょ、とベットから立ち上がって身体をひねったりしながらしんどそうにつぶやいた。
「でも、そろそろ働かないとね」

働くとは病人にとっての救いなのかもしれない。


身体がぬめぬめしてるほどの倦怠感(Grade2)

※グレード2から3にかけ入院どころか今存在しているかもあやいしいくらいで、これ以上ありません。期待させてしまいすみません!

何クール目かの抗がん剤の後
「うおーッッ!きました、きましたよ!焼き切れるような胃の不快感!そして倦怠感!最悪です!がんにはくたばってもらいましょう!私はとりあえず寝ます!」
などと実況しながら床についた。
そして布団の中で丸くなってしばらく経ってから
「なんか…しぬほどだるい……?」
と気づいた。

今までの身体が自分のものでなくなるような感覚から、自分の身体がなにか重たいもので押さえつけられているような感覚だ。
重い、生きるのがとてつもなく苦しい。
「だるいなら寝ておけばいい」
などと思っていた自分がどこかにいた。強いだるさは寝てることも苦しさに変えてくる。

重力がやばい。身体が床から離れられない。ここだけ地球の磁場がおかしい。(※磁場じゃないです)

しかしそんな状態でありながらもトイレにいきたくなってくる。
化学療法中の患者さんは基本的に腎臓が抗がん剤でやられやすいので、水分を多く摂取し腎臓の負荷をなるべく軽減させるようにしている。なので具合は悪いがトイレの回数はむしろ多くなるという最悪に最悪を重ねて生きようと頑張っているのだ。
トイレのために起き上がるが重い。ぎりぎり経過観察になっている貧血の値を思い出す。
視界がぼんやりしている。

「だるいのに無理矢理動くと
めまいがするんだよね。」

あの患者さんの言葉を思い出す。
「その通りだったよ!」って次会ったら話したたいな。でも「具合悪かったの?」って心配されそうだ。自分のことなんて大したことないように言って他人のことになると眉毛が八の字になって明らかにテンションが下がる。そういう心優しい患者さんなのだ。

私は唸りながら、まるでモンスターズインクのナメクジみたいな受付のマダム(※ロズ)のように口をへの字にして険しい顔でぬめぬめ…と這いつくばるようにトイレへ向かった。

これは自宅だからできることだ。入院経験のない人はよく覚えておいてほしいのだが入院中に手を床につけるだけで『転んだ判定』になり自由に歩くのとがままならなくなる。
這いつくばりでもしたら大騒ぎになる。気をつけてほしい。

人間に許されていい苦しさじゃない

はいつくばってトイレに行った後も、便器でしばらく休んでいた。一見トイレで吐きそうな人になっているが吐きたいわけじゃない、身体がだるすぎて動けないのだ。

なんとか便座に座ったあともロダン(※考える人の像)になっていた。思想に耽る人はもしかしたら倦怠感に苦しむ人だったのかもしれない。地獄に堕ちた人々を見つめているというが、もしかしたらこちらが地獄なのかもしれない。苦しさを紛らわすにはどうしたらいいのか思想を巡らそうと思う。

また這いつくばりながらトイレから戻る。モンスターズインクのロズでさえ喋るのはゆっくりであるもののそんなに動くのは遅くない。ロズに失礼すぎる。
ベッドに触れた身体が深く深く沈んでもう戻って来れなくなりそうだ。

次の日にはなんとか動けるようになってきた。
がんを憎しみ、そのエネルギーで身体を動かし日常を取り戻すのだ。

「人は倦怠感でときにしにそうになる」ということを学んだ。倦怠感があれば寝ていればいい、なんていう問題ではない。

倦怠感が強いと身体の上から下までが重たく、息をするも苦しくなる。身体のだるさというのは侮れないようだ。

そんな体験をさせてくれたがんという不要かつ害しかない細胞に、感謝という名の化学療法をこらからも施してやりますよ!

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看護師のかげさん(がん病棟看護師、がん患者になる) サポートしていただけたらチョコレートかいます!描/書く燃料!