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来てくれて、ありがとう。 |02(日常)産毛が話し始める

(夕暮れ、スーパーへ向かう道で。)


前を歩く二人。

手はつないでいない。

肩が触れるほど近くもない。

それなのに、

歩幅だけは、
不思議なくらい揃っている。

歩いているのは二人なのに、

会話より先に、

腕の産毛が話し始めている。

風が吹くたび、

腕と腕のあいだの空気が、
静かに揺れる。

近づいて。

離れて。

また近づく。

触れたのか。

触れていないのか。

きっと、
本人たちにもわからない。

そのときだった。

ふわりと風が吹く。

産毛が、そっと触れ合う。

その一瞬だけ、

心臓が歩幅を忘れた。

ほんの数ミリ。

ほんの一瞬。

それだけの出来事なのに、

その距離には、

どんな「好き」よりも、

静かな恋が宿っていた。

恋は、

手をつなぐ瞬間よりも、

まだ触れない距離に、

いちばん美しく宿るのかもしれない。

前を歩く二人は、

きっと何も知らない。

ただ、

その数センチの空気だけが、

誰よりも正直に、

恋をしていた。

誰にも見えない、

小さな会話に。

来てくれて、ありがとう。

今日という景色にも、ありがとう。

そっと、言葉で。 5ppa

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あの日の産毛の感覚は、実はまだ私の中に残っていた。
今度は、その記憶に姿を与えてみた。
パニとワニ、猫と犬のふたり。
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[来てくれて、ありがとう。|03(記憶)胸がニャンニャン

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