怪しげなチケットを手渡される/他人の不幸は蜜の味 #6
女の子の多いサークルがいいなぁ
大学に入学することが出来たおかげで、就職まで4年間という猶予が出来た。
残念ながら、「ここから心を入れ替えて、資格の取得や就活の面接で印象の良くなる経験を!」とは、ならなかった。
入学直後の4月は、新入生新歓コンパが待っていた。
どのサークルも自分たちの良さをアピールしながら、新入生を勧誘して来る。
毎日、どこかのサークルに顔を出しながら、勧誘という名目のおかげでタダ酒にありつく生活を送っていた。
あのサークルと出会うまでは。
いくつものサークルに顔を出しながら、どうせ入るなら女の子が多いところにしようと決めていた。
学校が終わると、毎日、色んな別のサークルに行き、指定された場所から他の新入生と共にゾロゾロ居酒屋に歩いて行く。
その日も居酒屋で先輩から勧誘を受けるのかと思ったら、今回のサークルは違った。
ただただ普通に飲んでるだけだった。
少し拍子抜けしたが、帰り際に先輩から声をかけられる。
先輩は何かを取り出し、「このチケット、タダであげるから、今度一緒に観に行こうよ」と、言ってきた。
チケットぴあとかみたいな、ちゃんとした感じのチケットじゃなかった。
“いかがわしい宗教かな?“とか警戒もしたが、近くにいた女の子が行くと言ったのが聞こえた。
お酒を奢ってもらっていた後ろめたさもプラスして、ボクも当日、ホイホイと付いて行った。
渋谷から電車で5分ほど乗って、着いた駅は下北沢だった。
外に公演中のチラシがデカデカと貼ってあり、演劇であることは一目で分かった。
客席は地べたに近い、背もたれのない長椅子だった。
一人一個の椅子が用意された感じではなく、かなり窮屈だったと記憶している。
後から後からお客さんが押し寄せて来ていた。
みんなが間を詰めながら座っているのに、会場はあっという間に満席になった。
隣の人との間隔も狭く、身を縮めならが座って開演を待った。
窮屈な姿勢を強いられたおかげで、背中や腰が痛かった。
満席の劇場は、公演中に途中で抜けられるような雰囲気もなく、不快感と不信感でいっぱいだった。
ヒトタラヲ
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