「〇〇しない」を目標にしていませんか? |死人テスト
こんにちは、たもちです。
エンジニア兼心理学ライターをやっています。
このnoteでは主に心理学やITに関する記事を提供しています。
本記事は100日間連続投稿企画、第22回の記事となります。
今回は、目標設定や行動改善に取り組む人にとって重要な内容となっています。
それでは以下、本編です。
「〜しない」という目標の落とし穴
「今年こそスマホをいじりすぎないようにしよう」
「もっとダラダラしないで規則正しく生活したい」
「間食をやめて健康的になりたい」
新年や月初めの計画を立てるとき、このままじゃダメだと決心したとき、こんな「〜しない」という目標を掲げた経験はありませんか?
実は、こうした目標設定には大きな問題があります。それは「やめる」ことだけを目指していて、「代わりに何をするか」が明確でないという点です。
人間の行動原理に基づくと、せっかく立てた目標も、このままでは達成が難しくなってしまいます。
しかし、幸いなことに行動分析学には、この問題を見抜くための簡単なチェック方法があります。それが「死人テスト(Dead Man’s Test)」です。
死人テストとは?
死人テストは、行動分析学者のオグデン・リンズレイが提唱した、行動の基準です。そして、その内容は極めてシンプルです。
「死んだ人にもできることは、行動ではない」
これに則ると、「〜しない」という目標は、死人でも達成できてしまうため、適切な行動目標とは言えないのです。
具体例で見てみましょう。
「スマホをいじらない」→ 死人にもできる(×)
「ダラダラしない」→ 死人にもできる(×)
「間食しない」→ 死人にもできる(×)
「授業中に立ち歩かない」→ 死人にもできる(×)
一方、次のような目標はどうでしょうか。
「毎日30分読書する」→ 死人にはできない(○)
「朝7時に起きて散歩する」→ 死人にはできない(○)
「果物を食べる」→ 死人にはできない(○)
「授業中はノートを取る」→ 死人にはできない(○)
死人テストをクリアする目標は、すべて「何かをする」という具体的な行動になっているのです。

なぜ「〜しない」目標はうまくいかないのか
死人テストが示しているのは、単なる言葉遊びではありません。
これを行動目標とすることにも行動科学的な根拠があります。
1. 行動の空白が生まれる
「スマホをいじらない」と決めたとき、その時間に代わりに何をすればいいのでしょうか?
人間は何もしないでいることができません。
スマホをやめても、代わりの行動がなければ、結局また手が伸びてしまいます。あるいは別の気晴らしを探して、テレビやSNSに移行するだけかもしれません。
行動分析学では、望ましくない行動を減らすには「代替行動」を用意することが重要だと考えます。
つまり、「やめる」だけでなく「代わりに何をするか」をセットで設定する必要があるのです。
2. 測定・評価が難しい
「今日は食べ過ぎなかった」という目標は、どうやって達成度を測るのでしょうか?「〜しない」という目標は、境界線が曖昧で、自己評価も困難です。
一方、「毎日30分読書する」なら、タイマーで測れますし、達成したかどうかが明確です。
この測定可能性も、行動目標において非常に重要な要素です。
理由3: 動機づけが弱い
「〜しない」という目標は、本質的に欠乏や制限を前提としています。
これでは、脳にとって魅力的なゴールにはなりません。
一方、「週に3冊本を読む」「朝のジョギングで5km走る」といった目標には、達成感や成長の実感が伴います。
こうした肯定的な目標のほうが、継続的なモチベーションを維持しやすいのです。
死人テストの実践的な使い方
死人テストを踏まえた「行動」目標設定の具体的な手順を紹介します。
ステップ1: 目標を言語化する
まずは、「夜更かしをやめたい」自分が達成したい目標を言葉にしてみましょう。
ステップ2: 死人テストを適用する
続いて、その目標は「死人にもできること」ではないか、確認します。
「夜更かしをしない」→ 死人にもできる(×)
ステップ3: 具体的な行動に言い換える
「〜しない」を「〜する」に変換します。
「夜更かしをしない」→ 「23時までに布団に入る」
「スマホをいじらない」→ 「帰宅後は本を30分読む」
「ダラダラしない」→ 「朝7時に起きてストレッチをする」
このとき、できるだけ具体的で測定可能な表現にすることがポイントです。
ステップ4: 実行と振り返り
新しい行動目標を実際に試してみて、うまくいったか振り返ります。 必要に応じて内容を調整しましょう。
教育や指導の場面でも有効
なお、死人テストは、自分自身の目標設定だけでなく、他者への指導や教育の場面でも有効です。
たとえば、子どもに対して「廊下を走らないで」と注意するとき、これは死人テストに引っかかります。代わりに「廊下は歩こうね」と言い換えることで、子どもは具体的に何をすればいいのかが明確になります。
同様に、職場での指導でも:
「ミスをしないように」→ 「チェックリストを使って確認しよう」
「遅刻しないで」→ 「9時には席に着こう」
「無駄話をしない」→ 「作業中は集中して、休憩時間に話そう」
このように言い換えることで、相手は「何をすべきか」を理解しやすくなり、行動しやすくなります。
まとめ: 「する」ことを設計しよう
死人テストの本質は、「やめる」のではなく「する」ことに焦点を当てるという考え方にあります。
人間の行動は、何かをやめようとするだけではなかなか持続しません。
代わりに何をするかを設計することで、初めて持続可能な変化が生まれます。
次に目標を立てるときは、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
「これ、死んだ人にもできるんじゃないか?」
もしそうなら、それは「代わりに何をするか」を考え直すサインです。
行動を変えたいなら、まず目標の立て方から見直してみましょう。
以上、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます!
たもち連続投稿企画第22回、「〇〇しない」を目標にしていませんか? |死人テスト でした。
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それではまた次回、お会いしましょう。
