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恋するうなぎちゃん|波の音「シロクマ文芸部」

小牧さまのシロクマ文芸部参加作です。
どうぞみなさま、よろしくお願いいたします。

ザザーン……

ザザーン……

「こんばんMe~!

波の音が心地いいスタジオからお届けする『ミッドナイト・アワー』!

パーソナリティのジョニーで~す!」

満面の笑みで手を振る。

その隣では、アシスタントの女性が
「……。」

ジョニーが横を向く。

「あれ、受けてない?」

「……。」

「ははっ、塩対応いただきました!」


「じゃあ今夜も、みんなのリクエストを紹介していくよ!

最初は、ラジオネーム『恋するウナギちゃん』さん!

浜野春子で『潮債のメロディー』!」


曲が流れた。


「いやぁ、いい曲だったねぇ。」

ジョニーは笑う。

「歌詞がさ、『千円返して~』だって(笑)。

いやいや、実にシュール(笑)」


「続いては、恋するウナギちゃん!

……え? また!?

『潮債のメロディー』!?

ノープロブレム~♪、やっちゃえ!オッサン(笑)」


二曲目が終わる。


「……次、

んっ!? 恋するウナギちゃん!?

どんだけ~~!」


曲が終わる。


「恋するウナギちゃん!

次は違う曲も待ってまーす!」

そのとき。

「ジョニーさん。」

初めて、アシスタントが顔を上げた。

「んー?」

「……三千二百円、返してください。」

「……へ?」

ジョニーは間の抜けた顔で固まる。

「何の?」

「去年の海です。」

「海、広いけど?」

「海の家。」

「…………?」

「焼きそば二つ。

生ビール四杯。

射的で外した三百円。」

「え?」

「……誰の話?」

女性は初めてジョニーを見た。

そして胸元の名札を、そっと指差す。

波多野 ナミ

ジョニーの口が、ゆっくり開く。

「波多野?」

「はい。」

「ナミ?」

「はい。」

波、多すぎるだろ! いや、そこじゃないか!?

「そこではありません。

三千二百円です。」

「えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

ジョニーは慌てて財布を探る。

「あっ、ごめん!

ホントごめん!

今払う!」

ナミは受け取る。

「ありがとうございます。」

そしてスマホ画面をジョニーへ向けた。

送信履歴。

恋するウナギちゃん

『潮債のメロディ』

送信。

送信。

送信。

ジョニーの顔がひきつる。

「……全部、お前ぇぇぇ!?」

ナミは小さくうなずく。

「気づいていただけるまで、毎週送る予定でした。」


赤く灯るオンエアランプ。

ジョニーは青ざめた。


「……え?」

ディレクターが笑顔で親指を立てる。

「生放送。」

ジョニーは頭を抱えた。

「CM! CM行こう!

お願い、CMーーーーッ!!」

「領収書、いりますか?」

「いらないよ~(涙)」


ザザーン……

ザザーン……


おしまい


いよいよ、夏本番ですねぇ。
今回は、次の方々から着想をいただきました。
感謝ですm(__)m



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