Big brother always watching you.

突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください。
お元気ですか。

僕はもうそろそろ駄目かもしれません。ここのところ、「死ぬ」という行為に惹かれてたまらないのです。
この街に越してきてひと月程経ったでしょうか。或いは3ヶ月程経ったかもしれません。その間に、日課にしていた散歩ができなくなりました。この街は厭に静かなんです。それも穏やかというものではなく、黴臭い感じなのです。すれ違う人は皆下を向いていますし、それなのにどこを歩いても嫌な視線を感じます。外に出たく無くなるのは仕方のないことでしょう。
でも今日は、少し元気なので久しぶりに外を歩いてみます。この便箋をお守り代わりに持っていくことにしますね。そして、どこかで書き上げて送りたいと思います。

ああ、やはり駄目です。目、目、目。視線を感じます。お前はなんでまだ存在しているんだと笑われているような視線。被害妄想に違いないんです。頭ではわかってはいるんです。気づけば自分が視線を下に向けていたことに気づき、この街に飲み込まれそうだという恐怖から慌てて顔を上げました。そして気づいたんです。視線の正体は、電柱やら擁壁やらに貼られた目のステッカーでした。なぁ〜んだ、と思って心が軽くなったのも束の間、なんだかそのステッカーの目達がどんどん眼前に迫ってきているように感じ、


追伸:私はこの便箋(と封筒、恐らくは切手)を握りしめて叫んでいる男性を保護した者です。彼は今、精神病院に入院しています。面会はおそらく可能ですことをここにお伝えいたします。ちなみに、目のステッカーなどはこの街にないかと思います。では。

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