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「ありのままでいい」……子どもたちの輝く目のために、推進役として走った日々【源流をたどる #3】

こんにちは、yasuです。

前回は、私の中に流れている「静かな温かさ」について、二人の師のお話をしました。
小学6年生のときの担任、A先生。 そして、教員になってから出会った、コーヒーをいれてくれる先輩の先生。

二人から受け取ったものを胸に、私は教員として歩み続けました。
そしてある日、校長先生からの声かけをきっかけに ICTの推進役という大きな役割を任されることになります。

研究指定校での日々。
自治体教育センターの研究員として過ごした10年。
プログラミング教育の研究と発表。

でも、振り返ってみると、私がやりたかったのは、ただひとつのことだけだったような気がするのです。


ある校長先生からの、相談

その学校で初めて教務主任の任を受けてから、4年ほどが経ったころでした。

校長先生は、淡々として温かいタイプの方でした。
柔らかい口調で、決して声を荒げない。
教育畑だけでなく、教職に就く前は一般企業でのご経験もあったそうで、視野の広さを感じさせる方でした。

よく脳科学の話をされていました。
私自身も脳科学に興味があったので、その話を聞くのが、楽しみでもありました。

そんな校長先生から、ある日、相談を受けました。

「この学校の子どもたちと先生たちを、もう少し伸ばしてあげたい。研究指定を受けてみたい」

これは、私にとってチャンスでした。


担任に戻って、研究主任を引き受けたい

私はそのとき、教務主任の立場でした。
組織を支える役割としてのやりがいはありましたが、心のどこかで、もう一度担任として子どもたちと向き合いたい気持ちが、ずっと残っていました。

校長先生からの相談を受けて、私はこう申し出ました。

「研究を本気で引っ張っていくのなら、私を担任に戻してもらえませんか。中学年あたりを担任しながら、研究主任として進めていきたいです」

校長先生は、「わかった」と一言。
そして、こう言ってくださいました。

「自分はこういう想いを持っている。だから、あなたの力を発揮してほしい」

短い言葉でしたが、十分でした。
あの「淡々と温かい」口調で、しっかりと託してくださったのです。

ちなみに、この学校には、もう一人キーパーソンがいました。
教頭先生として赴任してこられたその方は、以前、自治体教育センターで一緒に研究を進めていた職員さんでした。

教育センター時代から信頼関係のあった方が、まさにこの場面で同じ学校に来てくださっていた。
人と人のつながりが、思いがけないところで生きてくる。
そんな不思議な巡り合わせの中で、研究はスタートしました。


市の指定が、県の指定に飛び越えた

市の研究指定に応募しているという話は、当初から知らされていました。
ところが、新年度が始まっても、なかなか正式な連絡が来ません。

「これでいいの? ほんとに指定はあるのかな?」
教頭先生にすら、私はそう尋ねるほど、宙ぶらりんな時期が続きました。

そして、ある日、明かされたのです。
市の指定の決定が遅れていたのは、県のほうで別の動きがあったから。

どうやら県が、ある種の研究を進められる学校を探していて、私たちの応募内容がそれに引き上げられた、という経緯のようでした。
つまり、市に申し込んでいたら、県の指定に飛び越えてしまった、というわけです。

職員室には、驚きが広がりました。
「えっ、何を?」「県?」

ありがたい話のはずなのですが、正直、戸惑いとプレッシャーが半分以上を占めていたと思います。


「ありのままでいい」……アナ雪と一緒に

指定を受けると、新しい機器がどんどん導入されました。
電子黒板、タブレット端末。
当時はまだ珍しいものばかりです。

初年度は研究に専念できるとしても、2年目には公開授業があります。
「こんなの、見せられるわけないじゃないか」 それが、ほとんどの先生方の本音でした。

私自身も、本当のところはそうでした。
触ったこともない機器を、来校された方の前で完璧に使いこなすなんて、無理に決まっています。

そんな時期、世間ではちょうど「アナと雪の女王」が大ヒットしていました。
あの「ありの〜ままの〜」の歌が、街中で流れていた頃です。

私は職員室で、こう伝えました。

「ありのままでいいんじゃないでしょうか。来校された方には、私たちが日々取り組んでいる“ありのまま”の様子を見てもらえばいい。タイマーをタブレットで使うだけだって、立派なICT活用ですよ」

ICT機器を使うことが目的ではない。
子どもたちにつけたい力があって、その力をつけるために、たまたまICT機器が効果的だから使う。
それだけのこと。

完璧に使いこなしている姿を見せようとしなくていい。
最初から最後まで使う必要もない。
ほんの一場面、効果的なところで使えれば、それで十分。

このスローガンを掲げた頃から、先生方の表情が、ふっと明るくなっていきました。

「ありのままでいいんだよね」「ありのままでいいんだよね」 そう口ずさみながら、職員室で笑い合う先生方の姿が、忘れられません。

中には、本当にあの歌を歌い出す先生まで現れて。
あの曲には、本当に感謝しています。


ビデオを反転すると、子どもたちの目が輝いた

担任に戻った私は、ICT機器を「子どもたちが楽しく学ぶための道具」として、いろいろなことに使ってみました。

ひとつ、忘れられないエピソードがあります。

運動会のダンスの練習でのことです。
よくあるのは、体育館で前に先生が立ち、鏡のように右と左を反転させながら「ここで右、はい左」と指示していくやり方。
これはこれで、長く続いてきたやり方です。

私は、ダンスを撮影したビデオを反転させて、子どもたちに見せました。
画面の中の踊り手と、まったく同じ動きで踊れるように、左右を反転して再生したのです。

すると、子どもたちは。
授業中だけでなく、休み時間にも、朝の時間にも、「先生、流して!」とせがんでくるようになりました。

大好きな曲が流れる。
子どもたちは、その曲を口ずさみながら、画面と一緒に何度も何度も踊る。
誰に強制されたわけでもなく、自分から、楽しんで。

教員にとっても、ずいぶん楽でした。 前に立って「右! 左!」と指示しなくてもいい。
怒りながら何度も繰り返させる必要もない。
子どもたちは、ただ自分のペースで、楽しそうに踊っている。

そして、その日たまたま休んでいた子にも、動画を送ることができました。
「みんなで、こんなダンスやってるよ」 家にいながら、教室の練習に参加できる。
これも、ICTがあったからこそ生まれた、ささやかな優しさでした。

子どもたちの輝く目を見たとき、私は確信しました。
ああ、これが、私のやりたかったことなんだ、と。


地元の子どもたちにも、同じ楽しさを

推進役として活動する中で、私は全国の先進校を訪れる機会にも恵まれました。
すばらしい取り組みが、たくさんありました。
子どもたちが生き生きと学んでいる姿を、いくつも見ました。

そのたびに、悔しい気持ちになったのを覚えています。

「自分の地元の子どもたちが、この楽しさを味わえないのは悔しい」

なんとか、うちの自治体でも、子どもたちが生き生きと学べる授業ができるようにしたい。
そう思いながら、私は自治体教育センターの研究員という役割を、毎年お引き受けしていました。

10年。 気づけば、それだけの月日が経っていました。

その間に、先生方向けの講座を企画し、研修会の講師を務め、企業の方々と一緒に教材を考え、プログラミング教育の研究にも取り組みました。
県のフォーラムで発表する機会もありました。

派手な実績のように聞こえるかもしれませんが、私の中ではいつも、たったひとつのことしか考えていませんでした。

「うちの自治体の子どもたちにも、楽しんで学んでほしい」

その一点だけでした。


先生のモチベーションが上がらないと、子どものモチベーションも上がらない

研究員として、研究主任として、推進役として。
いろいろな立場で先生方と関わる中で、私がよく口にしていた言葉があります。

「子どものモチベーションを上げるためには、先生たちのモチベーションを上げないといけない」

子どもたちは、先生の表情をよく見ています。
先生が楽しそうに授業をしていれば、子どもも楽しい。
先生が苦しそうに進めていれば、子どもも苦しい。

だから、まずは先生方が「楽しい」と思える環境を整えること。
ICTが負担にならないように、「ありのままでいい」と肩の力を抜いてもらうこと。
完璧を目指さず、できるところから、一歩ずつ。

これは、今思えば、第2回でお話しした二人の師から受け取った「静かな温かさ」を、私なりに現場で実践していたことだったのかもしれません。

威圧で動かすのではなく、ほどいて動き始めてもらう。
完璧を求めるのではなく、ありのままを認める。
楽しさが、結果として一番遠くまで連れて行ってくれる。

私が10年以上、推進役という役割を続けられたのは、決して自分が優秀だったからではありません。
ただ、子どもたちの輝く目を見たくて、そのためには先生方に元気でいてほしくて。
その想いだけで、続けてこられたのだと思います。


次回予告……いま、WAYに流れ込んでいるもの

33年の教員生活を経て、私はいま、新しいステージに立っています。

療養生活の中で始めたnote。
妻と二人で立ち上げたWAY。
そして、AIを相棒にする働き方。

ここまでお話ししてきた「源流」が、いま、どう私の中に流れ込んでいるのか。
そしてこれから、どこへ向かおうとしているのか。

次回はシリーズ最終回。
私たち夫婦の合言葉「結局、人だよね」に込めた思いとともに、現在地とこれからの歩みをお届けします。


結び

研究指定校での日々。
自治体教育センターの10年。
プログラミング教育の研究。
研修会、講座、発表。

並べてみると大きな話のように見えるかもしれませんが、私の中ではいつも、子どもたちの輝く目だけを見ていました。

「ありのままでいい」
「楽しんで学べる教室を、ひとつでも増やしたい」
「先生も子どもも、同じくらい大切にしたい」

そんなことを、これからもWAYで届けていけたらと思っています。

あなたにも、振り返ってみると「ただこれだけのことをやりたかったんだ」と思える瞬間はありませんか。
よかったら、コメントで教えてください。

それでは、また次回。
木曜日、最終回でお会いしましょう。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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なぜ私は、AIをこんなにも自然に「相棒」として迎え入れられているのだろう。
なぜ「テクノロジーと人間らしさの両立」を、これほど大切にしたいと思うのだろう。

4回にわたって、私の道のりを少しずつ言葉にしています。
テクノロジーとの出会い、二人の師との出会い、推進役として走った日々 そして、現在のWAYに至るまでを語ります。


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