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初めての刑務所生活❷

刑務所の中で、炊場はいわゆる「エリート工」と言われています。
炊場の班長ともなれば、「刑務所のトップ」とまで評価されることもあります。


でも、少し冷静に考えてみてください。
そもそも犯罪を犯す人の大半は、それまでまともに仕事をしてこなかった人たちです。
仕事ができない。
安定剤を服用している人も多く、包丁などの刃物を扱える人が少ない。
コミュニケーション能力も、環境への順応性も低い。

そういう人たちの集団の中で、炊場への配置率はそもそも低い。


つまり——
「相対的にできる人が集まっているから、エリートと呼ばれているだけ」
そう感じています。

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私の初めての受刑生活は、洗濯工場に2日間配置されたあと、無事に……というべきか、炊場へ着地しました。

転業(工場異動)の告知を受けて工場へ向かうと、班長と呼ばれる人が待機していて、作業の説明を受けます。

最初に配置されたのは、1番下っ端の洗い場。
収容者の食器を用意したり、とにかく雑用をこなす日々です。
「寿司職人か?」と思うくらい、最初はまだ食品に触れることすらできません。

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刑務所の人間関係は、部屋も工場も完全なピラミッド式です。
仕事ができる人、在所期間が長い人が上に上がっていく。
いじめの対象になってしまうと、いつまでも上には上がれません。

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起床時間は確か5:30だったと思います。
(施設によって異なります)。
そこから19:00近くまで、ノンストップで働きます。

部屋も一緒、作業も一緒。
1番下っ端として、常に全員に気を遣い続ける生活です。

炊場は365日稼働しているため、シフト制で出勤が決まります。
休みの日も個室ではないので、先輩たちと同じ空間で過ごします。

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炊場が人気を集める理由は、仮釈放になりやすいということのほかに、大きく2つあります。
① 毎日お風呂に入れる
他の工場では、冬は3日に1回、夏はシャワーと2日に1回のお風呂です。
でも炊場は、毎日入浴できます。しかもタイマーで時間管理されることもなく、自然と15〜20分で上がるペースが身につくくらい、ゆったり入れます。
お風呂は作業終了後、延長食を食べてから全員で行きます。休みの日に合流することもあります。
連れていってくれるのは大体夜勤の担当部長で、その人が炊場に寛容だと、入浴中にずっとおしゃべりができることもありました。

② 出勤の日は延長食がある
延長食はその日によってバラバラで、昔は手作りで量も多かったそうですが……私の頃は大体、40円分のお菓子でした。幼稚園のおやつをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。
毎日食べていると慣れてはいきます。ただ、刑務所でお菓子が食べられる機会は、祝日・お正月・集会(処遇区分3級以上)くらいしかありません。

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出勤日は部屋に戻ると19:00を過ぎていることが多く、そのまま余暇時間としてテレビを見ることができます。
ただし、1番下っ端にチャンネル権はありません。
見たい番組をリクエストすることも許されず、テレビの電源を入れる、チャンネルを変える、みんなが見やすい角度に調整する——それが自分の役目です。
就寝は21:00。それまでの時間で翌日の準備をしたり、手紙が届いていれば読んだり、思い思いの時間を過ごします。

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刑務所生活を終えた今、思うこと
類は友を呼ぶ、とよく言いますが、刑務所の中でも仲良くなる人同士はやはり似ています。

今、あの生活を過去のものにできた立場から振り返って思うのは——
誰も信じないほうがいい。
見ざる言わざる聞かざる。
辛抱が仮釈放につながる。短気は損気。
そこにいるのは友達でも何でもなく、「刑を犯して刑務所に入っている人同士」というだけの関係です。
偉そうにふるまう人も、刑務所に入っていることを誇らしく語る人も、たくさんいました。


でも結局のところ社会不適合者。
それ以上でも、それ以下でもない。
今はそう思っています。

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