250313 罰する
今日のプレイ・リストから 144
エセル・ケイン
進化心理学者のロビン・ダンパーによると、他人の気持ちを理解する力=志向意識には階層構造があるとのことです。
例えば、「私は彼女を愛している」と自分の気持ちを理解するのが1次、「あなたが彼女を愛しているのを私は知っている」と相手の気持ちを想像するのが2次、「彼が彼女を愛していることをあなたが知っているのを私は知っている」と第三者に広がるのが3次という具合です。
この志向意識の階層はどこまで積み上げることができるのか。
人間の脳にとっては、6次が限界だろうとダンパーは言います。というのも、シェイクスピアが6次志向意識水準を駆使して作品にしているからです。いずれにしても、志向意識水準が高次であるほど、複雑で繊細な心の陰影を表現したり、共感したりできるのでしょう。
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ヘイデン・サイラス・アンヘドニアは1998年にアメリカのフロリダで生まれました。南部バプテスト派の家だったからでしょう、家庭教育で育ちます。
13歳でゲイ、20歳でトランスジェンダーだと公表しました。その後、SNSでASDやIBSだとも言っています。ちなみに、「アンヘドニア」とは喜びや快楽を感じない精神疾患の症状名です。
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21歳でデビューし、24歳の時にファースト・アルバム『牧師の娘』を発表します。架空の人物エセル・ケインには牧師の父から虐待を受けたトラウマがありました。教会の外で生きようとしますが、出会った男にグルーミングされ、やがて売春婦として売られます。逃げようとして再び捕らえられ、結局、殺されてしまいます。まるでデヴィッド・リンチの悪夢のようなストーリー・テリング・アルバムは一部で絶賛されました。
もうすぐ27歳になる彼女はエセル・ケイン名義で1月にセカンド・アルバム『変質者たち』を発表しました。そのリーディング・シングルとなる本作は、息子を誘拐して強姦した犯人を射殺した実在する父親の名前が歌詞に出てきます。
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さてさて、ハイデンは、今、何次の志向意識水準に達しているのでしょうか。サザン・ゴシックとドリーム・ポップを融合したようなアルバムは、きっと、前作と合わせて名盤となるでしょう。
