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獣人十色 #毎週ショートショートnote

 繁華街を歩く。すぐ辿り着いた無機質な鉛色のビル。一階の自動ドアは開放され、足元に「OPEN」のボード。ハイファッションを纏った若者たち。僕はその後に続き恐々足を踏み入れた。都会の画廊に入るのはこれが初めてだ。入口に瀟洒な祝花。白いボードに展示会のコンセプチュアルデザイン。出展者の自己紹介には、僕には馴染みのない君のもう一つの名前とゲストへのメッセージ。その最後には「田舎より都会がすき。」という言葉が記されていた。
一つ一つの作品を見ていく。ポップで鮮やかなグラフィック。原色の大胆な組み合わせで描かれる半分は獣で半分は人の「獣人」。この展示会のテーマ「獣人十色」が表現されていた。
一通り見終えると、僕は会場の隅に佇む君を見つけた。僕に馴染みのない名前の君は、僕の姿を認めると微かに笑った。
「僕を描いてくれてありがとう」
僕は一人会場を後にした。今夜は満月。久しぶりに故郷のあの丘に立ち吠えてみようか、月下の獣人として。

(410文字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。

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