変人式 #毎週ショートショートnote
ここ多羅葉市では、かつては引きこもりだったという市長が提唱する独特の行事が行われていた。その一つが成人を迎える若者を対象に行われる式典、「変人式」だ。
変人式は、参加者一人一人がこれまでの人生を振り返るスピーチから始まる。
「ボクは中学三年間誰とも喋らずに過ごしました。ボクの声を初めて聴いたという同級生もいますよね?」
「私は父がジャマイカ出身で髪はドレッド。ガイジンって呼ばれていたの」
「オレはある日金髪で登校して、呼び出しをくらったことがあるんだ」
最後に登壇した市長は、突然髪を掴んで投げ捨てた。すると見事なスキンヘッドがあらわに。
「みなさんの成人を祝ってスキンヘッドにしてみました。大切なのは自分の人生は自分で決めること。「自己決定権」を決して手離さないこと。人生は変化の連続。人はみな変わってゆくのです。変人上等!」
最後は参加者と市長の大合唱。いつしか会場は一つとなり、合唱はいつ果てるともなく続くのだった。
