見出し画像

街の飲食店なんでも相談所~価格転嫁のコツ①同じ品質を維持する

今焼肉店が大きな岐路に立っている。個店や小規模グループ店は仕入規模が小さいため仕入価格の上昇に苦慮している。そのうえ、外食人口の減少や節約志向の高まりの影響でランチ客や平日夜客の減少が起こっている。

その結果、端肉や鮮度落ちの肉を消費する目的のランチタイム営業では消費しきれずに、夜客の早期来店客に回して、不満足客や離反客を生む悪循環になってきている。

具体的には、牛タン塩の上タンを注文したのに並タンに近いものが来る、以前はマクミのきれいに成形されたものが来ていたのに、不揃いの切れ端の皿が来たり、鮮度落ちした赤黒いマクミが来たりする。
しかも、いずれの商品も前回よりは数十円、百数十円は値上がりしている。現状の商品の劣化は客数の減少につながり、悪循環が加速される。

お役に立つ一冊



価格転嫁は商品力が信頼の裏付け

3年以上続く飲食店には、個別の商品ごとに売れる目安となる「設定原価率」があります。(一例)

たとえば牛肉赤身料理でいうと、焼肉のような素材型料理の場合、輸入肉は原価率32%~37%程度、国産牛で35%~40%程度、和牛で40%~45%。調理の手間をかけた牛肉料理であれば、付加価値が高くなる分だけ原価率は下がり33%~37%くらいが目安。

原価180円のサラダの原価率設定比率が25%であれば、消費税を加えて792円の売価です。仕入価格が10%上がれば売価も10%上げて871円とするのが大原則です。
でも、客数を減らさずに新しい売価を定着させるのはとても難しいですね。

転載禁ず

飲食店は対面商売だから価格転嫁しにくい

価格転嫁すると、今までの売価よりも10%~15%は売価が上がります。飲食店の場合は、売る側と買う側が常に対面する関係ですから、価格転嫁後もお客さまの満足度を損なうことがないようにしなければなりません。これが非常に難しい点です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
価格転嫁の回数と比率は食品メーカーと飲食店で大きく異なる(参考)
食品メーカー
以前は3%~9%、現在は10%を超える価格転嫁も多い。おおむね年間3回~4回ある。何よりも購買する消費者と対面しないスタンスの価格転嫁。

飲食店
低価格業態の価格転嫁は以前20円、30円だったが近年は50円アップも珍しくない。経営の健全化とわずかの余力の確保を考慮すると、12%~15%くらいの価格転嫁が必要となる。最低1年に一度、できるだけ春に大きく値上げして秋に小さく値上げすることで、少なくとも年間で10%~12%の価格転嫁は必要。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

成功しない理由<同じ品質で提供していない>から

売れ筋の料理に使う食材の仕入価格が上がりワンランクダウンした同等品に変更する、同等品でも食材回転率が悪くなり鮮度劣化した食材で料理を作る、価格転嫁金額から判断して以前よりも見栄えが劣る料理の変わると、お客さまは裏切られた気持ちになります。
成功する価格転嫁は「以前と同じ商品力のあるお気に入り料理のまま」提供することが大原則です。同じ品質や同じ美味しさが、お店とお客さまの信頼関係の持続につながります。

成功しない理由<同じ品質でもお得感や満足度が変わらない>から

さらに悩ませることを書いておきます。人間は「欲望」の塊が衣服を身に着けています。一度だけの価格転嫁であればそのまま受け入れることもありますが、度重なる価格転嫁になれば、「以前よりも満足度が上がる料理」を本能的に求めるようになります。

そうなると、仕入価格の値上がり分だけの価格転嫁ではやがて成功できなくなります。プラスαの「商品改善」による顧客満足度の向上が必要です。

たとえば価格転嫁だけの上げ幅を10%とした場合、商品改善のための上げ幅を2%加えて、価格転嫁率を12%にすべきです。商品改善予算の2%分を、品質アップ、ボリュームアップ、付け合わせ商品の改善、使用食器の買い替えでおしゃれ感アップ指定ください。これが備わる価格転嫁でないと結果としてうまくゆきません。

成功しない理由<無理やり現状メニューのしくみで消費しようとする>から

上記の焼肉店の例にあるように、ランチ客が減少してランチタイムで消費していた牛タンの先タンの硬いところや牛マクミの切り落としの端材が売れなくなり、その売れない分をダイレクトに夜客に回して消費しようとすると、出されたお客さまは落胆し、もうそのお店を諦めてしまうかもしれません。金額が高くても品質が良く商品力が安定したワンランク信用度の高いお店に乗り換えることになるきっかけにもなります。

結果として固定客を減らすくらいなら、肉をミンチ加工して新メニューに使用する、新たにテイクアウトメニューを考案して弁当や肉丼に使用するなど、必要なひと工夫しなければなりません。安直に現状の店内メニューで消費しようと考えないことです。手間を惜しめばしっぺ返しが起こります。

もう一つ大切な価格転嫁成功の必須条件がある

こう考えてみてください。商品売価の30%が食材原価であれば、残りの70%は何でしょうか。はい、それはその商品と店舗が持つ「付加価値」の料金です。付加価値の原資は以下の4つあります。

商品が持つ商品力の強さ
★接遇サービスの向上
★ホスピタリティー(おもてなし力)の向上
★アトモスフィア(居心地の良さ)の向上

そのほかにも、そのお店のブランド力や体験による高度な満足感があります。

第一番のお客さまとの信頼感の根拠は、同じ品質を維持することと理解してください。そのほかにも理由があります。次稿から順に説明します。

(了)







いいなと思ったら応援しよう!

大分の食べ過ぎおじさんオードリー7 | 飲食店コンサルタント 飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします