飲食店未来学180:弁当店の適正原価率の決め方と今後の対策
いま弁当店の改革に取り掛かっています。数年間価格転嫁をせずに製造販売を続け2025年の米の高騰で利益がぶっ飛んだ弁当店を、トコトン分解して儲かるしくみで再スタートするための改革を行っています。
弁当店の成りたちで違う適正原価率
いくつかの例を出します。
1,単独弁当店
通常の独立経営の弁当店です。何店舗も関わってきましたが、一番の理想は「弁当の食材原価+弁当容器+箸や袋代込み=55%~58%」と考えています。弁当の包材費は7%~12%で平均8%~10%かかりますので、正味の食材原価率は、45%~48%と見たほうが良いでしょう。
2025年は米の高騰により、この枠を超える事態となりました。従来10kg3,500円で1食のごはん原価が45円までだったものが、7,000円となり、ごはん原価が88円(195%)に跳ね上がり、収益性の大きな悪化を招きました。
したがって、年商一億5,000万円以下の弁当店規模では、米の販売業者から仕入れるのではなく、一農家以上の「農家米」を年間契約して、品質と価格の安定を行い、1食分のごはん原価を90円未満にすべきです。
年商規模の大きい弁当店は、原価を下げるため、米穀卸段階でカルロースなどの輸入米のブレンド比率を高めたものを使用することで、原価ダウンを図れます。
2,スーパー内の弁当部門
有名な小林久先生(元スーパーやまと経営者)がスーパーを経営している頃の弁当原価率は、客寄せ効果を一番とするため、60%に達していたと書かれています。
3,レストランの弁当宅配部門
何か所かかかったことがあります。原価計算をしたところ、レストランで使う食材と重複させて弁当開発を行うため、日替わり弁当の食材は、仕込み過ぎ食材やだぶついた食材を計すために使用して、食材ロスを減らす生産をしていました。したがって、弁当の平均原価率は45%~55%となっていました。
宅配の経費が掛かるため、レストランまで弁当を取りに来たお客さまには、5%の割引をして販売をしたお店もあります。店内売りと比較して30円~50円の宅配売価を上乗せした売価を目安に価格決定していました。
価格転嫁がいつも後手になる業態
価格転嫁を行う機会は、飲食店と同じで春と秋の年に2回が精一杯です。この場合は秋~春前の値上がり分が春に反映され、春~秋前の値上がり分が秋に反映されます。利益率が下がり、次の価格転嫁で正常になるを繰り返します。
1年に1回の価格転嫁の場合は、値上がり分の取り戻しと次期価格転嫁までの前倒し利益率2%~3%を含んだ値上げを行います。・・・難しいと思うでしょうから、解決策のヒントを書いておきます。
価格抵抗感を和らげ利益率を高くする価格転嫁のコツ
1,お米の品質ランク、価格、消費量の適正化を行う
一番先に、基本となるお米を見直しましょう。
●どのランクのお米を今後も使うか
若者は量、中高齢者は品質を重視。どの客層か、お米の評判はどうか調べてみましょう。
●基本の1食のごはん量を何gにするか、追加の選択はしやすいか
230ℊのお店もあれば、270ℊのお店もあります。誤差が10g以内にするにはライスホッパーを使うか、100均のプラのお椀を複数買って目分量でご飯を一定量盛ります。大盛り50円増し、得盛り100円増しがあれば、原価も下げることができます。お客さまは自ら追加して支払いが上がることには抵抗しません。
●見た目の商品力の差で売価が違うことを知らせる
★トンカツやチキンカツがはみ出るほど大きい。(故意にはみ出して盛る)
★メイン料理が1種盛でなく2種盛になっている。
★全体の盛付が色どり良くとても美味しく見える。
★一つ一つは少量でも、食材(料理)の種類が多彩で豪華に見える。
★ごはんの上にもいろいろとのっている。
梅干し、ふりかけ、卵焼き、漬物など。
●他店の同一競合商品と同じ価格帯にする
他店の弁当の売価よりも30円~50円高くても売れます。しかし、もう一つ気を付けておくことがあります。それは、「同一価格帯の壁を超えないこと」です。
たとえば、競合商品が650円であれば、同じ600円台の価格帯の680円で売ってもその売価に見合う商品力があれば売れます。しかし、売価が一つ上の700円台になると、突然売れなくなります。たとえ10円でも壁を超える場合は、基本となる商品力をアップさせなければ、嫌われます。
●価格の壁を超える方法を工夫する
★基本の商品力を引き上げた商品にバージョンアップする。
★省ける食材、減らす食材を減らしたうえで、売価の上げ幅を押し下げる。
商品開発も価格転嫁のための売価の値上げもお客さまとの知恵比べです。喜んで楽しみながら、その商品を買うお客さまの気持ちを裏切らずに、どう変えれば少し高くなった価格でも買っていただけるか考えましょう。今後は、これができる、逃げない経営者だけしか経営できません。
価格転嫁は自らの挑戦でもあります。
参考図書
36年間のメニューの変更に関する知恵を網羅して集成したキンドル本です。
(了)
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