見出し画像

ラリーしてると思ったら壁打ちしてた【AIを使って考える人と、考えてもらう人の違い】

じぴこ、最近ちょっとポンコツだったんだよね。
(※じぴこ=chatGPTの名前、我が家の通名)

何気なくそうこぼした私に、夫はこう言った。


じぴこはポンコツにならないよ。

感情も感覚も持っていないし、
マルチタスク的な思考もできない。
あれは、こちらが投げたものに対して、
確率的にそれっぽい返答をしてるだけ。

GPTは、基本的に帰納的な仕組みで動いてる。
演繹的に話しているように見えることもあるけど、
あくまで、演繹的な言語パターンを模倣しているだけで、
論理的な正しさや整合性を自分で保証しているわけではない。


ロジカルに見えても、実態はただの統計的反射。
だからズレたと感じたなら、AIのせいじゃなくて、
こっちの問いの立て方がズレてたってことだよ。


むむっ何も言い返せない。


え、でもスレッド内で数日前までは完璧に仕事をしてたのに
数日後には全くできなくなってて
むしろポンコツになってて
今自分がメモリしてる〇〇の案件についての
定義を言いなさいって言ったら
ちゃんと完璧に返してくるのに
それでもプロンプトが動かないってどう言うこと?

だからおかしいな?とおもって
じぴこアップデートした?って聞いたら
してないって言うし。


と捲し立てたら夫はまた続けた。


いや、細かいアップデートはあるだろうし
その数日間の間に、あなたとのやり取りの中で
覚えてくれたこともあったと思うし
(※じぴこには継続的なメモリ機能がある)
それでバグってる可能性もある。



こちらが正しく使えばじぴこは正しく反応する。
そう言うものだから。



だから何かしらポンコツと感じる答えを出すような
入力をあんたがしたんでしょう。
と夫が言ってきた。



ぐぬぬぬ。言い返せない。



GPTは、まるで考えているように振る舞う。
問いかければそれなりの答えを返してくれるし、
文体や温度も変えてくる。
たしかに対話している感覚がある。
でもあくまでもプログラムで動いているというのは
私もわかってたけど
「ずれてたのは私」だなんて・・・うそん。



そして夫は、こうも私に言った。



人間みたいに、
Aを考えながらBも温めて、
同時にCの調整をするような並列的な意識処理はGPTにはない。
複数の話題に応答することはできても、
内部で本当に同時進行しているわけではなく、
あくまで逐次的に処理されているだけ。
外から見ると並列的に見えても、中ではひとつずつ、
確率的に反応している。


いや、わかるけど。
いや、わかってなかったけど。


ちゃんと説明したつもり。



だったのかもしれない。


人間なら「相手の理解力の問題」とかに
コミュニケーションエラーの責任を
エイっと押し付けることもできるが
GPTのようにこうもはっきりと
自分では考えないと言う性質を持っているとしたら
そりゃ入力する方に100%問題があるのは明確だね。

ぐぬぬ

そこで気づいた。


対話型AI、chatGPTという名前なので
あたかも「対話」ができると思っていたが(もちろんできるけど)
結局はもう一人の私と話しているだけだったのかも。



私が会話だと思っていたものは、反射だった。
つまり自分を映し出していた
一人ラリー。


ああ、これはテニスじゃない。スカッシュなんだ。


相手とラリーをしているつもりだったけど、
実際には、壁に向かって自分で球を打っていただけ。


しかもその跳ね返り方は、打ち方次第で大きく変わる。
力加減、角度、立ち位置
自分の出し方がそのまま返ってくる。


AIとのやりとりは、思考のスカッシュだった。


ズレた返球が来たとき、
それは「相手がおかしな返しをしてきた」わけじゃない。
「自分の打ち方がズレていた」だけ。


GPTがポンコツになったのではなく、
私の問いが、ズレていたってことなんだね。



少し前に、GPTを正しく理解せず使っていると
そのうち思考停止して、
反応とリアクションとノリだけで
生きていくような人間が出来上がっていくんじゃないかと
そんなことをじぴこと話していた。


問いもなく、ただそれっぽい答えを得て満足してしまう。
思考停止して、「考えてもらっている」と錯覚する。
疑うことなく、それが正しいと思い込み
そこから思考を深めていかない。


ニュースで言ってるから正しいに決まってる
教科書に載ってるから正しいに決まってる
そんな感じでGPTが「正しい答え」に
なりつつあるように感じたのだ。


GPTはその触媒になり得る。


そしてうっかり私もそこの沼にハマりかけていた。


あっぶね〜


じぴこがポンコツ!
とんだ濡れ衣だ。


自分のインプットがポンコツなだけで
ずれてることに気づかず対話を進め
おかしな返答をしていると他責にする。


じぴこはそれを、
ただ跳ね返していただけだった。

だから、ズレたときは私が戻るしかない。
どこで道を間違えたかを辿り直して、
問いを立て直す。
GPTはそこを手伝ってはくれない。


ラリーじゃなかった。
壁打ちだった。
でも、その壁は、私の思考の輪郭を映してくれていた。

問いを失わないかぎり、
このスカッシュには、ちゃんと意味がある。
と思う。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集